レポート | ・水素社会について |
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化石燃料の枯渇 − 水素社会について(1)
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1.プロローグ 〜 化石燃料の枯渇 南九州もこの冬は寒い日が続き、灯油の消費量が平年を上回りました。ガソリンの値上がりは家計を直撃しています。このように、ちょっと石油の消費量が増えるだけで、私たちの生活はその影響をもろに受けます。もし、石油がなくなったら私たちの生活は一体どうなるのでしょうか。 自動車の燃料や火力発電の燃料に使われている石油や天然ガス、石炭は、動物や植物の死骸が地中に堆積し、長い年月の間に変成してできたもので、『化石燃料(かせきねんりょう)』と呼ばれています。 化石燃料を燃すと二酸化炭素、窒素酸化物などが発生し、地球温暖化、公害など環境に悪影響を与えることから、京都議定書(1997年に議決、2005年 2月発効)によってそれらの排出削減が図られようとしていることはご承知の通りです。 そして、化石燃料のさらに根本的な問題は、あと40 〜 50年後には枯渇(こかつ)してしまうと予測されていることです。 現在、発電方式には、火力、原子力、水力、太陽光、風力、地熱などによる方法があって、比率は、火力50%、原子力35%、水力9%、太陽光 0.2%、風力0.1 %、地熱他 0.2%程度となっています。 原子力は、備蓄可能で安定的な供給が可能ですが、放射能漏れや放射線廃棄物の問題など、安全が前提であり、今以上の原子力発電所の増設は考えられません。水力は、ダムに依存するため膨大な建設費用と期間がかかるばかりでなく、生態系破壊という問題があって漸減の状況にあります。 そこで、環境に影響を与えないエネルギーとして最近、風力、太陽光発電が、クローズアップされていますが、これらの自然エネルギーは密度が低くコスト高である、自然条件に左右され供給の安定性に課題があるなど、大容量の火力・原子力発電の代替にはなり得ないと言われます。 2.水素燃料電池 そのような中で、将来火力や原子力にとって変わる基幹エネルギーとして期待されているのが『水素エネルギー』です。 水(電気を通しやすくするために水酸化ナトリウムなどを溶かしておく)に、電気を通すと水は分解し、水素と酸素が発生します。中学校の理科の実験で出てくる『水の電気分解』です。 水(2H2O)+ 電気エネルギー → 水素(2H2)+酸素(O2) 外部から水素と酸素を供給し続けることで、水の電気分解と逆の反応によって継続的に電力(電気エネルギー)を発生させる、一種の発電装置が『水素燃料電池』です。 水素(2H2)+酸素(O2) → 水(2H2O)+電気エネルギー 炭素C(石油や天然ガスや石炭、木材など)を燃やすと火力が得られます。燃やすということは、酸素(O2)と反応させるということですから、『水素燃料電池』は水素(H2)を燃やして電気を得るというふうに理解することもできます。 水素燃料電池の原料である水素と酸素(空気)は、地球上に無尽蔵に存在し、汚染物質を排出して大気を汚すこともなく、得られた生成物(水)は環境にやさしいです。 3.水素社会 エネルギー枯渇の問題をクリアし、持続可能な社会を作るため、水素をエネルギーの中心にすえた社会、すなわち『水素社会』(あるいは『水素エコノミー』と言われる)の実現が今提唱され話題になっています。 水素社会の実現は、化石燃料を持つ地域だけが富めるシステムを脱し、エネルギーを世界的規模で民主化するという側面も持っているのです。 |
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2006.03.08 |
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