肥薩線全線開通100周年記念ページ
♪Prologue
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肥薩線 矢岳駅〜真幸駅熊本県・宮崎県
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肥薩線は、熊本県の八代を起点に球磨川に沿って人吉まで走り、さらに山間をぬって鹿児島県の錦江湾に臨む町・隼人に至る全長124Km余りの、全区間非電化のJR九州のローカル線がです。人吉駅(熊本県)から吉松駅(鹿児島県)までの熊本・宮崎県境の国見山地を越える区間は、『矢岳越え』と呼ばれる標高差430mの山越えをしなければなりません。鉄道建設工事においても、矢岳駅(熊本県人吉市)と真幸駅(宮崎県えびの市)間の矢岳第一トンネルが難工事を極めたことは、トンネルの両入口に刻まれている当時の逓信大臣山縣伊三郎と鉄道院総裁後藤新平の揮毫がそれを物語っています。1909年(明治42年)11月21日、矢岳第一トンネルが完成して肥薩線が全線開通しました。それから100年、車社会の到来とともにローカル線が次々と廃止されるなかで、今日までどうにか生き延びてきました。 2009年11月21日は、肥薩線全線開通からちょうど100周年の日で、各駅や周辺の自治体などで記念イベントが行われました。そこで、2008年5月に撮影した矢岳駅と真幸駅の画像をアップロードしました。 
                                 (旅した日 2008年05月)〔ページ作成日 2009年11月21日〕
        
        
矢岳(やたけ)
矢岳駅
熊本県人吉市矢岳町にある矢岳(やたけ)駅は、肥薩線の山線と呼ばれる険しい区間にある駅の一つで、標高約536.9mの地点に位置する肥薩線で最も標高の高い駅です。この矢岳駅のすぐ南に矢岳第一トンエルがあり、線路は標高差約157mの宮崎県えびの市の真幸(まさき)駅へ下っていきます。一方、北へは、標高差約243mの人吉市大畑(おばこ)駅へ下っていきます。木造の古びた駅舎が旅情を誘い(写真上)、駅の前には、山あいの田んぼと集落の風景が望めます(写真左)。
SL展示館
駅の構内には、SL展示館があり、きれいに整備されたD51170が保存されています(写真上)。以前はD51の横に、昭和50年(1975年)に肥薩線を現役引退した58654号機(通称ハチロク)』が展示されていましたが、1988年(昭和63年)に復帰し2006年(平成17年)まで『SLあそBOY』として活躍。その後老朽化して引退していたのを再修復。2009年(平成21年)4月25日、『SL人吉』として再々デビューし、熊本駅〜人吉駅間で運行されています。
大畑(おばこ)駅へ向って出発した列車の後部デッキから撮った矢岳駅(写真下)
        
        
矢岳第一トンネル
矢岳第一トンネルの北側出口(写真下)
2つの扁額(へんがく)
トンネル北側入口上部には、当時の逓信大臣山縣伊三郎の揮毫で『天險若夷』(てんけんじゃくい)、南側には当時の鉄道院総裁後藤新平の揮毫で『引重致遠』(いんじゅうちえん)と書かれた扁額ははめ込まれています。2つの言葉を連ねて読むと、『天下の難所をトンネルによって平地であるかのようにした』、そのおかげで、『重い貨物を遠くへ運ぶことができるようになった』という意味になります。この2人の名前は、観光列車『いさぶろう・しんぺい』の名前にも使われています。
     
     
いさぶろう・しんぺい
いさぶろう・しんぺい
『いさぶろう・しんぺい』は、人吉駅〜吉松駅間に一日二往復運行されている観光列車で、吉松行きの下りが『いさぶろう』、人吉行きの上りが『しんぺい』と、下り列車と上り列車で異なる愛称が付けられています。愛称は、上述したように開通当時の逓信大臣・山縣伊三郎と鉄道院総裁・後藤新平に由来しています。途中駅(大畑駅・矢岳駅・真幸駅)では数分間停車し、駅舎や施設を見学で、駅間の眺めの良い所で停車し、客室乗務員による案内が行われています。
       
      
日本三大車窓「矢岳越え」
『日本三大車窓』とは、鉄道列車からの車窓のよいベスト3のことで、旧国鉄が制定したとされています。狩勝峠を越え十勝平野を望むJR北海道根室本線・落合〜新得間の旧線、善光寺平と千曲川を望むJR東日本篠ノ井線・姨捨駅、そしてループ線とスイッチバックで矢岳を越え、えびの高原と霧島連山を望む矢岳越え(写真上)の三ヶ所です。
  
    
真幸(まさき)
スイッチバックだから駅を車窓から見ることができます(写真上)
真幸駅
真幸(まさき)駅は、宮崎県えびの市内竪にある九州旅客鉄道肥薩線の駅です。宮崎県で最初に出来た駅であり、肥薩線唯一の宮崎県の駅です。『真の幸せ』の駅名にあやかって入場券などに人気がある駅ですが、度重なる土石流災害で近隣住民が移転した歴史があり、現在は周辺に人家一つない『秘境駅』の一つとなっています。吉松駅を出発して最初の停車駅で、急勾配を緩和するためスイッチバックが設置された駅となっています。
ホームの中程に『幸せの鐘』が置かれています(写真左)。幸せと感じる度合いに応じて鳴らすのだそうです。『ちょっと幸せの方は一回。もっと幸せを願う方は二回。いっぱい幸せの方は三回鳴らしてください』と説明書きがあります。
 
ゴールデンウィークの5月4日、『いさぶろう・しんぺい』が停車中ホームはたくさんの観光客で賑わっていました。
願掛けの札が(写真下)
100%観光路線の山線
真幸駅の2006年度の1日平均乗車人員はたったの一人という事実(ウィキペディアより)が物語っているように、肥薩線の山線(人吉〜吉松間)は日常の交通の足としての利用はほとんどなく、100%観光路線として運行されているわけです。全線開通100周年という歴史と貴重な鉄道文化遺産を持つ、風光明媚な自然に恵まれた山線に魅力を感じ、連休にはたくさんの観光客で賑わうのです。これからもずっと賑わいを見せて欲しいものです。
列車が着くと地元特産物売り場が賑わいます(写真下)
        
        
        
 特集 / 肥薩線
        
        
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