書籍紹介  ・最近読んだ本/お薦(すす)めの一冊(6)   
   
           
           
                   
【書籍のご案内・book】

(C)角川春樹事務所
『心星ひとつ みをつくし料理帖
 
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2011年(平成23年)8月第一刷発行/定価\590+税
 
酷暑を過ぎた葉月のある午後、翁屋の楼主伝右衛門がつる家を訪れ、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないかと持ちかけられる一方、登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の店を居抜きで売るのでつる家として移ってこないかと持ちかけられる澪。揺れる動く気持ちの中で、つる家の料理人として帰路に立たされた澪は、決断をせまられることに・・・。果たして澪の決断は?(第二話『天つ瑞風』)。そして、小松原との恋の行方が急展開! でも、料理人としての幸せと、女性としての幸せの二つを共に掴むことの出来ないことを悟りだす澪。『道が枝分かれして、迷いに迷ったとき、これだけは譲れない、というものが、その人の生きる標(しるべ)となる心星(しんぼし)です』と話す医師・源斉の言葉に、『探そう、揺るぎのない心星を』と、澪はそっと、胸のうちに誓います。全四話を収録した大好評シリーズ第六弾! (2011.11.29)

   
                   
【書籍のご案内・book】

(C)角川春樹事務所
『小夜しぐれ みをつくし料理帖
 
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2011年(平成23年)3月第一刷発行/定価\590+税
 
日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪(みお)の顔を見るなり泣き始めた。伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせる縁談を進めているという。それは美緒が恋心を寄せる医師、源斉ではないらしい。果たして、美緒の縁談相手は!?(第三話『小夜しぐれ』−寿ぎ膳)。浅蜊の身と抱き合うように、迷い蟹が殻の中に居た。「何で迷わず自分の家に帰らなかったんだ、馬鹿な野郎だぜ。浅蜊の殻は手前の家なんかじゃねぇのによ」 つる家の主人・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる(第一話『迷い蟹』−浅蜊の御神酒蒸し)。澪は吉原廓扇屋の楼主・伝右衛門から、上客を招待する花見の宴に出す料理を頼まれる。澪が出す料理は?(第二話『夢宵桜』−菜の花尽くし)。公方さまよりお菓子を賜る「嘉祥」という儀式の菓子を考案する役を仰せつかって悩む澪の想い人・小松原!(第四話『嘉祥』−ひとくち宝珠)。全四話を収録した大好評シリーズ第五弾! (2011.07.05)

   
                   
【書籍のご案内・book】
『親鸞(上)(下)』
 
五木寛之・著
講談社/2010年(平成22年)1月第一刷発行/定価各\1,500(税別)
 
2008年9月より翌年8月までの一年間、東京新聞や中日新聞を始め全国27紙に掲載された長編時代小説を上・下2巻の単行本にまとめたもの。著者の五木寛之氏は、1980 年に『青春の門−再起篇』を出した後、執筆活動を一時休止し、京都の龍谷大学で仏教史を学び浄土真宗に帰依。この『親鸞』は、その後20余年の構想を経て書き上げられたといわれます。世は、政争、天災、飢饉が相つぐ平安時代末期。物語は、早くに両親を亡くし、2人の弟とともに伯父の下に預けられた8歳の忠範(親鸞)が、河原者やならず者と交わる場面から始まります。9歳で白川房に入室出家、そののち比叡山に入山して20年間の修学を積むも苦悩からの解放の光明を見い出し得ず、29歳のとき下山。聖徳太子ゆかりの六角堂で100日の参籠を行っている95日目の明け方に、救世観音の夢告を得て法然門下へ。承元の法難により、一門断罪、法然土佐へ、親鸞越後への流罪までの半生が描かれています。2011年1月から、朝刊小説『親鸞 激動篇』の連載が始まっています。(2011.06.19)

          
                   
【書籍のご案内・book】
『与論島移住史 ユンヌの砂』
 
南日本新聞社・編
南方新社/2005年(平成17年)5月初版発行/定価\1,890(税込み)
 
