♪牛深ハイヤ節
熊本から桜の部屋



旅行記 ・牛深ハイヤ祭りを訪ねて - 熊本県天草市  2008.04.20
牛深ハイヤ祭り



天草の下島の最南端、
熊本県天草市牛深(うしぶか)に初夏の訪れを告げる『牛深ハイヤ祭り』は、
市民総出の祭りで、今年(2008年)で37回を数えます。




昔から天然の良港だった牛深は、
江戸時代、上方、長崎、薩摩、琉球などへの海運の中継基地として、
諸国の帆船、漁船の出入で賑わいました。




帆船は、上がり船は南の風を、
下り船は北の風を使って次の港へ航海していましたから、牛深は、
風待ち、シケ待ちの港でした。




女性たちが、
風待ち、シケ待ちの船乗りたちをもてなす酒盛りの歌として歌い
出されたのが、『牛深ハイヤ節』です。




九州では南風のことを
『ハエの風』と呼びます。『ハエ』が「ハエヤ」になり、さらに
『ハイヤ』になって歌詞が生まれました。




ハイヤエーハイヤ ハイヤで今朝出した船はエー 
                  どこの港に サーマ 入れたやらエ~ ♪ 




    エーサ 牛深三度行きゃ三度裸 鍋釜売っても 酒盛りゃしてこい 
          戻りゃ本土瀬戸徒歩(かち)わたり~ ♪
  

などと、『新銀取り(しんぎんとり)』の女性たちが、酒席で歌うのです。




それは、テレビもラジオも無かった時代の
『男と女のラブゲーム』でした。船乗りたちは、賑やかなハイヤ節と酒に酔い、
牛深乙女の情にほだされていきます。




酒盛り唄として
歌い出された『牛深ハイヤ節』は、九州西海岸を航行し、関門海峡経由で
大阪入りする帆船によって、





瀬戸内海へ持ち込まれ、
さらに北前船によって大阪から日本海側の港へと
広まっていきました。




津軽アイヤ節(青森)、佐渡おけさ(新潟)、
北海道ソーラン節(北海道)、そして阿波踊り(徳島)を初めとして、塩釜甚句(宮城)、
浜田節(島根)、宮津アイヤエ踊り(京都)、




さらに、加賀ハイヤ節(石川)、
鹿児島ハイヤ節など、全国に現存するハイヤ節系の民謡が、
この『牛深ハンヤ節』を源流としています。





富山湾にたどり着いた
北前船は、商人をともなって、さらに神通川、井田川を
越中八尾までさかのぼります。




土地の人たちとの交流を深めるなかで
八尾の地の唄とハイヤ節系の唄が融和定着したのが、『風の盆』で
知られる『越中おわら節』です。




『牛深ハイヤ祭り』は、
毎年4月の第三金曜日~日曜日に開催されていて、今年(2008年)は、
4月18日~20日にわたって行なわれました。





『ハイヤ総踊り』には、
24団体、総勢1300人が参加し、街中を熱狂的に
踊り歩きました。




今年は天気にも恵まれ、
軽快なリズムに乗った明るい、まさしく南国の踊りの雰囲気の中に
祭りは盛り上がっていました。






【備考】牛深ハイヤ節のMIDIファイルは、『熊本から桜の部屋』さんからお借りしています。
                                           
⇒ ハイヤ節と越中おわら節   ⇒ レポート ・牛深ハイヤ節
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