智頭宿－鳥取県八頭郡智頭町／旅行記

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旅行記　・智頭宿－鳥取県八頭郡智頭町　2018.09

ちづしゅく

智頭宿

智頭往来（因幡街道）

鳥取市の市街地中心から国道53号を約20数㎞南下した鳥取県八頭郡智頭（ちづ）町で分岐して南東へ向かうのが国道 373号で、その先は兵庫県姫路市に向かいます。これが播磨国姫路と因幡国鳥取とを結ぶかつての因幡街道（いなばかいどう）で、智頭往来とも呼ばれました。

智頭往来（因幡街道）

一方、智頭町から南西へ向かう国道53号は岡山県との県境を越えて岡山県津山市に到ります。これがかつての備前街道です。すなわち、智頭は両街道が合流する地にあって、宿場として栄えた歴史を持ち、智頭往来は歴史の道百選と遊歩百選に選ばれ、沿道には社寺や町家などの古建築が現在も残っています。

酒蔵交流館『梶屋』（諏訪酒造）

なまこ壁の白壁土蔵に大きな杉玉と『梶屋』の屋号が掲げられた建物は、江戸末期の安政６年（1859年）から続く造酒屋、諏訪酒造です。『諏訪泉』『鵬（おおとり）』『満天星（まんてんせい）』などの銘柄があります。酒蔵に隣接した酒蔵交流館『梶屋』は、試飲カウンターがあり、気軽に味見することができるショップになっています。

智頭往来（因幡街道）標識

石谷家（いしたにけ）住宅　智頭往来に面して建つ。智頭宿における最も大きな建物の一つで、敷地面積は約10,000平方メートル、広大な池泉回遊式日本庭園を中心に配された部屋は40、土蔵は７を数えます。石谷家は屋号を『塩屋』と称した近世以来の商家で、明治以降は山林地主として栄えました。

智頭往来と石谷家住宅

石谷家住宅は、江戸時代の庄屋建築を、大正８年（1919年）以降、当時の当主で衆議院議員・貴族院議員を務めた石谷伝四郎が改築造営したものです。現在の主屋が完成したのは伝四郎の死後の昭和３年（1928年）で、さまざまな様式が調和した豪壮な邸宅は近代和風建築の傑作とされています。

石谷家住宅

主屋など８棟ならびに敷地が国の重要文化財に指定され、玄関棟など5棟、関係文書および棟札が重要文化財の附（つけたり）指定となっています。また庭園は国の登録記念物に登録されています。現在は一般公開されており、蔵を利用した美術品や工芸品の特別展なども開催されています。

米原家住宅主屋（左が智頭往来、右が備前街道）

米原家住宅主屋　登録有形文化財。智頭往来と備前往来の交差する角地に建つ。桁行一二間梁間七間と大規模で、屋根は入母屋造桟瓦葺で四周に下屋を廻らす。外壁は黒漆喰塗、腰はモルタル洗出で破れ目地を切り、出格子を連続させる。良材を駆使した座敷を多数有し、近代豪商の主屋の特徴を示す（文化遺産オンラインより）。

米原家住宅上門及び塀

米原家住宅上門及び塀　登録有形文化財。主屋の東、智頭往来に面して開く。三間一戸薬医門で控柱を表側に立て、両脇にのびる塀の起点とする。屋根は切妻造桟瓦葺で棟の輪違積に十字紋をあしらう。両開板戸には大振りな八双金物を打ち、天井に幅広の隠岐スギを使う豪壮な門塀で、往来の景観を整える（文化遺産オンラインより）。

旧塩屋出店（その隣りに米原家住宅）

旧塩屋出店　石谷家の分家として再建された戦前の建造物で、商家風町家と西洋館、和風庭園、塀で構成される。商家風町家は1897年（明治30年）頃に建設されたものであるが、２階は階高が低く船底天井になっているなど1870年代の町家の様式で造られている。１階は書院造で、和風庭園に面した座敷は喫茶・お食事処として活用されている。

旧塩屋出店

和風庭園にある1930年（昭和５年）頃築の西洋館は四代目当主・石谷愛蔵の嫡子の結核療養施設として建設され、死後、キリスト教の教会として使用されていたこともある。現在は智頭町出身の映画監督・西河克己の記念館、西河克己映画記念館として公開されている。 2棟の建物はそれぞれが国の登録有形文化財である。

旧塩屋出店の主屋と庭園と西洋館（ウィキペディアより借用）

西河克己　1918年～2010年。日本の映画監督。刈る娘（吉永小百合・浜田光夫）、赤い蕾と白い花（吉永小百合・浜田光夫）、青い山脈（吉永小百合・浜田光夫）、伊豆の踊子（山口百恵・三浦友和）、潮騒（山口百恵・三浦友和）、春琴抄（山口百恵・三浦友和）などの作品でその才能を遺憾なく発揮し、日本映画の全盛期を飾りました。

大正時代の様式を残す下町公民館

下町公民館　大正３年（1914年）に智頭町役場として建築された洋風庁舎建築で、昭和３年（1928年）に現在地に移築され、役場の機能が移された後は電報電話局などに利用され現在は下町公民館となっています。木造二階建、寄棟造の正面に玄関ポーチを設けただけのシンプルな意匠で、平成14年（2002年）に国登録有形文化財に登録されました。

智頭消防団本町分団屯所

智頭消防団本町分団屯所　智頭往来沿い、石谷家住宅の真向かいに1941年（昭和16年）に建設された現役の消防屯所です。洋風建築ですが、戦前の消防施設らしく火の見櫓が設置されています。昭和時代初期の消防屯所建築として貴重であり、歴史的景観に寄与しているとして、2000年（平成12年）に国登録有形文化財に登録されました。

御本陣跡

御本陣跡　藩政時代に鳥取藩主池田候が参勤交代で使用した宿所で、智頭の本陣は宿場の有力者の邸宅を使用するのではなく、藩の施設としてつくられ奉行所も併設されていたそうです。石碑の傍らに案内板があるだけで、建物等は何も残ってはいませんが、案内によれば、初代藩主から幕末の慶徳まで214年間（178回）使用されたそうです。

中町公民館

中町公民館　大正時代に建てられた洋風建築の建物で、当初は個人病院として建てられ、1922年（大正11年）より幼稚園として利用され、現在は中町公民館になっています。木造下見板貼り、桟瓦葺。中央に切妻屋根の庇を設けています。2006年（平成18年）に国登録有形文化財に登録されました。

商店街（備前街道）

備前街道　智頭往来（因幡街道）との合流点である米原家住宅主屋角から100数十メートル南西に歩けば、『備前街道　智頭宿』という標識柱が立った商店街入口にきます（写真上）。この商店街筋と並行して国道53号が走っていて、この商店街が、岡山県との県境を越えて岡山県津山市に至るかつでの備前街道でした（写真上・下）。

商店街（備前街道）

智頭駅　ＪＲ西日本の因美線（いんびせん、鳥取県鳥取市の鳥取駅から岡山県津山市の東津山駅に至る鉄道路線）と智頭急行の智頭線（ちずせん、兵庫県赤穂郡上郡町の上郡駅から鳥取県八頭郡智頭町の智頭駅に至る鉄道路線）が乗り入れて接続する鉄道交通の要衝の駅になっています。

智頭駅

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