書籍紹介  ・最近読んだ本/お薦(すす)めの一冊(7)   
    
 

                   
【書籍のご案内・book】
『残月 みをつくし料理帖
   
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2013年(平成25年)6月第一刷発行/定価\619+税

  
みをつくし料理帳は、第一巻『八朔の雪』の発売が2009年5月で、第七巻『夏天の虹』の発売が2012年3月でした。第七巻以来一年三ヶ月振りに出された『残月』は、カバー説明に”料理に生きる澪と「つる家」の新たな決意。希望溢れるシリーズ第八弾”とあります。又次を偲ぶ盂蘭盆会の三日精進、そんな中で料理の腕をあげているふきの成長(残月〜かのひとの面影膳)、やっと消息が知れた天満一兆庵の若旦那佐兵衛との再会(彼岸まで〜慰め海苔巻)、あさひ太夫こと野絵との再会と登龍楼への新たな挑戦(みくじは吉〜麗し鼈甲珠)、そして一柳の旦那柳吾からの芳への求婚(寒中の麦〜心ゆるす葛湯)と、今までつらいことの多かったストリーは、一気に、ページの最初から最後まで嬉し涙、涙でハッピーな方向へ進みます。第八巻『美雪晴れ』がすでに今年(2014年)2月に発売済みで、今年8月発売予定の第十巻『天の梯』をもって、いよいよシリーズは完結となります。まだお読みでない方にはお薦めのシリーズです。(2014.04.18)

                         
                
                   
【書籍のご案内・book】
『秋月記』
 
葉室 麟
(はむろ りん)・著
角川文庫/2011年12月第1版発行/定価\667+税

 
筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がる。本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功するが、本藩には初めから、秋月藩の政変を利用して秋月藩を吸収しようという策謀の意図があったことに気づく小四郎。いつしか仲間との絆も揺らぎ始めひとり孤立していく。『外に敵がいなくなれば、今度は内に敵ができる。』 『自分は宮崎家老のように捨て石になれるだろろうか。』 一般的には秋月藩の藩政で専横を極めた悪人として語り伝えられている宮崎織部と間小四郎という二人の人物を、、清濁を共に飲み込み悪役になり切ることによって、秋月藩の独立を守り抜こうとした英雄だったと新しい解釈のもとに描いた小説。眼鏡橋や秋月葛の高木久助のほか、秋月藩藩医で日本で初めて種痘を行った緒方春朔、稽古館教授の原古処とその娘で女流漢詩人の原猷(原采蘋)なども登場します。秋月観光の際には一読をお薦めしたい一冊。(2013.12.29)

                         
           
                   
【書籍のご案内・book】
『霖雨』(りんう)
 
葉室 麟
(はむろ りん)・著
(株)PHP研究所/2012年5月第1版発行/定価\1,700+税

  
霖雨(りんう)とは、何日も降りつづく雨、すなわち長雨のこと。”止まぬ雨はないが、止んだ雨はまた降り出しもしようし、そうでなければ作物は育たぬであろう。その世に生れて霖雨が降り続くような苦難にあうのは、ひととして育まれるための雨に恵まれたと思わねばなるまい。” 天領・豊後日田(大分県日田市)の私塾・咸宜園(かんぎえん)を主宰する広瀬淡窓(ひろせたんそう、儒学者・詩人)と家業を継いだその弟・久兵衛の、困難に立ち向かいながらも清冽な生き方を貫こうとする姿を描いた歴史小説。入門にあたり年齢・学歴・身分を問わない淡窓の教育方針は当時としては画期的。全国から入門希望者が集まったが、お上にとっては危険な存在で、西国郡代からのいやがらせが続く。一方、掛屋を営む弟の久兵衛も、公共工事を請け負わされ、民の反発をかって苦境に陥っていた。そんな折、大塩平八郎の乱に加わった元塾生が淡窓のもとに逃げてくる。お上に叛旗を翻した乱に加わった弟子に対し、淡窓はどんな決断を下すのか。また久兵衛は難局を乗り切ることができるのか。直木賞作家である著者がデビュー以来、温めてきた題材。(2013.09.23) 咸宜園の教育

