ひとり 〜ショートバージョン
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崎津天主堂 − 熊本県天草市河浦町
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熊本県の南西部に浮かぶ天草下島は、16世紀中期にキリスト教伝来以来、迫害と殉教、そして復活を経てキリシタン信仰がいきづき続けてきた島です。天草下島は、本HPの制作者が生まれ育った鹿児島県薩摩郡とは直線距離にしてわずか60〜70kmの位置にありながら、初めて訪れたのは、昨年(2002年)の7月、小倉からの帰省の折、車を利用して雲仙・島原・天草を経由したときでした。あくまでも澄み切った入り江に、静かに佇む天主堂のある漁港の景観。自分が生まれ育った所と見上げる空をほとんど共有しているほどの近くに、こんなにも異文化の雰囲気の町があったことは驚きでした。それからちょうど一年、今回あらためて津崎(河浦町)と大江(天草町)を訪問しました。このページは、崎津天主堂の風景です。(旅した日 2003年7月)
崎津天主堂
1549年(天文18年)、フランシスコ・ザビエルの鹿児島上陸を機に、日本のキリスト教伝道が始まりました。天草では、1566年(永禄9年)に、天草郡苓北(れいほく)町志岐の城主志岐麟泉がキリシタンの布教を許したのが始まりだといわれます。 その後、本戸(熊本県本渡市)城主天草伊豆守鎮種がルイス・デ・アルメイダ神父を招き洗礼を受けたことから、天草全土にキリスト教が広がりました。

 崎津教会は、アルメイダ神父により1569年(永禄12年)に建てられ、ここを中心にキリスト教は天草に栄えました。1638年(寛永15年)に禁教令が実施されてから崎津では特に激しい迫害の嵐が吹き荒れました。キリスト教徒は、隠れキリシタンとなり、ひそかに真夜中に一緒に集まって礼拝し、祈りをささげていました。1872年(明治5年)に、禁教令は廃止され、二世紀半の間文字通り隠れて守り抜いた先祖代々の信仰を公に行うことのできる新しい時代が訪れたのです。この教会は、明治以来三度建て直され、現在のものは、長崎の鉄川与助の設計・施工によるゴシック様式の建物で、1935年(昭和10年)に竣工しています。今も崎津の400名のキリシタン信者の祈りの家として、毎日使用されています。〜 津崎教会の観光案内板より引用 〜  

どこまでも静かで、澄み切って

訪問した日は、ちょうど南九州に梅雨明け宣言が出された日でした。天草には、自然が手つかずのまま残っており、羊角(ようかく)湾の海とそらは、どこまでも静かで澄み切っていました。崎津漁港の小高い山の山頂には、「チャペルの鐘展望公園」が整備されていて、崎津漁港の町並み(写真上左)と遠くに東シナ海が一望できます。

公園内には、十字架の巨大モニュメント(写真上)がたてられています。

羊角湾沿いの道路を走ると、美しい入り江の景観が続きます。羊角湾の入江に浮かぶ「神島」には、全国で初めての海上宿泊施設「河浦町海上コテージ」(写真上)があり、バーベキューや魚釣り、浜遊びが楽しめます。
天草コレジョ館

 中世時代の河浦町は天草氏の居城地でした。キリスト教の布教により「コレジヨ」(宣教師養成を目的とする神学校の最高学府)が誘致され、ラテン語、哲学、神学等の学問や、グーデンベルク印刷機による金属活字本等、西洋文化が花開きました。1591年(天正19年)には、大友宗麟等の名代の使節としてヨーロッパに渡ってローマ法王に謁見した天正遣欧少年使節の4人の少年たちが帰国して入所しています。彼らが持帰った金属印刷機(グーテンベルク印刷機)と、それによって印刷刊行された貴重な数々の天草本のほかに天草キリシタンに関する資料等が展示されています。

〈編集後記〉
◆初めて崎津を訪れたとき、自分が生まれ育った場所とは異文化の雰囲気に驚いたのですが、再度訪問してじっくりと歩いてみると、崎津教会のすぐ近くには神社があり、「チャペルの鐘展望公園」へ登る階段は、実はその神社の境内内にあること、崎津の町通りには小さな地蔵堂があり、3体のお地蔵さんには端麗な前掛けがされ、いつも綺麗に掃き掃除され献花がされているようであること、天草ロザリオ館のスクリーンには、豊穣を祝う日本古来の伝統芸能を舞う大江の人々の姿が映り出されることなどに気付いたのでした。天草下島の早期栽培の稲田はもう色付きはじめています。◆今年のNKH大河ドラマ「MUSASHI」もいよいよクライマックスを迎え、9月21日には「巌流島の決闘」のシーンが放映されるようです。その撮影ロケが、7月22日〜26日、熊本県牛深市茂串(もぐし)海岸で行われたことをこのページを編集中に、NHKの番組紹介テレマップで知りました。ちょうど私が崎津と大江を訪問しているときすぐ近くでロケが行われていたのです。知っておれば見学に行ったのに残念でした。牛深市は天草下島の南端の市で、ここも自然が手付かずのまま残る海岸の美しいところです。(2003年7月)


 大江天主堂

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