♪坊ほぜどん
坊ほぜどん囃子録音から

             
旅行記 ・坊ほぜどん − 鹿児島県南さつま市坊津町  2011.10.16
坊ほぜどん
実りの秋たけなわ。快晴に恵まれた青空の下で出番を待ちます・・・(上之坊公民館で)。
祭りの役をする人も、見物する人も公民館に集まってきます・・・
猿田彦をかたどった黒面を怖がる子供・・・、あちこちで悲鳴と泣き声が聞こえていました。
午後1時半過ぎ、打上げ花火の合図で、いよいよ御還幸行列のスタートです。
人気の的は、小学生の女児十二人の晴れ着姿行列の『十二冠女』(じゅうにかんめ)です。
お賽銭箱を頭の上に乗せて。 いっぱい貯まるといいね・・・
差し出す方も、頂く方も、嬉しい気持ちのお賽銭・・・
母娘の良い思い出になりますね・・・
また、坊津でも北端部にある秋目浦は、今から約1250年前の753年に唐の高僧鑑真和上が、盲人となりながらも6度目の挑戦でやっとわが国への上陸を果たした地です。一乗院跡の仁王石像、唐人町跡、旧密貿易屋敷、そして狭い坂道の板塀の屋敷や家並み、古い石畳などに往時の面影をしのぶことができます。
  坊津(ぼうのつ)
鹿児島県薩摩半島南端のその西のリアス式海岸に、深い5つの入り江を持つ風光明媚な町・坊津は、かつて遣唐使船の寄港地であったばかりか、江戸時代に鎖国令が敷かれるまでは、大陸への玄関口として、古くから海外貿易で繁栄した町でした。そして、鎖国令以降も薩摩藩の密貿易の基地として、海外との取引きが続けられ賑わいが続いたのです。
御還幸行列の、男性たちには男性たちの役があります
かつて十二冠女を演じたお姉さんたちはいま中学生。笛のお囃子がお役目です
(BGMをONにするとお囃子が聴けます。)
十二冠女の行列は、左手に坊之浜の港を見下ろす高台にきました。
付き添うお母さんたちの和服姿もまた艶(あで)やかです。
足並みを揃えて等間隔で進みます。
垂棒(シデボウ)はもらうと、魔除けになるそうです
鹿児島県(旧薩摩藩)内の伝統的な祭りといったら、例えば、秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)の際の陣中鼓舞のために始まった『加治木町のくも合戦』やその凱旋祝いに踊られたのが始まりとされる『七夕踊』、藩政時代における道徳教育(郷中教育)の一環として行なわれた『曽我どんの傘焼き』などのように、島津氏の武家物がほとんどです。そんな中で、坊津では、商人・町人物の祭りが見られるのです。
  坊津の祭り
かつて日本三津といわれ中国南方貿易などで栄えたそんな坊津には、鹿児島県(旧薩摩藩)内の他の町には見らねない、坊津ならではの民俗行事が残されています。たとえば、5月の端午の節句に行われる『唐カラ船祭り』であり、旧暦8月15日に行われる各種の十五夜行事です。坊津の十五夜行事では、火とぼし、口説き(唄)、宮参り、辻廻り、十五夜踊り、踊りこわしといった独特の一連行事が継承されています。
首や腕、疲れないかな・・・?
猿田彦をかたどった赤面の先払いに続いて、和服姿も麗(うるわ)しい玉串奉納の皆さん・・・
幼児の健やかな成長を祈願して・・・。何とも微笑ましい光景です。
また、お賽銭が差し出されました・・・
『ほぜどん』 は、十月第三土曜日の『内祭』(前夜祭)の八坂神社での神事からスタートし、行列に守られて、八坂神社のご神体が坊地区の公民館(2011年は上之坊公民館)へ移され、神官、供奉(ぐぶ)が徹夜でご神体をお守りします。かつて坊津で漁業が盛んだった頃は、カツオ船の船主の家に移るのが習わしとされていたそうです。
  『坊ほぜどん』
『ほぜ』とは、鹿児島では、豊年とか豊漁とかを意味する言葉です。したがって、『坊ほぜどん』は、坊の八坂神社の大祭(豊年・豊漁祭り)ということになります。起源は室町時代のころと伝えられる京風の雅やかな行事で、そのルーツは祇園祭とも御霊会(ごりょうえ)ともいわれています。
十二冠女はゆっくりと浜へ下って行きます
秋の日の、午後の逆光に浮かび上がる八坂神社奉納旗
後姿も艶やかに・・・
なかでも人気の的は『十二冠女』(じゅうにかんめ)です。小学生の女児十二人が晴れ着姿で愛らしく着飾り、頭にお賽銭箱を載せて行列に加わり、鮮やかな彩りを添えます。十二冠女の行列が通ると、沿道からお賽銭が差し出されます。行列には、晴れ着姿の幼児たちも加わり、なんとも優雅で微笑ましい光景が見られます。
  『十二冠女』(じゅうにかんめ)
ハイライトは、翌日(十月第三日曜日)の『本祭り』です。午後の満潮時に合わせて御還幸行列がスタートします。赤面、黒面、獅子面を先払いに、大鉾(おおほこ)、笛、太鼓など地区民総出で長蛇の行列をつくり、八坂神社へ帰るご神体をお守りして地区内を、笛と太鼓とスリガネ(ちいさなシンバル)のゆったりとしたお囃子に合わせて練り歩きます。
八坂神社に近づく頃には長蛇の列に
見守られて御還幸中のご神体。八坂神社はもうすぐです。 
ご神体のお帰りを待つ八坂神社
 【参考図書およびサイト】
(1) 
かごしま よかとこ100選「躍動の旅」(企画・発行:鹿児島県観光交流局観光課)
(2) 薩摩の伝統行事・祭 坊ほぜどん

(3) [民俗行事のご案内] of [坊津へようこそ]
 
   
 近衛信輔と坊津   ⇒ 坊津   唐カラ船祭り
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