                               
       
       
【書籍のご案内・book】
『海賊とよばれた男』(上)(下)
 
百田 尚樹
(ひゃくた なおき)・著
講談社/2012年07月初版発行/定価 各\1680+税

  
1945年8月15日、男の戦いは、0からはじまった・・・。 100万部突破のベストセラー『永遠の0』の作者・百田尚樹が書き下ろしたドキュメンタリー小説の傑作。戦後忘却の堆積に埋もれていた驚愕の史実。本屋大賞(2013年)受賞作品。敗戦の夏、異端の石油会社『国岡商店』を率いる国岡鐵造は、なにもかも失い、残ったのは借金のみ。そのうえ石油会社大手から排斥され売る油もない。しかし、国岡商店は社員一人たりとも解雇せず、旧海軍のタンクの残油集めなどで糊口をしのぎながら、たくましく再生していく。20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー、石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とはいったい何者か。〜 タイムカードなし、出勤簿なし、解雇なし、定年なしという絶対的『人間尊重』の個人商店経営を貫き通し、メジャー傀儡の国内石油会社、日本政府を敵に回しながら、民族系石油会社の経営に命を懸けた実在の人物、出光興産の創業者・出光佐三をモデルにしたノンフィクション・ノベル。 (2013.08.19) 

    
      
                   
【書籍のご案内・book】
『蛍草』
 
葉室 麟
(はむろ りん)・著
(株)双葉社/2012年12月第1版発行/定価\1,500+税

  
蛍草とは露草のこと。武士だった父親が城中で刃傷沙汰を起したとして切腹。しかし、それは仕組まれた罠だった。家は断絶、母とともに、庄屋を務める母の実家に身を寄せるがやがて母も逝き、ひとり残された菜々は16歳で勘定方風早市之進のもとに女中奉公に出る。城下に出ればいつか父の仇に出会えるかも知れないという密かな期待があった。風早家は温かい家だった。妻女の佐知は菜々をまるで妹のように優しく導いてくれ、二人の幼子たち(嫡男正助と妹とよ)からも慕われ、菜々にとっては幸せな日々が続いていた。だが、やがて風早家に暗雲が。佐知が労咳で病死。市之進が無実の罪を着せられ投獄されてしまい、屋敷は閉鎖。そこから、自分に託された風早家の二人の幼子を守るための菜々の孤軍奮闘の活躍が始まる。そして、市之進を嵌めたのが無念の死を遂げた父の仇敵その男だったことを知る菜々は、一世一代の勝負に出る・・・。軽妙洒脱にして痛快な時代エンターテインメント! (2013.08.13) 

                   
      
      
                      
【書籍のご案内・book】
『銀漢の賦』(ぎんかんのふ)
 
葉室 麟
(はむろ りん)・著
文春文庫/2010年5月初版発行/定価\580+税

  
寛政期、西国の月ヶ瀬藩という架空の小藩の郡方(地方役人)として生きている日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。そして、百姓一揆の首謀者として処罰される十蔵。三人は、少年時代を共に同じ道場で過ごした竹馬の友であるが、友情で結ばれながらも友情だけではどうしようもない過酷な現実に直面する。ある出来事を境に絶縁状態となっていた源五と将監。道が再び交差する時、運命が激しく動き出す。ある時は敵対し、またある時は味方になりながら、身分、立場を越えて『義』に生き、理想と自信と誇りをもって生き抜こうとする男たちのたどる数奇な運命を描いた時代小説。『銀漢とは天の川のことなのだろうが、頭に霜を置き、年齢を重ねた漢(おとこ)も銀漢かもしれんな。』 父の仇、女への淡い思慕、秘剣、一揆など、多彩な要素を展開させながら、男の友情を爽やかに描ききっていて壮快。『蜩ノ記』(ひぐらしのき)で第146回(2012年度下半期)直木賞を受賞した作家の第十四回(2007年)松本清張賞受賞作品。(2013.07.30)