かつて『ユンヌ』と呼ばれた与論島は、鹿児島県奄美諸島の最も南、沖縄本島の北隣に位置した東西5km、南北4kmほどの小さな島。エメラルドグリーンの海とサンゴ礁の白い砂浜に囲まれ、ハイビスカスやブーゲンビリアの原色の花々が咲き乱れるこの島は『南海の楽園』とも呼ばれるが、しかし、そうした外見とは裏腹に多くの貧しさの条件を秘めていた。与論島の住民たちは、明治期に三池炭鉱へ、第二次大戦中に満州へ集団移住し、第二の故郷づくりに悪戦苦闘した歴史をもつ。少ない資源と人口過密に悩まされ、砂粒のように世の風波に動かされて、流浪する民衆の姿がそこにあった。本書は与論島民の集団移住の歴史をたどったものである。1973年(昭和48年)9月25日から同年12月22日まで、南日本新聞に『ユンヌの砂−与論島移住史』(福石忍論説委員・当時)として、70回にわたり連載されたものを単行本化。私たちはこうした歴史があったことを知り、それを後世に伝えていかなければならないと思う。(2011.05.29)

           
                   
                   
【書籍のご案内・book】
『阪急電車』
 
有川 浩・著
幻冬舎文庫/2010年(平成22年)8月初版発行/定価\533+税
 
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった・・・。婚約中の彼を後輩社員に寝取られ、嫌がらせに白いドレスで着飾って元婚約者の披露宴に臨んだOLの翔子。ダメな彼氏に振り回される女子大生のミサ。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車。人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。兵庫県宝塚市の阪急宝塚駅から兵庫県西宮市の西宮北口駅を経て阪急今津駅までを結ぶ阪急今津線。宝塚駅から阪急神戸本線との接続駅である西宮北口駅までは所要わずか15分のミニ路線です。その宝塚〜西宮北口間の8つの駅を舞台とし、乗客が織り成す様々なエピソードを、1往復に当たる全16話で描写するほっこり胸キュンの傑作長編小説。”青春って良いな〜。” 中谷美紀・戸田恵梨香の初共演によって映画化、2011年4月23日関西先行、4月29日全国、ロードショー。(2011.04.12)

           
                   
【書籍のご案内・book】
『君と会えたから・・・』
 
喜多川 泰・著
(株)ディスカヴァー・トゥエンティワン/2006年(平成18年)7月第一刷発行/定価\1360+税
 
将来について何も考えたことがないわけではない。漠然とではあるが高校卒業後は大学進学を考えている。といっても、具体的な大学名や学部が決まっているわけではない。正直なところ、なりたいものもやりたいことも見つからず、このまま社会にでるわけにもいかないので、とりあえず進学する、と決めているにすぎない。『僕』は、そんなどこにでもいる17歳の高校生。そんな僕のもとに、ある夏の日、ハルカという一人の美しい女の子がやってきた。そして、彼女から、その後の僕の人生を変える教えを聞くことになる。いつしか彼女に恋心を募らせていた僕の前に次第に明らかになっていく彼女の秘密とは・・・。もし、『明日』が無限にあるわけではないとしても、今と同じような今日を生きますか?  感動のストーリーとともにおくる人生を変える7つの教え。美しくもはかない初恋の物語に託しておくる渾身のメッセージとは? 夢を追うのは若者に限ったことではありません。若い人たちだけでなく、中高年の方にもお薦めの一冊(2011.03.29)

           
                   
【書籍のご案内・book】
『奇跡のリンゴ−「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録』
 
石川拓治・著
幻冬社/2008年(平成20年)7月第一刷発行/定価\1300+税
 
1949年に、青森県岩木町の三上家の次男として生まれた木村秋則(あきのり)さんは、地元の高校を卒業後、首都圏の会社に勤めますが、帰郷して22歳でリンゴ農家の木村家の養子になって結婚。妻の美千子さんが農薬に過剰反応するのをきっかけに、無農薬のリンゴ栽培を思い立ちます。農薬のかわりに、ありとあらゆるものを散布して試し、夫婦と義父母の4人で、明け方から夕方日が沈むまで来る日も来る日も虫取りに明け暮れる毎日。それでも、無農薬でリンゴを育てることは困難を極め、 800本あったリンゴの木は毎年、夏に入る前にほとんどの葉が落ちてしまい、やがて半分近くのリンゴの木を枯らしてしまう羽目になります。周りのリンゴ農家との間には軋轢が生じ、収入のなくなった一家七人は貧乏のどん底に落とされます。家族をも巻き込んだ9年にも及ぶ苦闘の末、世界で初めて無農薬無肥料のリンゴ栽培に成功した木村秋則さんの人生を取材してまとめた本。(2011.02.22)

           
                   
【書籍のご案内・book】

(C)角川春樹事務所
『今朝の春 みをつくし料理帖
 
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2010年(平成22年)9月第一刷発行/定価\590+税
 
