雑感  ・オンラインとオフライン   
− オンラインとオフライン −
コンピュータがネットワークに接続されていて、コンピュータネットワークを通じてサービスを受けられる状態にあることをオンライン (online) といいます。
 
例えば、メルマガなども、インターネットに繋がれているパソコン上で作成します。いろいろなサイトを参考にしながら草案を考え、記事を書き、出来あがったらデータ(記事)をマガジンスタンド会社のサーバーにアップロードして配信を依頼し、所定の時刻になったら読者の皆さんの元に一斉に配信してもらいます。
 
オンラインに対して、コンピュータネットワークに接続されておらず、コンピュータが一台の独立した状態で使用されている場合(スタンドアローン型という)をオフライン(offline) といいます。オンラインだと、情報やデータのやり取りなどがリアルタイムで効率良くできるので便利ですね。
 
一方、私たちのライフスタイル(生活様式)を考えてみましょう。蛇口をひねれば即座に水がで、コンロのつまみを回せば鍋を沸かす火力が即座に発生し、炊飯器のスイッチを入れれば所定の時間にはご飯が炊きあがります(もちろん、米を研いで準備する必要はありますが)。給湯器の蛇口をひねれば数分後にはお風呂に入れます。部屋が暑かったらエアコンを入れれば良いです。
 
電気・ガス・水道等の公共公益設備や電話やインターネット等の通信設備、圏内外に各種物品を搬出入する運送や人の移動に用いる鉄道等の物流機関など、人々が日常生活を送る上で必須の諸設備のことをライフライン (lifeline) といいます。
 
すなわち、現代の私たちはライフラインというラインに乗った(あるいはラインにぶら下がった)オンラインの生活を送っているということができます。
 
ライフラインが故障したりダメージを受けたらどうでしょう。日常生活に支障を来し生活は混乱します。オンラインに対しては本来オフラインのバックアップ(備え)が必要です。すわわち、水道がダメになったら井戸で水を汲み上げる、ガスがでなくなったら、庭先に簡易カマドを設(しつら)えて薪を焚く、風呂は五衛門風呂を沸かします。
 
しかし、現実にはそんなことはできません。特に都会ではそうするスペースさえないので、物理的に無理です。オフラインのバックアップを準備するというよりむしろ、オンラインの効率を高めることに力が注がれています。
 
たとえば、都会の住宅は断熱材を使って断熱効果を高め、ガラス窓は開閉できないようにさえなっています。空調機が使えなくなったら、部屋に風も入れられません。
 
ならば、オンラインが故障しないように万全を期さねばなりません。オンラインに対してオンラインのバックアップを幾重にも準備しておく必要があります。
 
そのためには、ますます集約された高度の技術が必要になり、多くの機材、多くのエネルギーが必要になってきます。そうした中で、石油の生産量は楽観的にみても2030年〜2060年頃にはピークに達し、あとは減少して枯渇していくという報告があります[1]
 
いま東京電力福島第1原発で起きている事故の状況を肯定する人は誰もいないでしょう。原発事故の恐ろしさ、取扱いの難しさをまざまざと見せつけられています。
 
ならば、原発をやめようということになりますが、太陽光や風力、地熱あるいはバイオマスといった『自然エネルギー』は、コスト高でエネルギー利益率が低く、不安定性であり、私たちの現在の生活様式を継続するのに必要なエネルギー需要をまかないきれないという欠点があります[2]
 
すなわち、オンライン一辺倒の生活様式を見直し、ある面で、井戸で水を汲み上げ、カマドで薪を焚き、風呂は五衛門風呂を沸かすといった、オフラインのスタイルを取り入れた生活を考えなければなりません。そのためには、都市への一極集中を是正し、自然と共存する生活への回帰が必要であると思います。
 
私たちにはその覚悟があるでしょうか? 原発の問題は、被爆の危険性という問題と同時に、私たちの生活のあり方にかかわる根本的な問題を含んでいると思われます。
 
【参考サイト】
[1] ピークオイルと石油減耗 〜 エネルギー利益率(1)
   → http://washimo-web.jp/Report/Mag-EPR01.htm
[2] 代替エネルギーは代替たり得るか? 〜 エネルギー利益率(2)
   → http://washimo-web.jp/Report/Mag-EPR02.htm 
 

2011.04.13  
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