                   
   
                   
【書籍のご案内・book】
(C)新潮社 『橘花抄』(きっかしょう)
 
葉室 麟(はむろ りん)・著
新潮文庫/2013年5月初版発行/定価\670+税

  
初代長政のあと、2代目、3代目、4代目とお家騒動が続く筑前黒田藩を背景に実在の人物を題材にした時代小説。藩主親子と兄弟の不仲に巻き込まれ、一途に藩のために動けば動くほど渦巻く陰謀にはまっていく立花重根(しげもと)とその弟・峯均(みねひら)。『花の美しさは色にありましょうか』『いいえ。花の美しさは生き抜こうとする健気さにあるのです』『それがいのちの美しさですから』 自分を貫いて生きろうとする女たち。茶道や和歌、香道という馴染みない事柄を効果的に織り交ぜながら物語は展開していきます。両親を亡くした卯乃は、筑前黒田藩で権勢を振るう重根に引き取られたが、父の自害に重根が関与したと聞き、懊悩のあまり失明してしまう。前藩主の没後、粛清が始まった。減封、閉門、配流。立花一族は従容として苦境を受け入れるが追及は苛烈を極め、重根と峯均に隻腕の剣士・津田天馬の凶刃が迫る。己の信ずる道を貫く男、そして一途に生きる女。清新清冽な本格時代小説。 (2013.07.09) 

                   
        
                   
【書籍のご案内・book】
『夜明けの雷鳴 医師・高松凌雲
 
吉村 昭・著
文春文庫/2003年1月第1刷/定価\552+税
 
  
慶応3年(1867年)、万国博覧会に出席する徳川昭武の随行医として渡欧した31歳の医師・高松凌雲(たかまつしゅううん)。『神の館』と呼ばれるパリの市民病院で外科手術をはじめとする最新の医学を学ぶ中で、その民間病院に貧しい者を無料で施療する病院が付属しているのを知って感嘆し、医学にたずさわる者が持つべき高潔な精神を学びます。渡欧から1年半後、江戸幕府が瓦解。帰国後、旧幕臣として箱館戦争に身を投じます。箱館病院の院長に就任し、パリ留学で学んだ精神を胸に、敵味方を問わず戦傷者の治療に当たりました。この行為は日本で初めての赤十字の活動であり、日本史において大きな出来事となりました。箱館戦争後、東京に戻った凌雲は新政府からの役職の誘いを全て断り、町医者として『神の家』の精神を実行する道を選びます。貧民を無料で診察する組織の設立を提案、明治12年(1879年)、民間救護団体の前身と言われる同愛社が創設されました。博愛と愛の人の生涯を描いた歴史長編 (2013.04.08) 高松凌雲について

                   
        
                   
【書籍のご案内・book】

祥伝社
『蜩ノ記』(ひぐらしのき)
 
葉室 麟
(はむろ りん)・著
祥伝社/2011年11月初版発行/定価\1600+税
 
  
豊後(現在の大分県の中部〜南部)・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉(かど)で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり・・・。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山あいの風景の中に謳い上げる、感涙の時代小説。第146回(平成23年度下半期) 直木賞受賞。役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子出演で映画化、2014年公開。葉室麟 1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、『乾山晩秋』で歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞。そののち、『いのちなりけり』『秋月記』『花や散るらん』『恋しぐれ』がいずれも直木賞候補となる。 (2013.04.01)

       
        