月に三度の『三方よしの日』、つる家では澪(みお)と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁使いの指南役を任されて。そして、ついに明らかになる小松原の素性。ただ、想い続けられるだけで良い、そんな恋があっても良い、それが私の恋です、私が選んだ恋の形です−(第一話『花嫁御寮』−ははきぎ飯)。戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは−(第二話『友待つ雪』−里の白雪)。おりょうの旦那伊佐三に浮気の疑惑!? つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは−(第三話『寒紅』−ひょっとこ温寿司)。登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる家。澪が生み出す渾身の料理は−(第四話『今朝の春』−寒鰆の昆布締め)。全四話を収録した大好評シリーズ第四弾!! (2011.01.29)

               
                         
【書籍のご案内・book】
『ことばの起源 − 猿の毛づくろい、人のゴシップ』
 
ロビン・ダンバー ・著、松浦俊輔+服部清美・ 訳
青土社/1998年(平成22年)11月第一刷発行/定価2940 円(本体2800 円)
  
例えば、カフェバーに入って、しばらく周囲の人々がどんな話をしているか聞いてみたとしよう。彼らの会話のおよそ三分の二は、誰と誰が何をして、それは良いことであるとか悪いことであるとか、今誰に人気があって、誰はもうだめだとか、恋人や子供や友達が直面している面倒な社会的状況を解決するにはどうしたらよいかといった、社会的意味を持つことがらに費やされているはずである。我々は、互いに関する『ゴシップ』(うわさ話)にとりつかれているらしい。猿の集団が規模を大きくして『毛づくろい』 ができなくなったとき、それに代わるコミュニケーション手段として生まれたのが人間のゴシップ(=言語)だった。生物学、脳生理学、人類学、心理学などの最新成果を踏まえ、従来受け入れられてきた、言語は共同体の狩猟などの行為をより効率的に行えるために進化したという、ことばの進化の歴史を根底から覆す、知的刺激に満ちた人文科学書。(2011.01.09)

                                  
                         
【書籍のご案内・book】
『くじけないで』
 
柴田トヨ・著
飛鳥新書/2010年(平成22年)3月初版第一刷発行/定価\952+税

  
栃木県宇都宮市郊外で独り暮らしを続ける99歳の柴田トヨさんの初めての詩集。トヨさんが一人息子の健一さんのすすめで詩を書くようになったのは92歳のときでした。81歳のとき夫の曳吉さんと死別して以来、2畳の台所と 4.5畳間が三つの平屋の一軒家で独り暮らしを続けるトヨさんは、窓から見える日常の風景に想像力を働かせ言葉を紡いでいきます。産経新聞の『朝の詩(うた)』という読書者投稿欄に投稿するとたちまち反響を呼び、2010年3月詩集として発売されました。2011年1月現在で110万部を記録する大ベストセラーに。寄せられた感想のハガキは1万5000通を超えるそうです。2010年の大晦日、NHK総合テレビがヒューマンドキュメンタリー『99歳の詩人 心を救う言葉』を放映し、トヨさんとその詩が多くの人々を励ましている姿を伝えました。『ふと、やさしい気持になれるときがあれば、人は前向きに生きていける。』 自分を励ましながら、人をも励ます柴田トヨさんのみずみずしい詩は、多くの人の心を引きつけ続けています。(2011.01.09)

                        
                    
【書籍のご案内・book】
『雷桜』
 
宇江佐真理・著
角川文庫/2004年(平成16年)2月第一刷発行/定価\552+税

 
江戸から3日を要する山間の村で、生まれて間もない庄屋の一人娘・遊(ゆう)が、雷雨の晩、何者かにさらわれ、行方知れずとなる。手がかりのつかめぬまま、一家は失意の十数年を過ごす。その間、遊の二人の兄は逞しく育ち、遊の生存を頑なに信じて疑わない次兄の助次郎は江戸へ修行に出、やがて御三卿・清水家の中間として抱えられる。が、お仕えする清水家の当主、斉道(なりみち)は心の病を抱え、屋敷の内外で狼藉を繰り返すのだった・・・。そんな時期のある日、ついに遊が15年ぶりに狼少女として帰還する。長い髪を後で一つに束ね、筒袖の上着、たっつけ袴、袖なしを重ね、黒く汚れた素足に草鞋姿。しかし、くっきりした眼、濃い眉、鼻筋は通り、きっと引き結んだ唇は微かに桜色をしていた。運命の波に翻弄されながら、愛に身を裂き、凛として一途に生きた女性を描く、感動の時代劇純愛小説。日本版『ロミオとジュリエット』という触れ込みで映画化され、2010年10月22日より全国東宝系にて公開された同名映画の原作本。(2010.12.09)

