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小林市の田の神 − 宮崎県小林市
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田の神は五穀豊穣を祈ってつくられた石像で、鹿児島県から宮崎県諸県(もろかた)地方の旧薩摩藩内に分布する南九州独特のもの。通称、『田の神さぁ』(たのかんさぁ)と呼ばれます。田の神は小林市を代表する文化財の一つで、市内には40余体の田の神が残り、年代の古いものが多いのが特徴とされています。田の神には、神官型、地蔵(仏像)型、農民(田の神舞)型などがありますが、小林市は神官型田の神の発祥の地といわれ、市内に残っている田の神の約半数は神官型だそうです。これらは、霧島信仰に影響を受けてつくられたものともいわれ、豊作を祈ると同時に、たびたび起こっていた霧島大噴火がおさまるようにという願いも込められていたそうです。小林市内のいくつかの田の神を訪ねました。(旅した日 2009年08月)
 
 
仲間の田の神
仲間の田の神 小林市東方仲間。享保七年(1722年) 高120p 国道265号から小林市の名物『陰陽石』へ入った道路沿いにある僧衣立像型の田の神。今から300年近く前の享保7年(1722年)につくられたもので、宮崎県内で二番目に古い田の神。像の背面に『享保七壬寅 三月吉日 伝吉 清左エ門』と、建立年月日および奉納者を示す銘文が刻まれています。
唐獅子の彫刻のある台石の上に僧衣立像、蓮葉冠の田の神は旧薩摩藩内でも唯一のもので、仏像型に近いものといわれ特に珍しい。右手にシャモジと左手には御幣(ごへい)を持っていて、衣の模様も非常に美しいものです。この田の神のある仲間地区では、現在も年一回ベンガラを使用した化粧直しをするなどして、保存状態も非常に良い貴重な文化財となっています(市指定有形文化財)。
    
    
新田場の田の神
新田場(しんでんば)の田の神 小林市真方新田場。享保五年(1720年) 高85p 新田場の田の神は、烏帽子(えぼし)をつけた神官型で、宮崎県内では最古の田の神です。ピンク色の衣服に牡丹の花が彫られた水色の台座という色鮮やかながら上品な田の神。市指定有形文化財。享保五(1720)年二月九日建立。
田の神は、開田(新しく田をつくること)の記念と豊作を祈ってつくられた石像で、通称『田の神さあ』と呼ばれています。鹿児島県や宮崎県諸県地方に分布する、全国でも珍しいものです。田の神には神官(神像)型地蔵(仏像)型農民(田の神舞)型自然石(文字碑)型などがありますが、新田場の田の神は烏帽子をつけた神官型で、宮崎県内では最古の田の神です。小林市は神官型田の神の発祥の地といわれ、市内に残っている田の神の約半数は神官型です。これらは霧島信仰の影響を受けてつくられたものと思われており、豊作を祈ると同時に、当時だびたび起こっていた霧島大噴火が治まるようにという願いも込められたようです。昔から地域の人たちは田の神祭りを行って、田の神に鮮やかな彩色をしたり、お供え物をしたりして、田の神を大切に祀ってきました。像の後ろには『享保五寅天 二月初九日 奉造立田御神御体 施主本田権兵衛』の銘文が刻まれています。享保五(1720)年は江戸時代中期にあたり、全国各地で開田が盛んに行われていました。新田場地区でもこの時期に開田・用水路の建設がはじまり、鹿児島藩から派遣された開田検者宮地定三と新田場の小万という美しい娘との開田にまつわる恋物語も、今もなお「新田場数え唄」として唄い継がれています。 平成17年11月4日 小林市教育委員会
  
  
二原の田の神
二原(にわら)の田の神 小林市東方北二原。大正8年(1722年) 二原(にわら)土地改良区事務所の北に小さな祠が設けられ、その中に祀られています。基壇に『二原開田』と刻まれ、背面に『大正八年四月六日 二原開田 記念祝賀会當日建立 永友繁蔵』と刻まれていて、開田記念としてつくられたものです。
ベレー帽のような丸い頭巾をかぶり、左手に稲穂の束を持ち、右手を受け手にしていてます(写真右)。一見、神官型あるいは仏像型のようですが、かぶり物や稲穂を持つ様子などから、田の神舞いの踊り手のようだとも思われています[1]。1977年(昭和52年)に『オットイ』(盗まれること)にあい、行方がわからなりましたが、ほどなく近くの田のあぜ道に焼酎一本と置手紙とともに発見されたそうです[1]。ニ原の田の神さぁの目前には大正8年に開田された水田が広がり、稲穂が茂っていました。前方の山並みは霧島山系。
    
    
脇元の田の神
脇元の田の神 小林市脇元。享保十年(1725年) JA小林南出張所の北側の田んぼを突っ切る道路脇に瓦葺きの立派な祠が建てられています。その中に祀られている神官型座像の田の神で、両手を前で組み、装束は赤地に白のストライプ。何年も繰り返し顔にお化粧された様子が伺えます。
    
    
柏木ノ上の田の神
柏木ノ上の田の神 小林市堤柏木ノ上。建立年月は不明 小林市の南部、高原町との境の水田の端にあります。土手にトタン屋根の祠が設けられ、その中に祀られています。神官型の田の神で、切れ長の目に長い眉と上品な口。穏やかで気品のある田の神像です。
祠の前面に広がる水田の向こうには連なった霧島山系が見えます(写真下)。神官型の田の神さぁは、両手を前で組んで瞑想気味。稲作の豊作と霧島山の沈静を祈願しているようです。
【参考サイト】
[1]小林市の田の神
[2]宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ
  レポート ・田の神さぁ  
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