                   
【書籍のご案内・book】

淡交社
『アイランド・ライフ 海を渡って漁師になる − 甑島日記』
 
ジェフリー・S・アイリッシュ・著(北野幸子=訳)
淡交社/1997年5月初版発行/定価\2000+税
 
  
いつか、日本の田舎で暮らしてみたいと思っていた著者のジェフリーさん(米国・カリフォルニア州生まれ)は、ニューヨークのマンハッタンの日本料理店で行なわれた友人の結婚式で、下甑島(しもこしきじま、鹿児島県薩摩川内市)の村長さんと知り合いになり、下甑島に来てみないかと誘われます。そして、夢を叶えるなら今だと決心して、3年後の1990年、30歳の時、下甑島に渡りました。下甑島の手打(てうち)で、3年間を定置網の漁師として過ごしながら、方言や地域の風習、文化などを学びます。ジェフリーさんにとって、島での生活は、驚きと発見の連続でした。それらのことや島の生活や暮らしぶりの様子が綴られています。/私の持っている日本語の語彙(ごい)は、学究的なものや都会的なものが多かった。この島に来て、海や大地や雲の形などに関する、全く新しい言葉に出合うことに喜びを感じた。/彼女は、島なまりで話す私をからかった。いっしょに笑っている私は、方言を使う楽しさと、言葉を短くすることを知り、島言葉の暖かさを感じて幸せだった。(2013.02.15)

        
       
                   
【書籍のご案内・book】

(C)角川春樹事務所
『みをつくし献立帖』
 
高田 郁 (たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2012年(平成24年)5月第一刷発行/定価\686+税
 
高田 郁さんの好評の時代小説『みをつくし料理帖』シリーズは、第1作目の『八朔の雪』 (2009年5月)から『夏天の虹』(2012年3月)まで7作を数えます。各話ごとに話に由来した料理が登場し、巻末にそのレシピが公開されています。”シリーズで登場した料理をあなたのご家庭に!” 『みをつくし献立帖』はそれらのレシピ集で、高田さん自らが再現した料理の写真も見れます。その他、つる家の間取り図や書き下ろしエッセイ『みをつくし内緒噺』、そして主人公・澪(みお)と野江の幼き日の思い出を描いた書下ろし短編小説『貝寄風』(かいよせ)を収録。料理人でもないはずの高田さんがどうやってレシピを手に入れているのだろうと疑問に思っていましたが、”作中の料理は全て自分で作っていますが、レシピを付けるとなると、やはり「美味しい」と思って頂くことが一番。ですから、幾度も幾度も試作を繰り返す羽目になります。”とありますから、驚きです。『みをつくし料理帖』ファン待望の一冊。そして、『みをつくし料理帖』シリーズ、お薦めです。(2012.12.29)

      
    
                   
【書籍のご案内・book】
『北の礎 −屯田兵開拓の真相−』
 
若林滋・編著
中西出版/2005年5月発行/定価\1,905+税
 
〜 筆者は、『屯田兵制度は有効にして成功した制度であった』との従来の評価を肯定しながらも、『それは屯田兵と家族の犠牲と献身を抜きにしてはあり得なかった』と述べている。これこそ筆者の視座であり、本書に一貫した「目」であろう。われわれ屯田兵子孫として、ようやく納得のいく「屯田兵の本」を得ることができた。 〜<北海道屯田兵倶楽部名誉会長 小林博明>(「発刊に寄せて」 より)。この本は、最後の屯田兵村・剣淵町生まれの会津入植者三代目にあたる著者が、制度廃止百年に当って『屯田兵と家族の側』から屯田兵制度を検証しようというねらいで書いた本。第一編『屯田兵開拓を検証する』、第二編『北海道屯田兵制概史』の二編からなっています。第一編は、屯田兵村をくまなく歩き、豊富な資料を駆使し、原生林を開拓した屯田兵と家族の厳しい戦いの日々を活き活きと描きいており、第二編は、屯田兵誕生の背景、制度創設、展開と評価、略年表で構成された資料編になっています。 (2012.12.04)

    
  
  
                   