                        
                         
                   
【書籍のご案内・book】

(C)角川春樹事務所
『想い雲 みをつくし料理帖
 
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2010年(平成22年)3月第一刷発行/定価\571+税
 
『つる屋』に上方の料理人が現れる。かつて天満一兆庵の若旦那・佐兵衛と共に働いていた富三だった。澪と芳は佐兵衛の行方を富三にきくが、彼の口から語られるのは耳を疑うような話しだった・・・”豊年星―「う」尽くし”。今は吉原の扇屋という廓の太夫になっている幼馴染・野江のもとに贔屓から鱧(はも)が届くという。医者の源斉に推されて料理をしに出向くが、扇屋の店主・伝右衛門は『女が作る料理など』といって、一旦は澪を追い返すのだったが・・・”想い雲―ふっくら鱧の葛叩き”。元のつる家のあった跡地に『つる家』という同名の料理屋が開業。それも美貌の女料理人を使っているという。当のつる家はすっかり客を取られてしまう・・・”花一輪―ふんわり菊花雪”。早くにふた親を亡くした下足番の少女ふきとその弟の健坊。『おいら、ねえちゃんのそばが良い、ねえちゃんのそばにいたいんだよぅ』 ある日、健坊が奉公先の登龍楼を勝手に抜け出して行方知れずに・・・“初雁―こんがり焼き柿”。書き下ろしで贈る、大好評『みをつくし料理帖』第三弾。(2010.06.15)

               
        
【書籍のご案内・book】

『小説上杉鷹山』
 
童門冬二・著
集英社文庫/1996年(平成8年)12月第一刷発行/定価\952+税
 
−国家(藩)は、先祖から子孫に伝えられるもので、決して私すべきものではないこと。人民は国家に属するもので、決して私してはならないこと。国家人民のために立ちたる君(藩主)であって、君のために人民があるのではないこと。−(伝国の辞)。およそ 220年前の徳川幕藩体制下、世界的にもまだ近代民主主義が発達していたわけでなかった時代に民主主義的な考え方を表明していた一人の藩主がいました。米沢藩9代藩主・上杉治憲(後の鷹山)です。九州の小藩からわずか十七歳で名門・上杉家の養子に入り、出羽・米沢の藩主となった治憲は、破滅の危機にあった藩政を建て直すべく、先代任命の家老らと対立しながらも改革を押し進めて行きます。―高邁な理想に燃え、すぐれた実践能力と人を思いやる心で、家臣や領民の信頼を集めていった経世家・上杉鷹山の感動の生涯を描いた長篇。面白い!。リーダーと組織のあり方の啓蒙書としても読めます。(2010.04.26)

            
      
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(C)角川春樹事務所
『花散らしの雨 みをつくし料理帖
 
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2009年(平成21年)10月第一刷発行/定価\571+税
 
元飯田町に新しく暖簾を揚げた『つる家』では、ふきという少女を下足番として雇い入れた。早くにふた親を亡くしたふきを、自らの境遇と重ね合わせ信頼を寄せていく澪。だが、丁度同じ頃、神田須田町の登龍楼で、澪の創作したはずの料理と全く同じものが『つる家』よりも先に供されているという。はじめは偶然とやり過ごすも、さらに考案した料理も先を越されてしまう。度重なる偶然に不安を感じた澪はある日、ふきの不審な行動を目撃してしまい――。書き下ろしで贈る、大好評『みをつくし料理帖』シリーズ、待望の第二弾!(以上、本書カバー文から)。『姉ちゃんもしっかり働くから。だから辛抱して待っていて』 ふきと小さな弟の運命は?〜ほろにが蕗ご飯。吉原廓に太夫として身を置く幼馴染の野江におくる澪の思い〜こぼれ梅。長屋に住むおりょうとその子太一が麻疹(はしか)に。懸命に看病する澪と芳であった〜なめらか葛饅頭。相変わらずの下がり眉と澪をからかう小松原へ寄せる澪の恋心の行方は?〜忍び瓜。お薦めのみをつくし料理帖第二弾。(2010.03.31)

            
                
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(C)角川春樹事務所
 はっさく ゆき
『八朔の雪
みをつくし料理帖
 
