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旅行記 ・板井原集落 − 鳥取県八頭郡智頭町 2018.09
いたいばらしゅうらく
板井原集落
向山神社から見た『板井原川』と『藤原家住宅』
板井原集落 宿場町文化の雰囲気が残る智頭(ちづ)往来より北東へ進路をとり、杉林に覆われて昼なお暗いくねくねした細い林道を進むと、車1台がやっと通れる狭い隧道(板井原トンネル)があります。板井原集落は、このトンネルを躊躇(ちゅうちょ)しながらくぐった先にありました。『日本の山村集落の原風景』を今に伝え、2004年(平成16年)2月に都道府県選定は全国初となる県選定の伝統的建造物群保存地区になった集落です。
藤原家住宅の洗い場
智頭町中心部より北東へおよそ4km、牛臥山(うしふせやま)の裏側で、標高は430m、町内(まちうち)より130m高く、赤波川の支流・板井原川沿いに拓かれた農山村集落です。平家の落人伝説も伝わります。現在の集落は東西に23軒(江戸後期は30軒)、板井原川の左岸に並び、幅員1間(六尺=1.8m)の道が古くからの生活道です。
集落を見守る『向山神社』
明治32年(1899年)の大火で18軒の主屋が消失したが復興も早く行われました。昭和26年(1951年)、用瀬町まで開発林道が敷かれましたが、町内へは従来より峠越えの山道が主要道で、昭和42年(1967年)に板井原トンネルが開通してから初めて智頭町の経済圏が身近になりました。
本蔵(藤原家住宅)
明治から大正・昭和にかけての生業は、伝統的な焼畑で大根とソバ・小豆、わずかな水田と定畑では麻・桑の栽培、周囲の雑木は炭焼狩猟による兎・山鳥、採集による栃・栗の実・くず根など、ことに炭焼きや養蚕は盛んで、換金稼業によって暮らしを立てながら、勤勉と努力によって形成されてきた集落でした。
養蚕場(藤原家住宅)
藤原家住宅 板井原集落に着いて一番最初に目にするのが大きな茅葺屋根の藤原家住宅です。裏は板井原川に面しており、石段の洗い場が設けられています。主屋、本蔵、味噌蔵、蔵、養蚕場、倉庫からなり、主屋は、明治32年(1899年)の建築で、茅葺で入母屋造、大黒・小黒柱には欅(けやき)材、差物(さしもの)には松材が多く使用されています。
主屋(藤原家住宅)
本蔵は明治31年(1898年)に建てられた切妻、桟瓦葺(置屋根形式)、土蔵2階建で、1階は米蔵、2階は家具置場として利用されていました。本蔵の隣には、土蔵造平屋建て波形トタン葺の味噌蔵があります。昭和40年(1965年)まで建物内で味噌を製造していました。
藤原家住宅の養蚕場と主屋と倉庫(手前)
養蚕場は昭和初期に建てられたもので、木造2階建、桟瓦葺で切妻造、外壁は真壁造り、土壁鏝押え。昭和30年(1955年)頃まで養蚕場でした。倉庫は、昭和40年(1965年)頃の建築、木造2階建、波形ビニール板葺で切妻造、1階は倉庫、2階はロクロで盆・器を作る作業場でした。
『喫茶 ギャラリー 歩とり ようこそ』
藤原家住宅の案内板に、『住民の多くは町内を生活拠点としているが、今なお主人の仕事は春から秋にかけて田畑・山林といった農林業に従事し、主屋・本蔵・味噌蔵・キビ屋には、かつての生活の足跡と事績が引き継がれている。農山村の原風景と生活文化の形成過程には、暮らしの技術や知恵が伝統的な生活様式として息づいている』とあります。
喫茶とギャラリーの『歩とり』
喫茶とギャラリー『歩とり』 藤原家住宅の隣に佇むのが、築100年以上の古民家を改築した喫茶店とギャラリーの『歩とり』。一階が喫茶店で2階がギャラリー。メインメニューは、無添加で安心安全なものを出しことにこだわる女性店主が自ら焼いた自家製パンを使ったサンドイッチだそうです。
お土産と雑貨の『木古里』
お土産と雑貨の『木古里』 幅1.8mの道を隔てて『歩とり』の向かい側にあるのが『木古里』。キコリと読むのでしょう。『おみやげアリ』と看板に書いてあります。板井原のおみやげや世界の雑貨などを売る小さな雑貨屋さん。枯れて茶色になった杉玉が吊るされているのも印象的でした。
『木古里』
『草縁』 その他、集落内にあるお店が『草縁(そうえん)』と『火間土(かまど)』。『草縁』は植物の糸と染め織り工房のお店で、築 260年の古民家を改修して工房をはじめました。植物を育てて繊維をとり、糸を作って草木で染め、布を織っています。また、染め織りや植物の繊維にかかわるワークショップを随時開催しているそうです。
年月を経た景観
『火間土』 一方、築 110以上の古民家を改修してかまどを使った炊飯体験や食事ができるお店が『火間土(かまど)』。水車で約30時間精米した米をかまどで炊き、おひつにとったごはんと、山から採った旬の物一品、そして本場の『板井原ごうこ』(板井原大根のたくあん)をセットで食べられます。
年月を経たどこか懐かしい景観
『板井原公民館』(国登録有形文化財) 板井原集落に到着すると林道の道路沿いが広くなっていてそこが駐車場です。その駐車場の端に建つ木造2階建ての建物が板井原公民館。切妻造、鉄板葺で、西妻面に切妻造の玄関を設け、外壁は下見板張ですが、上部の軒下を漆喰塗としています。昭和前期に建設された小学校の分校舎でした。
年月を経た景観
六尺道  板井原川に沿うように集落の中央を東北東から西南西につらぬくのが『六尺道』と呼ばれる道。名称の通り、幅員が1.8m(六尺=1間)しかない狭い道です。集落内はこの六尺道しかなく、したがって今なお集落内に自動車が入ったことがありません。
『火の用心』と梯子(はしご)
昭和30年代の風景を伝える集落 集落内の 110棟余の建物はほぼ全てが昭和40年(1965年)以前の建築で、その内23棟は江戸時代から昭和初期にかけて建てられてたものです。建物正面に杉の大材を用いた縁桁(縁側の屋根を受けるために縁先の柱の上に設けた横木)が見られ、杉の産地である智頭の特徴が見られます。
六尺道と民家
明治以前の建物は茅葺でしたが、養蚕の盛んになった大正時代以降は杉皮葺のものが多くなり、養蚕最盛期には複数の土蔵を備えた邸宅がありました。昭和になるとトタン葺屋根に変えられるものが多くなり、現在の板井原集落は昭和30年(1955年)代の日本の風景を今に伝えるています。
民家を貫く六尺道
板井原トンネルが開通し智頭町の経済圏が身近になった昭和42年(1967年)以降、急速に過疎化が進みました。近年になって江戸時代の地割をそのまま残す板井原集落が文化遺産として注目されるようになり、21世紀になって古民家の保存と再生作業が始まりました。
六尺道と民家
平成16年(2004年)に県の伝統的建造物群保存地区に選定され、どこか懐かしい風景が現在もそのまま息づいている板井原集落を一目見ようと訪れる観光客が増えており、鳥取県内でいま注目の観光スポットになっています。(以上、 参考、出典:板井原集落 - Wikipedia)。
民家を貫く六尺道 
 
   智頭宿 − 鳥取県八頭郡智頭町
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