コラム | ・ブータンからの絵はがき |
− ブータンからの絵はがき − |
ブータン在住のNさんから絵はがきが届きました。絵は、ブータン仏教最大の聖地といわれるタクツァン僧院の写真で、切手は、ブータンの古都プナカのブナカ・ゾンの屋根付き橋の写真の切手が貼ってあります。 届いたのは1月20日でした。2011/12/03記とありますから、日本に届くのに1ヶ月半以上を要したことになります。お礼のメールを送ると、次のような返信メールが届きました。 〜 絵はがきは、正月にかかったのが悪かったのかも知れません。最低三週間はかかるので、お正月に間に合うかもと思って出したのでしたが、時期を失してしまいました。タクツァンの絵はがきは人気のようで、もう売っていないようです。首都の郵便局か、お土産屋さんに普通はおいてあるのですが、日本人観光客の増加?で売れているのかも知れません。〜 タクツァン僧院は、ブータンの西部のパロ近郊、標高3,150mの切り立った岩の上に建つ僧院です。ヒマラヤ地方に仏教を伝えた人物として、今も多くの人々から敬慕されているグル・リンポチェ(パドマサンババ)が建てたものとされています。伝説によると、8世紀にグル・リンポチェは、虎の背中に乗ってこの地に飛んできたことから、タクツァン『虎のねぐら』と呼ばれ、人々の信仰の対象となっているそうです。 1998年に焼失してしまったため、今の僧院は、2004年に再建されたものだそうです。パロの中心部からバスで20分をかけて標高2,600mの地点まで行き、そこから登りはじめ、片道2時間近くを要するそうです。 |
切手(ブナカ・ゾンの屋根付き橋) | ||||||||
タクツァン僧院の絵はがき | ||||||||
Nさんの返信メールには、次のようなエピソードが添えられていました。 〜 東日本大震災のときに、よれよれの 100ニュルタム紙幣を一枚、しっかりとその手に握り締めて、義捐金だと持ってきた老人は、半日かがりで、山を下りてきた、とのことです。頭が下がります。このお金で何が買えるか、などど考えてはいけないと思います。日本円にしたらわずかに、200円にも満たないものですが、そうした貧しい暮らしの中でも、震災をTVで見て、何とか日本人のために、と持ってきたその気持ちを大切にしたいと思います。 ここは、お互いに困っていることがあれば、自然に助け合うという文化みたいなものがあります。そのかわり、この前はどうもとか、昨日はありがとうなどとは、決して言いませんので、日本人としては戸惑いを感じるところがあります。〜 昨年(2011年)11月に来日したブータン国王ジグミ・ケサル陛下の、『3月の壊滅的な地震と津波のあと、ブータンの至るところで大勢のブータン人が寺院や僧院を訪れ、日本国民になぐさめと支えを与えようと、供養のための灯明を捧げつつ、ささやかながらも心のこもった勤めを行うのを目にし、私は深く心を動かされました』という、国会演説のくだりと、ブータン仏教の思想の一つである『縁起』という考えを思い出します。− 自分は他者との『つながり』のなかで、依存しあって生きている、他人が幸せになれずに、なんで自分だけが幸せになれようか。 − 【備考】 ブータンについては、次のページがあります。 ブータンの風景(1)− ブータン王国(写真寄稿) ブータンの風景(2)− ブータン王国(写真寄稿) レポート ・『21世紀 仏教への旅・ブータン編』を読む レポート ・ポブジカの谷 |
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