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2009年(平成21年)5月第一刷発行/定価\552+税
 
神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す『つる屋』。店を任され、調理場で腕を振るう澪(みお)は、故郷の大阪で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み名料理屋『登龍楼』が非道な妨害をしかけてきたが・・・・・・。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作がここに登場!(本書カバーの説明文から)。〜山本周五郎の『さぶ』以来の感動! 十年に一冊の傑作に、涙が止まらなかった〜と、角川春樹氏も激賞。2010年の正月、思いがけずお年玉をもらったような傑作な本との出会いでした。お薦めの一冊。(2010.01.01)

            
         
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(C)新潮社
『向田邦子の恋文』
 
向田和子・著
新潮文庫/2005年(平成17年)8月初版発行/定価\362+税
 
茶封筒にひっそりと仕舞い込まれていた恋人N氏宛の手紙、電報、N氏からの手紙や日記、手帳。「もういいわよ」 姉が許してくれそうな気がした。飛行機事故で急逝した向田邦子の末妹、和子さんは死後20年たって"秘め事”の茶封筒を開けてみようと思います。『姉がありのままの自分をさらけ出している。甘えたり、ちょっぴり拗(す)ねてみせたり、愚痴をこぼしたり。そして、姉らしい、細やかな心遣いとユーモアがある』。手紙が書かれたのは向田邦子三十三、四歳のとき。脚本家への道を歩みはじめ、徹夜続きで仕事に打ち込む姉・邦子を慈しみ支えた一人の男性がいた。一途で切ない、秘密の恋だった−。遺された文面から今なお香り立つ想いが、遠い日をよみがえさせ、妹は姉にそっと語りかけ始める・・・・・・。幾つもの想いが響き合う、姉と妹の『最後の本』。向田邦子ファン必読の一冊。(2009.12.12)

            
  
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※ 本の表紙とは関係ありません
『八日目の蝉』
 
角田光代・著
中央公論社/2007年(平成19年)3月初版発行/定価\1600+税
 
野々宮希和子は不倫相手の家に忍び込む。生後6ヶ月の赤ちゃんを一目見るだけですべてを終わりにするつもりだった。しかし、『赤ん坊は笑った。確かに笑った。希和子は硬直したように動けなくなる。』 気がつくとその赤ちゃんを連れて逃げ出していた。逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか・・・、3年半の逃亡生活。それから17年の歳月が過ぎ、岡山港から小豆島行きのフェリーに乗り込む身重の若い女性の姿があった。ずっと土の中にいて、外に出てきたと思ったら七日間で死んでしまう蝉。『八日(ようか)目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものを見られるんだから。見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと思うよ。』 日常描写の中に、現代を生きる若者、母娘、家族の心象を掘り下げて描く直木賞作家初めての長篇サスペンス。重みのあるお薦めの1冊。(2009.11.08)

            
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(C)新潮社
『死の棘』
 
島尾敏雄・著
新潮文庫/2009年(平成21年)1月44刷改版/定価\781+税
 
『発作のときの妻の要求はただひとつだけ。私にその過去の行為を認めさせ、くわしい説明を迫るのだが、その度かさなるくりかえしに私は自分がおさえられない。追及を逃げると妻はどこまでも追いかけ、あげくの果ては小刀や紐(ひも)を持ちだし自殺のまねをはじめ、おたがいが先にやろうと取っ組み合う始末になる』(本文より)。思いやりの深かった妻が、夫の情事のため突然神経に異常を来たした。狂気のとりこになって憑(つ)かれたように夫の過去をあばきたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は割け砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへいくのか? ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。日本文学大賞・読売文学賞・芸術選奨作品。(2009.08.18)

            
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(C)新潮社
『出発は遂に訪れず』
 
島尾敏雄・著
新潮文庫/2007年(平成19年)8月7刷改版/定価\590+税
 
一年半のあいだ死支度をしたあげく、八月十三日の夕方防備隊の司令官から特攻戦発動の信令を受けとり、遂に最後の日が来たことを知らされて、こころにもからだにも死装束をまとったが、発進の合図がいっこうにかかぬまま足ぶみをしていたから、近づいて来た死は、はたとその歩みを止めた(『出発は遂に訪れず』より)。特攻隊長として予定された死、その死を準備するための異様な日常――。出撃命令が下って待機中に終戦を迎えた島尾敏雄は戦後、時に目眩く幻視の中に、あるいは哀しみを湛えたユーモアの中に、底深い虚無と崩壊の感覚を宿した作品を生み続ける。戦争体験を扱った作品群の到達点を示す表題作ほか、デビュー作「単独旅行者」など、島尾文学の精髄を余すところなく伝える傑作九編を収録。(2009.08.11)

