ひとり 〜ショートバージョン
須釜俊一のウェブページ
棚田を訪ねて(1) 宝珠山と竹の棚田 − 福岡県朝倉郡東峰村
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田植えから1ヶ月が過ぎて、稲は田んぼにしっかりと根を張り、成長を続けています。それでも、農家の方々にとっては、除草・防虫とまだまだ気の抜けないことでしょう。この時期から豊穣の頃にかけて、いくつかの棚田を訪れてみたいと思っています。今回、福岡県の南部、大分県との県境にある宝珠山(ほうしゅやま)と日本の棚田百選の『竹の棚田』を訪ねました。村は、山を除く全域が棚田のようで、棚田の際(きわ)付近に家が建てられています。棚田の素晴らしさは、何と言っても、ひとつひとつ丁寧に積んで造られた石垣と田が織り成す幾何学的な美しさにあります。そして、しっかりと成長を続ける稲。何ごとも経済的効率が優先されるなかで、農業は苦しい経営環境に置かれていますが、宝珠山の棚田は、山際(ぎわ)の田んぼ一枚に至るまで、みごとに手入れされ、美しい景観を呈しているのです。山際(ぎわ)の田んぼを迫田(さこだ)といい、迫田の米は、綺麗な山水(やまみず)に育まれて美味しいと云われます。棚田は、米の生産のほかに、国土保全や生態系の維持の役割を担っているのです。下のメニューバーで切り替えてご覧下さい。                                       (旅した日 2003年7月)
棚田百選に選ばれた竹地区は、宝珠山村の北部にあり、40戸ほどの農家が、広さ11ha、枚数400枚の棚田を耕作しています。家のすぐ下や後や横が田んぼです。訪れた日、何人かの人が田んぼの畦の手入れや道路の清掃をしていました。小柄なおばあさんが木戸を掃き掃除していたので、「庭の凌霄花(のうぜんかずら)が見事ですね」と挨拶したら、笑って照れていらした。庭先や木戸の掃除や菜園や庭木の手入れと全く同じように一枚一枚の棚田も日々手入れされているのでしょう。農道には塵一つ落ちていません。畦の崩れた個所は、きちっと修繕してあります。稲作への打ち込みようと環境保全への取り組みが伝わってきます。
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