【書籍のご案内・book】

(C)新潮社
『浮雲
 
林芙美子・著
新潮文庫(新潮社)/2011年11月第85刷(昭和28年4月)発行)/定価\630+税
 
第二次大戦下、義弟との不倫な関係から逃れるように農林省の林業調査部署のタイピストに志願して仏領インドシナ(現・ベトナム、カンボジア、ラオス)に渡った幸田ゆき子は、妻ある農林研究員の富岡と出会う。一見冷酷な富岡は女を引きつける男だった。本国の戦況をよそに豊かな南国で共有した時間は、二人にとって生涯忘れえぬ蜜の味だった。そして、終戦。戦後帰国後もなお互いを忘れることができない男と女が不幸な恋愛に身を落していく物語。焦土と化した東京の非情な現実に翻弄され、ボロ布のように疲れ果てた男と女は、ついに雨の屋久島に行き着くのだが・・・。『この無精神状態のなかに、ゆき子と古いきずなを続けるのはたまらない気持だった。そのくせ、その古いきずなは、切れようとして切れもしないで、富岡の生活の中にかびのように養い込んでしまっていた。』(本文より引用)男女の孤独と、切るに切れない腐れ縁という恋愛の本質を濃密に描き上げた放浪の作家・林芙美子の代表作で、現在も読み継がれている恋愛小説の名著。 (2012.11.22)

    

                   
【書籍のご案内・book】

(C)角川春樹事務所
『夏天の虹 みをつくし料理帖
 
高田 郁
(たかだ かおる)・著
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2012年(平成24年)3月第一刷発行/定価\619+税
 
想いびと小松原(御膳奉行・小野寺数馬)と添う道が開けた澪(みお)。小野寺家への武家奉公の準備が整うなかで、澪は『つる家』で料理をつくり、供する自分の姿を思い浮かべます。果たして生きる標となる心星とは何なのか、もう一度自分を見つめ直してみた澪は小松原に打ち明けます。『料理は私の生きる縁(よすが)です。どうあっても、それを手放すことなど出来ません。この命のある限り、ひとりの料理人として存分に料理の道を全(まつと)うしたいのです』『そうか相わった。ならば、その道を行くのだ』『あとのことは何も案ずるな。全て俺に任せておけ』 胸に錐(きり)を突きたてられたかのような痛みをこらえながら、決して交わることのない道と訣別し、再び料理人の道を歩き出した澪(第一話『冬の雲雀』)。しかし、幾多の試練が・・・。表題ほか全四話を収録。第一作以来の販売部数が累計170万部を突破した大好評シリーズ第七弾! そして2012年ついにテレビドラマ化(テレビ朝日系列で9月22日(日)21:00〜放映) (2012.09.18)

       
 
       
                   
【書籍のご案内・book】
『夢のサムライ』 北海道にビールの始まりをつくった薩摩人=村橋久成
 
西村英樹・著
文化ジャーナル鹿児島社/1998年(平成10年)6月第一刷発行/定価\1500+税
 
開拓使時代を駆け抜けた、ビールの祖・村橋久成について、関係資料や写真を交えながら綴った書。神戸の路上に行き倒れて凄絶な死をとげた村橋の遺骨がどうなったのか長い間知られないままでした。ところが昭和60年(1985年)になって、東京・青山霊園に墓碑があることが判明、さらに、東京在住の実のお孫さんの家から『故村橋久成氏葬儀関係文書』と書かれたひとまとまりの文書類が見つかります。驚いたことに、黒田清隆をはじめとする開拓使元幹部たちの手によってとりおこなわれた、村橋久成の葬儀に関する記録書類とその前後にかれらのあいだでやりとりされた数十通の文書類でした。その詳細について写真入りで紹介。『それらの文書からは、開拓使時代はもちろん、幕末・維新にさかのぼって、生死をともにした仲間にたいする薩摩人たちの深い温情と、開拓使廃止から10年の月日を経てなお生きつづけた同志的結束の強さ、そして、維新から四半世紀を経たこの当時のかれらの様子をうかがい知ることができる。』(本書より引用)。(2012.08.20)


    
                  