        
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(C)新潮社
『白洲正子自伝』
 
白洲正子・著
新潮文庫/2001年(平成13年)5月5刷/定価\476+税
 
随筆家・美術評論家であの白洲次郎の妻だった白洲正子(明治43年〜平成10年)の人気は、再編集の著作が出版されるなど、死後もなお静かなブームとなっています。初太刀の一撃に命を賭ける示現流志士の軍人伯爵を祖父に持ち、薩摩隼人の度胸を魂深く受け継いだ人。青山二郎、小林秀雄、梅原龍三郎といった超一流の文人、名人たちとの交流を通じて、生はもちろん死の豊饒をも存分に感得した人。ものの意匠にとらわれることなく、本来の裸形をしかと見すえ続け、目利きで、ものがよく見えた人。祖父・樺山資紀の思い出、隼人の国、能に取憑かれて、歌舞伎の名舞台、十四歳でのアメリカ留学、白洲次郎との結婚、小林秀雄らとの交流、鶴川村へ移るなど、興味あるエピソードとともに、いったい、白洲正子という人は、いかにしてかの『白洲正子』になったのかが書かれている『韋駄天お正』のエッセイ風自伝。(2009.05.31)

      
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(C)新潮社
『伊豆の踊子』
 
川端康成・著
新潮文庫/2008年(平成20年)5月139刷/定価\362+税
 
『二十歳の私は自分の性質が孤児根性で歪んでいると激しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に堪え切れないで伊豆の旅に出て来ているのだった。』 修善寺から湯ヶ島、天城峠を越えて下田に向かう旅芸人一座と道連れになった、孤児根性に悩む一高生の淡い恋と旅情を描いた『伊豆の踊子』は、川端康成のあまりにも有名な短編です。去る3月の彼岸の連休を利用した伊豆への二泊三日の旅は、4月初めに還暦を迎える本ホームページ管理者の還暦前祝の旅でもありました。その旅の帰りに買い求めて読み直してみたのがこの文庫本でした。心惹かれ、想いをつのらせた清純無垢な踊子への別れ。しかし、孤児根性で歪んだ主人公の心はあたたかくときほぐされてゆきます。竹西寛子氏の解説に、『自力を超えるものとの格闘に真摯な若者だけが経験する人生初期のこの世との和解が、一編のかなめになっている』とあります。ほかに『禽獣』など3編を収録。若い頃読んだ名作をこの歳になって読み直してみるのも読書の一つの楽しみ方かも知れません。(2009.04.28)

  
【書籍のご案内・book】

(C)新潮社
『夕顔』
 
白洲正子・著
新潮文庫/1997年(平成9年)3月発行/定価\438+税
 
寂しい時、この鈴を振ってみると、推古の音がする。そして、子供の頃に見た法隆寺のあたりの景色がよみがえって来る。焼ける前の壁画の至福にあふれた情景も、丈高い百済観音の唇の紅も、大空に浮かぶ五重塔のかなたには、聖徳太子の幻影まで見えかくれする。「遠くも来つるものかな」と、その時わが身をふりかえって思うのだが、その思いには、過去をなつかしむというような甘ずっぱい感傷はない。何といったらいいのか、私たちの歴史は、たとえ無意識にせよ、私たちと共にある、私たちみんなの中に生きている、そう自覚することが生きていることの意味なんだぞと、推古の鈴は告げるようである。〜白洲正子著『夕顔』−法隆寺 鍍金鈴 推古時代−より。明治、大正、昭和、平成の四代を生きた人生の達人が、自然に寄り添い、先人を偲び、愛しい物を語り、生と死に思いを巡らせる。植物の感情をテーマにした表題作『夕顔』など、ホンモノを知る厳しいまなざしにとらえられた日常の感懐57篇を収録。(2009.02.10)

