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| ♪勿忘草 |
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| 奇祭 オンケ − 鹿児島県南さつま市大浦町 |
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| 薩摩半島の南西の端・南さつま市の大浦町や笠沙町の各集落には、『お伊勢講』というお祭り行事が伝承されていて、毎年2月11日に開催されます。江戸時代、伊勢神宮参詣にでかけたくても、実際に伊勢まで行くのは大変なことだったので、講(こう)という組織を作って、代表者を参詣させていました。そのうち、いろいろと困難が生じたので、代参の風習が無くなり、代わりに伊勢神宮から持ち帰ったお札(ふだ)などをご神体として、集落ごとに賑やかな神幸行列や疱瘡踊りを行なってまつるようになりました。大浦町の大木場(おおこば)集落で行われる『オンケ』という奇祭もその『お伊勢講』の一つです。女装した嫁女(ヨメジョ)が集落内を練り歩くと、お面などをかぶって思い思いに仮装をした集落民が辻々から現れてオンケ(お迎え)し、その行列に加わります。 (旅した日 2011年02月11日) | ![]() |
| オンケ |
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| 午後3時に、オンケが公民館を出発、30〜40分かけて練り歩きます。 |
| オンケは、鬼化と書かれることも ありますが、代表がお伊勢参りから帰ってくるのをお迎えする 『お迎え』がなまったものです。 |
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| 男性が扮するヨメジョ(嫁女)が行列の先頭を行きます。 |
| ヨメジョ(嫁女、お嫁さん)と呼ばれる 女装姿の二才(ニセ、青年)が、ご神体の入った木祠(ほこら)を担ぎ、 集落内を練り歩きます。 |
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| ヨメジョが担いでいるのは、ご神体の入った木祠(ほこら)です。 |
| 行列が近づくと、お面などをかぶって思い思いに 仮装をした集落民が辻々から現れてお迎え(オンケ)し、行列に加わります。 行列に加わるとこれもまたオンケになります。 |
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| ヨメジョに付き添って道案内するのは、大木場自治会会長の村田敏雄さん(70)です。 |
| オンケは、女性だけがなり、二人一組で、 竹や棒を通して一斗缶を担ぎ、手には榊(さかき)を持っています。その榊で見物人などをなでると ご利益があると言われています。 |
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| 辻々から仮装したオンケ(お迎え)が現れ、行列に加わります。 |
| また、行列の人が竹柴(しば)を 持ってなで回すしぐさをするのには、神の周囲にいる鬼を 追い払う意味があります。 |
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| 竹柴で神のまわりにいる鬼を追い払います。 |
| お伊勢講は、 伊勢神宮のお札(ふだ)である大麻(おおぬさ、タイマ)を ご神体としていました。 |
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| さぁ〜、道路を渡りましょう。 |
| ご神体は木祠(ほこら)に入れられ、 一年ごとに集落の各戸が持ち回りで保管していました。2月11日の『お伊勢講』の日に宿の引き継ぎの 神事を行い、これを『宿移り』といいました。 |
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| 自治会長さんは、お伊勢講の歌を歌いながら行きます。 |
| 現在は、ご神体は集落の公民館に 安置されていて、集落を練り歩くオンケ行列は今では 宿移りの名残となっています。 |
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| 担いでいるのは焼酎の一升瓶です。 |
| オンケは、15時に公民館を出発し、 30〜40分かけて集落内を練り歩き、公民館に帰ってきますが、『お伊勢講』としての 行事は当日の朝から始まります。 |
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| 『ドラえもんオンケ』も出現です!! |
| 大木場集落の南に磯間岳という奇岩の山がそびえています。 当日の朝、代表になった二才(ニセ、青年)が磯間岳などに登り、お参りをしてくるのだそうです。 この信仰登山はお伊勢参りを象徴しているのでしょうか。 |
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| またまた、新しいオンケがお迎えです。 |
| この『オンケ』という奇祭の ことについて、大木場自治会会長の村田敏雄さんに話しを 聞くことができました。 |
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| ノリノリの自治会長さん。 |
| 現在70歳の村田さんが子供の頃は お面はなく、ヘグロ(灰黒、すす)を塗った顔に大根や人参などをぶら下げて仮装し、 それはそれは滑稽な身なりだったそうです。 |
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| 行列も大きくなりました。 |
| 仮装するのは、姿を隠して、 鬼を追い払うためだそうです。仮装の仕方は、時代とともに変わっていき、 最近はお面をつけるようになりました。 |
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| オンケも行列の人も楽しそう。 |
| 道中、村田さんが歌っていたお伊勢講の歌の 歌詞について教えてもらいました。代表がお伊勢参りに行くときに歌った歌で、 歌詞は三番まであるそうです。 |
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| 約30分をかけて行列は公民館の下に帰ってきました。 |
| 『五代町のセンガメジョという人が、 十九か二十歳でお伊勢参りに行って、帰りに〜♪ みつぼそ(天然痘)を三つもらった〜♪。 |
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| お疲れ様、これから公民館に帰って、オンケはご褒美をもらいます。 |
| よかヨメジョ(好い嫁女)が出て、招く〜♪』と 一番の歌詞は歌っているそうです。行列が公民館に戻ると オンケにはご褒美が振る舞われます。 |
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| 公民館から見た大木場集落の風景、中央に奇岩がせり出している山が磯間岳です。 |
| いっときの間 ファンタジーな行列が練り歩いた大木場集落の遠景は、 普段通り静かなままでした。 |
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