レポート  ・平等院藤 〜 薩摩伝承館   
− 平等院藤 〜 薩摩伝承館−
指宿白水館の敷地内にある美術館・薩摩伝承館は、2008年(平成20年)2月に開館しました。京都・宇治にある世界遺産『平等院鳳凰堂』に日本の伝統美の形を求め、それに模して建設されました。
 
その縁で、薩摩伝承館開館から2年後の2010年(平成22年)2月(開館2周年記念)に、平等院から門外不出とされる藤が特別に株分けされ、薩摩伝承館の庭園に植えられました。
 
薩摩伝承館の庭園の、株分けされた藤が植えられている傍らに、平等院住職・神居文彰上人の碑文が刻まれた石碑が建っていて、平等院藤の株分けの理由が述べられています。
 
   平等院藤
 
   なぜ薩摩に株分けをしたかの理由である。
   この環境を感じてほしい。様々な文化が
  はじめに黒潮とともにこの地におとずれる。
   好奇心が強く、礼儀正しく、最も信仰心が篤
  い。中世宣教師達が本国に送ったことばである。
   廃仏毀釈を経て、薩摩から新納忠之助が現れ
  国宝修理の基礎を確立し、平等院では明治修理が
  完遂した。だからかもしれない。十年を超える
  庭園整備や五年を掛けた本尊ならびに天蓋
  平成大修理を終えた私は、この地に吸い寄せ
  られた。
   五月、平等院の境内は池の対岸まで酔う
  ような薫りに包まれる。右廻りに蔦蔓が空を
  目指し、端麗な藤色の花房が地まで垂れる。
  九尺藤とも云われる野田藤、銘木「平等院藤」
  である。毎年約二万本の房が風に揺れ、花の
  カーテン、極光とも嘆息せずにいられない。
   今日より、宇治の地で三百年近く育った
  四株のうち、はじめて切りわけられた幹が
  薩摩伝承館を彩る。
   私は、ここに美しさの普遍が活性化される
  ことをのぞむ。薩摩の地の正しい文化が伝承され
  続けることを。
   新しい、平等院藤の誕生である。
 
    平成二十二年二月十一日
 
          宇治平等院
               文彰かく
 
平等院藤・記念石碑(薩摩伝承館) 
【参考サイト】
(1)旅行記 ・薩摩伝承館 − 鹿児島県指宿市
(2)薩摩伝承館 公式ホームページ | ここにくれば薩摩がわかる
(3)指宿温泉 砂むし温泉 指宿白水館 | 公式ホームページ

2020.12.23
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