レポート | ・チェスト! 錦江湾を泳ぎきる子供たち |
− チェスト! 錦江湾を泳ぎきる子供たち − |
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鹿児島市立清水小学校と松原小学校では、錦江湾に浮かぶ桜島の小池と鹿児島市内の磯浜までの4.2km
の距離を2時間かけて泳ぎきる学校行事が今も行なわれています。松原小学校では、大正15年(1926年)から続けられており、今年(2007年)は4年生から6年生の男女91人の子どもたちが挑戦して全員泳ぎきりました。 その様子が、NHK鹿児島放送局制作のドキュメンタリー『にっぽん夏紀行 輝け子ども(3) みんなで泳ぎきれ〜鹿児島湾横断に挑む小学生〜』という番組(本放送8月17日、10月8日再放送)で放映されました。 4年生以上の児童たちから希望者を募り、まだ水が冷たい5月初旬から練習が始まります。6年生は緑色、5年生は黄色、そして4年生は赤色と、学年ごとに色分けされた水泳帽をかぶって連日練習が続けられます。 遠泳に初めて挑戦する赤帽さんたちの中には全く泳げないばかりか、顔を水につけただけで泣き出しそうになる児童もいます。しかし、プール40周 2.8kmを70分以内で泳ぎきる校内の検定試験に合格しないことには遠泳に参加できないので、そうした泳ぎの苦手な児童も例外なく、先生や6年生が付きっ切りで特訓が続けられます。 番組は、泳ぎの苦手な二人の児童に焦点をあてたものでした。赤帽組の山田くんは、1回目の検定試験でプールの底に足をついてしまい失格になります。1週間後の再試験に向けて練習を積むのですが、どうしても足をつけてしまいます。 再試験の前日、『山田くんは足をつけてしまうので無理なようだから、練習はもうきょうでおしまいにしましょう。よく頑張りました。』と先生に告げられ、涙ぐむ山田くん。しかし、家族とも相談し、『頑張るから!』といって翌日再試験にチャレンジします。同級生や5、6年生や父兄たちが声援するなか、山田くんは、プール40周を泳ぎきりました。 7月末の遠泳大会当日は、91人の児童たちが長さ 100mの縦列となって、水深 200mの錦江湾を桜島から鹿児島市内に向って泳ぎ出します。もちろん、万一の場合に備えて、救難用の船が付き添いますが、6年生が赤帽さんたちのあいだあいだに入って励ます形になって、縦列は進みます。 桜島を出発して1時間58分後、91人全員が鹿児島市内の磯浜に到着して、4.2km を泳ぎきりました。みていて思わず目頭が熱くなり、子どもたちの限りない可能性を感じさせられたドキュメンタリー番組でした。 鹿児島の伝統的教育スタイルである『郷中(ごうちゅう)教育』の最も特徴的な行事の一つともいわれるこの錦江湾横断遠泳の物語が今回、『チェスト!』という題名の映画で映画化されます。 『チェスト』とは、鹿児島に古くから伝わる方言で、『それーっ』とか『やぁーっ』とかいう、気合をかけ、魂を炸裂させるときに発する一種の掛け声です。松下奈緒、高嶋政宏、羽田美智子、榎木孝明、北村栄基さんなどが出演し、来年(2008年)春に公開予定です。 【備考】 ・映画『チェスト!』の公式サイトは、 → http://chesuto.com/index.php?itemid=138 ・『郷中(ごうじゅう)教育』については、下記のページが参考になります。 → http://washimo-web.jp/Report/Mag-Goujyu.htm |
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2007.12.11 | ||||
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