【書籍のご案内・book】
『残響』
 
田中和夫・著
文化ジャーナル鹿児島社/1998年(平成10年)7月第一刷発行/定価\1500+税
 
藩命で薩摩藩英国留学生の一人としてイギリスに留学し、帰国後、戊辰戦争に参加、のち開拓使につとめ、明治9年に開拓使麦酒醸造所(現サッポロビールの前身)を誕生させたほか、琴似屯田兵村・七重勧業試験場・葡萄酒醸造所・製糸所・鶏卵孵化場・仮博物場・放羊場などを創設し、北海道産業の礎になる業績を多く残しながら、開拓使官有物払下げ計画が具体化すると、突然開拓使を辞職して行方をくらまし、その11年後、神戸の路上に行き倒れて凄絶な死をとげた村橋久成(むらはし ひさなり)。北に夢を追ったサムライは、何を思い流浪の人になったのか。約500冊にも及ぶ公文録・申奏録・会計書類などを紐解きながら足跡を突き止め、村橋久成の生き方を描き切ろうとした小説。一般にはあまり知られていない村橋久成の名が再び人々の前に登場することになり、北海道久成会が発足。第16回北海道新聞文学賞受賞作品。※本書は昭和57年に出版のものが平成10年に再出版されたものです。(2012.08.13)


   
                 
【書籍のご案内・book】
『あなたの中のリーダーへ』
 
西水美恵子・著
英治出版/2012年(平成24年)5月第一刷発行/定価\1600+税
 
名著『国をつくるという仕事』から3年、待望の新刊『あなたの中のリーダーへ』は、2008年4月から2012年3月までの4年間にわたって西水さんが『電気新聞』のコラム欄『時評ウエーブ』に寄稿されたエッセイが書籍化されたものです。 〜 未来をつくる責任は、私たち一人ひとりにある。世界銀行副総裁として、途上国の貧困と闘い、巨大組織の改革に取り組んできた著者。『国民的総幸福』で知られるブータン政府や多くの企業のアドバイザーとして活動しながら、その目に今、日本と日本人はどう映るのか。働き方と組織文化、リーダーの姿勢と行動、危機や課題との向き合い方、求められる変革と本質・・・・・深い洞察と揺るがぬ信念で綴られた、心に火をつける一冊 〜 (本のカバーより)。第一部(本気のリーダー 本気の仕事)は、決して忘れずに!、人の命にかかわること、雷龍王の教え、歩き回って、など22編。第二部(私たちのリーダーシップ 私たちの国づくり)は、いま、正す時、小さな大国、庄内人の魂など26編、計48編の情熱あふれるメッセージ。(2012.06.04)

       
         
     
【書籍のご案内・book】
『天地明察』
 
冲方 丁
(うぶかた とう)・著
角川書店/2010年(平成22年)11月初版発行/定価\1800+税
 
戦乱から泰平へと移行しつつあった江戸初期。800年前から使われていた『宣明暦』が誤差を生じ、蝕の予測をことごとく外します。凶作は天候によってもたらされ、天候は天意である。その天意の結果、地に飢民が生ずるのは、人がどうこうできるものではない、”仕方なく慎むべきもの”。果たしてそうなのだろか、”人が正しき術理をもって、天を知り、天意を知り、もって天下のご政道となす・・・ それが叶えられぬものか。” 4代将軍家綱の輔佐役(大政参与)、保科正之は、一介の御城碁打ちに改歴という大事業を託します。水戸光圀や江戸幕府大老・酒井忠清、算術の天才で和算の開祖・関孝和、異端の神道家・山崎闇斎など、多彩な登場人物たちとの交際のなかで、22年の歳月をかけて日本独自の暦法を完成させた実在の人物、安井算哲(後の渋川春海)の生涯を描いた物語です。第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞。『おくりびと』の滝田洋二郎監督、岡田准一と宮崎あおい共演により映画化、2012年9月全国公開。(2012.04.16)