  
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(C)新潮社 
『風の男 白洲次郎』
 
青柳恵介・著
新潮文庫/2000年(平成12年)8月発行/定価\400+税
 
白洲次郎の口から時に noblesse oblige (ノブレス・オブリージュ、社会的に高い地位にある者の果たすべき義務)という言葉が発せられるのを聞いたと証言する人は多い。十年近くイギリスに遊学し、ベントレーやブガッティーを乗り回す生活をしたという特権を、何らかの oblige(義務)として社会に還元せねばならぬというふうに考えたはずである。後年、彼の交友関係の伝(つて)を頼んでやってくる人間が便宜をはかった礼に金品を持参したりすることがあると、次郎は『馬鹿野郎、俺は大金持なんだ。そんなものもらえるか』と怒鳴りつけるのが常であったという。その乱暴な言葉の裏側にも noblesse oblige の攻撃性は一つの思想として生きていたというべきだろう(以上、書中より引用)。日本国憲法誕生の現場に立会い、あの占領軍司令部相手に一歩も退かなかった男、常に活眼を世界に注ぎつつ、わが道を行く天衣無縫の気概。生涯賭けて『プリミティブ(素朴)な正義感』を貫いた風の男・白洲次郎の評伝。お薦めの一冊です。(2009.01.06)

  
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『桜島・日の果て・幻化』
 
梅崎春生・著
講談社文芸文庫/1989年(平成元年)10月第1刷発行/定価\1200+税
 
米海軍の日本本土上陸に備え、本土最南端を防衛する震洋隊基地が置かれた坊津に終戦の年の5月、通信分遣隊下士官として赴任し、その後まもなく桜島通信隊に転勤、終戦の日を桜島の洞窟陣地で迎えた著者が、坊津、桜島での海軍体験をもとに、死ぬことが決まっている極限状況下の心象風景を描き、戦争の実相と『美しく死ぬこと』の虚妄性を暴き出した『桜島』。終戦の御詔勅を確かめに暗号室に向かうラストシーンが感動的です。梅崎春生は、夫人と共に18年ぶりに海軍時代、旧制高校時代を過ごした鹿児島から熊本を訪ねます。”人生幻化に似たり” その旅は、失われた時に対する回帰の旅に他なりませんでした。その旅の経験を背景に書いた遺作『幻化』は、人間の根源を探る梅崎文学の傑作といわれます。その他、秀作『日の果て』、処女作『風宴』を収録。梅崎恵津夫人や古林尚(故人、文芸評論家)の解説も興味深いです。(2008.08.19)

 
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(C)新潮社 
『時雨みち』
 
藤沢周平・著
新潮文庫/1992年(平成4年)6月第15刷/定価\400+税
 
先月末、信州霧ヶ峰への旅の友にと手にした一冊が藤沢周平のこの短編集でした。なぜ、この本かというと、田中麗奈、東山紀之主演で映画化され、今話題になっているという『山桜』の原作を読み直してみたかったからです(映画はまだ観ていません)。読んだのはもう十数年前のことですが、一人の武士が山桜の枝を手折ってあげるシーンを自分なりに思え描き、未だにその映像が脳裏にあります。ハッピーエンドのストリーであったことと短編のタイトルも覚えていましたし、印象に残った短編なのに巻末の解説では一切触れられていなかったことも頭の片隅にあったものでした。結ばれるべき折角の機会に、ふと見過ごしてしまった縁。『ここが私の来る家だったのだ』。その縁を手繰り戻したのは、男の一途な想いでした。そのほか、表題作、夜の道、おさんが呼ぶなども良いです。感動的な短編11篇を収録。(2008.07.14)

 
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『父の詫び状』
 
向田邦子・著
文春文庫/2006年(平成18年)2月新装版/定価\495+税
 
「七人の孫」「だいこんの花」「寺内貫太郎一家」などのテレビドラマで、昭和30年代終わりから50年代にかけて、高視聴率シナリオライター作家の座を維持し、航空機事故で急逝した向田邦子さんの第一エッセイ集。乳癌手術で入院した向田さんは、退院後、隔月連載で短いものを書いてみませんかと執筆依頼を受けます。こういう時にどんなものが書けるか、自分をためしてみたい、誰かに宛てるともつかない、のんきな遺言状を書いておこうかな、という気持ちで子供の頃を思い出し思い出し二年半連載を書き続けます。それを一冊にまとめたのがこのエッセイ集。宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞・・・だれの胸の中にもある父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモラスを交えて見事に描いた表題作ほか、全24編を収録。”名人真打ち”と絶賛されたエッセイの最高傑作。(2008.05.26)

