レポート | ・水の恩恵 〜 水の国・熊本 |
− 水の恩恵 〜 水の国・熊本 − |
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連日猛暑の続く中で涼を求めて、熊本県の阿蘇市と阿蘇郡産山村を訪ねたのは4年前の2019年7月のことでした。まず、阿蘇神社の門前に位置する一の宮門前商店街では、あちこちに設置された、木や石造りの『水基(みずき)』と呼ばれる湧水スポットが、商店街の独自の風情を醸し出していました。 つぎに、産山村では、山あいの火砕流台地が侵食されてできた谷間を生かして等高線状につくられた扇形の棚田に魅せられたあと、全国棚田百選・うまい米作り百選に選ばれているこの棚田に、飲用水としても利用できる清流を供給している山吹水源と池山水源を訪ね、涼を満喫しました。
§1 水の国・熊本 熊本は『火の国』と呼ばれていますが『水の国』でもあるわけです。阿蘇山周辺は全国有数の多雨地帯で、この地帯に降った豊富な降水は、広くて深い盆地状の地下構造が大きな水がめとなって地下に貯留されます。 阿蘇を源流とする水は白川の流れとなって熊本市を通って有明海に注ぐ一方、地下水の豊富さは、熊本市を含む11市町村の区域の水道資源のほぼ 100%を地下水で賄っているほどだといわれます(全国平均は約20%)。 §2 失われた30年からの復活 かつて1980年代、半導体は日本の代表的な産業の1つであり、世界シェアの50%余りを占めていました。ところが日本の半導体産業は時代とともに後れを取り始めます。2019年には世界シェアの10%まで下落しました。 日本を過去30年間苦しめてきたポスト冷戦時代から米中新冷戦時代への大転換の今、日本を取り巻く状況は劇的に好転しているといわれます。それを象徴するのが台湾の世界的半導体製造メーカーTSMC(台湾積体電路製造)の熊本への工場進出です。 熊本県菊陽町の、東京ドーム 4.5個分に相当する約21.3ヘクタールの敷地に建設中の巨大な工場は、2023年内に完成し2024年12月までに生産を開始する予定だそうです。 §3 TSMCが熊本を選んだ2つの理由 半導体の製造には洗浄に使う豊富な水が必要です。TSMCが進出先として熊本を選んだ第1の理由が、熊本が最適な水資源に恵まれている土地だからだそうです。まさしく水の恩恵です。そして、第2の理由が、九州には半導体関連メーカーが多数存在し、連携が期待できるからだそうです。 【参考サイト】 (1)環境立県・くまもと 水の国くまもと (2)中島 精也:世界一の半導体企業が熊本を選んだ「2つの理由」 (現代ビジネス 2023.06.20) |
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2023.08.02 | ||||
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