          
【書籍のご案内・book】
『国をつくるという仕事』
 
西水美恵子・著
英治出版/2009年(平成21年)4月第一刷発行/定価\1800+税
 
1980年の春、米国プリンストン大学で経済学を教えていた西水美恵子さんは、ふと思いついて足を運んだエジブトの首都カイロ郊外にある貧民街で、ナディアという病む幼女に出会います。看護に疲れきった母親から彼女を抱きとったとたん、その羽毛のような軽さにどきっとさせられました。緊急手配した医師は間に合わず、ナディアは、西水さんに抱かれたまま、静かに息をひきとります。西水さんは、民の苦しみなど気にもかけない為政者の仕業と直感し、脊髄に火がついたような気がしました。学窓に別れを告げ、貧困と戦う世銀に残ることを決めます。それから23年間におよぶ西水さんの、『貧困のない世界をつくる』夢を追う、毎日が始まりました。本書は、世界銀行で副総裁まで務めた西水美恵子さんが、世銀での実務の中で見聞した発展途上国の実態や、頭とハートがしっかりつながり、言葉と行動に矛盾のない、忘れえぬリーダたちのことを綴った回想記になっています。必読の一冊、お薦めの一冊。(2011.02.19)

           
                   
【書籍のご案内・book】
『炭坑(ヤマ)の語り部 山本作兵衛の世界』
 
田川市石炭・歴史博物館・編集&発行/2008年(平成20年)11月第一刷発行/定価\2000+税
 
14歳から坑内に入り、採炭夫や鍛冶工として筑豊各地の中小炭坑で63歳までの約半世紀をヤマで働き、宿直警備員になった65歳から92歳で亡くなるまで描いた山本作兵衛氏の炭坑記録画は、2011年(平成23年)5月、日本で初めて世界記憶遺産に登録されました。炭坑記録画には、坑内の労働のみならず、ヤマの生活、禁忌、当時の世相、子供たちの暮らしなど、炭坑社会のあらゆる場面が、絵と文章を組み合わせた構図と独特のタッチで描かれています。田川市石炭・歴史博物館所蔵の山作兵衛氏炭坑記録画584点を、初期の墨画、後年の水彩画とも、十一種類のモチーフに分類し、それぞれ、採炭、保安作業、通気・排気、運搬(坑内)、運搬(坑外)・その他、日常生活と子どもの遊び、禁忌・迷信、世相、娯楽・訪問者、喧嘩・米騒動、災害・リンチの順に掲載。一般の人々には知る由もなかった、ヤマの労働と暮しの風景が今よみがえります。二本煙突築百周年/田川市石炭・歴史博物館開館二十五周年記念特別企画として制作された図録。(2011.02.06)
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【書籍のご案内・book】
『21世紀 仏教への旅・ブータン編』
 
五木寛之・著
講談社/2007年(平成19年)6月第一刷発行/定価\1700+税
 
人はなぜ苦しむのか。悩みや不安はなぜ生じるのか。こころのなかで問うている。仏教は、苦しみを抱えて生きる現代の私たちにとって、救いとなりうるのだろうか。その可能性を探して、新しい旅がはじまる。インド、朝鮮半島、中国、そしてブータンへ。ブータンは、国民の90%が仏教徒という、ヒマラヤ東麓の小国。九州ほどの国土に、人口70万余人が仏教のもとに平和に暮らしている。顔かたちが日本人によく似ていて、棚田に水稲を植えて主食とし、山や谷や川は近代化以前の日本の原風景を見るようだという。だが、生活習慣のなかに根づく宗教観は日本とはまったく違う。ブータンはチベット伝来の密教。生まれ変わり(輪廻転生)を信じる人々に五木氏は何を見たのか? 北を中国、南と東西をインドという二つの大国に挟まれ、いまにも飲み込まれそうな小国の、 GNP(国民総生産)よりも GNH(国民総幸福量)を重視すべきだという取り組みがいま世界中から注目を集めているブータンの謎に迫る!(2012.01.10)
   

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