コラム  ・祝儀袋を封筒代わりに   
− 祝儀袋を封筒代わりに −
 
 §1 山鹿の冬灯りの祭り
 
熊本市より国道3号線を北上すること約25km。熊本県の山鹿(やまが)盆地に開けた人口約53,000人の山鹿市は、毎年8月16日の夜に開催される『千人灯籠踊り』が全国的に知られています。
 
そして、毎年2月には季節を冬に移して、『山鹿灯籠浪漫・百華百彩』という灯りの祭りが開催されます(残念ながら、2021年と2022年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止になりました)。
 
かつての豊前街道の宿場町の面影をあちこちに残す山鹿の町並みを、和傘や竹を使ったオブジェが鮮やかに彩ります。灯の入れられた夜のオブジェの幻想的な美しさはもちろんですが、昼間に見るオブジェの並びそのものも十分に美しく魅力的です。
 
約4,000個 という傘灯籠や竹灯りが一つとして手を抜くことなく丁寧に設(しつら)えられているのです。日本には昔より、四季折々の自然や食べ物、行事を楽しみ、手間ひまをかけて丁寧に暮らす文化がありました。そうした日本伝統の『美意識』を彷彿とさせます。
 
 §2 日本伝統の美意識と身の回りのグッズ
 
日本伝統の『美意識』は、祭りや伝統芸能、茶道・華道・日本舞踊などの伝統文化にとどまらず、日本料理やスイーツといった食文化、映画・音楽・漫画・アニメ・ドラマなどのポップカルチャーやゲームなど(これらの文化はクールジャパンとよばれます)にまで反映されています。
 
そして、私たちが日常的に何気なく使っている身の回りのグッズ(品物)にも反映されています。私たち日本人は慣れっこになっていて、強いて意識することはないものの、外国人には驚きをもって新鮮にうつる日用品が結構あるそうです。
 
 §3 祝儀袋を封筒代わりに
 
一例として、お祝い金(紙幣)を入れる『祝儀袋』がそうらしいです。東ヨーロッパに、ジョージアという国があります。カスピ海と黒海との間に位置する、日本の約5分の1の面積の国土に約 400万人が暮らす国です。
 
そのジョージアのティムラズ・レジャバ駐日大使の奥様は、手紙を送る際に封筒がわりに日本の『祝儀袋』を使っているというインターネットニュース(『まいどなニュース』)が2022年2月6日に Yahooで配信されました。
 
書いた手紙を祝儀袋に入れて、切手を貼って郵送するのではなく、祝儀袋を開いて内側の白い部分に直接メッセージを書いて、プレゼントに添えて、相手に手渡しで渡しているのたそうです。
 
駐日大使の奥様は祝儀袋のどこに惹かれたのかというと、『飾りのリボンの部分(いわゆる水引き)が綺麗でとても印象的だった』そうです。そして、この袋は日本ではよく使われる入れ物だと思ったということです。
 
日本の『美意識』に裏打ちされた身の回りの品々が、これからも大切にされ、末永く継承されていって欲しいです。
 
【参考サイト】
   旅行記 山鹿灯籠浪漫・百華百彩 − 熊本県山鹿市(2009.02.21)
 
祝儀袋
祝儀袋に直接メッセージを書いて封筒代わりに(イメージ写真)

2022.02.16
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