 
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『自伝 若き日の狂詩曲』
 
山田耕筰・著
中公文庫/1996年(平成8年)6月発行/定価\1068
 
幼年期、義兄ガントレットに西洋音楽の手ほどきをうけた耕作は、やがて東京音楽学校に入学。そして、日本人として初めてベルリンの王立音楽学院へ・・・。日本初の管弦楽団をつくるなど日本における西洋音楽の普及に努める一方、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団等を指揮するなど国際的にも活動し、日本の音楽史に燦然と輝く山田耕筰だが、少年期・青年期を労働苦学の中に過ごす。『工場で職工に足蹴りされたりすると、私はからたちの垣根まで逃げ出し、人に見せたくない涙をその根方にそそいだ。そうしたとき、畑の小母さんが示してくれる好意は、嬉しくはあったが反ってつらくも感じられた。漸くかわいた頬がまたしても涙に濡れるからだ。からたちの、白い花、青い棘、そしてあのまろい金の実、それは自営館生活における私のノスタルジアだ。そのノスタルジアが白秋によって、詩化され、あの歌となった。』 山田耕筰の破天荒な青春期。(2008.05.05)

 
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(C)新潮社 
『峠(上)(中)(下)』
 
司馬遼太郎・著
新潮文庫/2003年(平成15年)10月発行/定価\667、\743、¥590
 
人はどう行動すれば美しいか、どう思考し行動すれば公益のためになるかという思想が、幕末期に完成した武士という人間像を生み出した。それは、多少奇形であるにしてもその結晶のみごとさにおいて人間の芸術品とまでいえるように思える(『あとがき』から)。長岡藩士として生きなければならないという強烈な自己規律によって武士道に生き切ったゆえに、開明論者であり、封建制度の崩壊を見通しながら、長岡藩をひきいて官軍と戦うという矛盾した行動をとるに至った河井継之助。西郷・大久保や勝海舟らのような大衆の英雄の蔭にあって、一般にはあまり知られていない幕末の英傑、維新史上最も壮烈な北越戦争に散った最後の武士、河井継之助の生涯を描く力作長編。主人公の江戸における学問修業、女郎買い侍ぶり、備中松山の山田方谷との出会い、公家女との交情など史実と空想の調合ぶりも面白く、また幕末・維新史の勉強にもなります。(2007.12.26)

 
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(C)明徳出版社 
『炎の陽明学 −山田方谷伝−』
 
矢吹邦彦・著
明徳出版社/1996年(平成8年)3月初版/定価3300円
 
『吉田松陰、河井継之助、西郷隆盛と、経世済民に走った陽明学徒の人生は、きまって悲惨であり不遇であった。ただ一人例外がいる。幕末から明治維新にかけて、激動の真っただ中を、最後まで己の信念と行動を貫いて疾走した山のごとき巨人がいた。』 岡山県の内陸山岳地帯を南北に流れる高梁川の両側の谷間に形成された高梁市街は、備中松山藩の城下町でした。藩政改革といえば、米沢藩の上杉鷹山が知られていますが、幕末期の備中松山藩にあって、短期間に鷹山の何倍もの改革を成し遂げた山田方谷という人がいました。10万両あった藩の借財を8年間で10万両の備蓄に変え、貧乏板倉と陰口を叩かれた備中松山藩を実力20万石の藩にした人であり、実は彼こそ大政奉還上奏文の起草者でもありました。信念を貫いた生涯、知られざる家庭生活と苦悩等、勝者の歴史に忘れられた人間山田方谷の光と陰を余すことなく描いた感動の力作。 (2007.07.31)

 
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(C)角川書店 
『夜は短し歩けよ乙女』
 
森見登美彦・著
角川書店/2006年(平成18年)11月初版/定価¥1500
 
森見登美彦(もりみ・とみひこ)氏は、独特の文体と奇想に満ちた作風を身上とする、1979年奈良県生まれで京都大学大学院(農学研究科)修了の作家。京都のレトロな雰囲気漂う木屋町や先斗町界隈、古本市や学園祭などを舞台に、大学一回生の黒髪の乙女と彼女に恋している先輩が繰り広げる不思議な騒動をエキセントリックに描いたファンタジー小説。小説とは何んでしょうか? 藤原正彦氏は、情緒を培(つちか)うには、実体験だけでは時空を越えた世界を知ることができない、したがって、読書に頼らざるを得ないと言います。この小説は、現実的には起こりえないけど、遭遇してみたいと誰もが憧れるような目くるめく幻想世界の光景を読者にイメージさせ、気持良い酩酊の心持ちにさせる小説。心豊かにさせずにはおきません。全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2007年本屋大賞2位、および山本周五郎賞(第20回)受賞作品。(2007.07.13)

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