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知覧(3) 〜 水車からくり − 鹿児島県知覧町
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知覧は、特攻の町、武家屋敷群の残る町、知覧茶の町。そして、7月になると見に行きたくなる伝統行事があります。国から国選択無形民俗文化財に、県から有形民俗文化財に指定されていて、毎年7月上旬に、豊玉姫神社の六月灯(旧薩摩藩領内で行われてきた夏祭)で上演される「水車からくり」です。豊玉姫神社の前を流れる下郡北(しもごおりきた)用水路の上にお尻をちょっと突き出して蹲踞(そんきょ)した格好で、神社境内入口に建てられている木造の小屋が『水からくりやかた』です。その舞台で、浄瑠璃人形に似た身長30cm前後の人形たちが、精巧な仕掛けと用水路の水車で得た動力によって、飛び上ったり、手足を動かしたりして物語を演じるのです。今年の出し物は、日本昔話『桃太郎』でした。テープのナレーションが流れる中で、13人のキャラクターがそれぞれの動きを繰り返していました。                    (旅した日 2004年07月)


水からくりやかた
豊玉姫神社前を流れる下郡北(しもごおりきた)用水路(写真上左)は、江戸時代中期の安永9年(1780年)に築造され、20町歩を灌漑(かんがい)したといわれる用水路です。この用水路を流れる水で水車を回します。『水からくりやかた』(写真上右)は、用水路の上にお尻をちょっと突き出して蹲踞(そんきょ)した格好で、豊玉姫神社境内の入口に建てられています。
『水からくりやかた』の舞台下が、人形の精密な動きを実現するためのからくりの部屋(写真上左)になっています。部品は木製で、カムとテコを使って細い針金を引っ張ることで人形を動かしています。必要な動力はすべて、水車(写真上右)でまかなっていて、電気など他の動力は使われていません。
今年の出し物・桃太郎
今年の出し物は、日本昔話『桃太郎』でした。テープのナレーションが流れる中で、13人のキャラクターがそれぞれの動きを繰り返します。観客席の一番前で、はしゃいでいる子、興味有り気に見入っている子供たちの光景が印象的でした。バーチャルでない手作りの温かみのあるからくり人形に、アニメやCGとは一味違った面白さを覚えているようでした。
人形の動き
おじいさんと桃と桃太郎(写真上左)=おじいさんが包丁を二段に切り下げると桃が二つに割れ、桃太郎が二回両手を上げます。キジと紫鬼(写真上中)=岩の上から鬼をめがけてキジが飛んできます。紫鬼は、左手を上げます。宝を運ぶ桃太郎(写真上右)=桃太郎が、犬・猿・キジをお供に、たくさんの宝を積んだ車を引いて舞台をまわります。
キジと赤鬼(写真上左)=赤鬼がキジに突かれて倒れ、上半身を激しく動かします。舞台の全景(写真上右)=桃太郎が誕生すると、おばあさんは喜んで両手を二回持ち上げます。両手で金棒を振り上げて抵抗する青鬼の耳をキジが突きます。猿が棒で赤鬼の頭をたたきます。
過去の出し物
これまでのからくり人形のいくつかが、『ふれあい交流館』に陳列してありました。昨年までに、「巌流島の決闘」(写真上左)、「忠臣蔵・討入り300年」(写真上右)、「那須与一・扇の的」(写真下左)、「武蔵」(写真下左)などが上演されました。決闘する武蔵の表情が面白いです(写真上左)。
【備考】・現地で頂いた案内チラシ(知覧水車からくり保存会・知覧町・知覧町教育委員会) を参考にしました。
 知覧の武家屋敷群  特攻の町
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