藤沢周平作品ゆかりの案内板『花のあと』(写真上) |
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鶴ヶ岡城(つるがおかじょう) |
江戸時代、庄内藩の藩庁であった鶴ヶ岡城は、本丸の東北隅と二の丸の南西隅に、それぞれ2層2階の隅櫓が建てられていた平城でした。鶴岡市街地のほぼ中心に位置し、現在は、本丸・二の丸跡周辺は『鶴岡公園』となっており、桜の名所として日本さくら名所100選に選ばれています。 |
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『海坂藩』(うなさかはん) |
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山形県鶴岡市出身の作家、藤沢周平(1927〜1997年)さんは、江戸時代を舞台に、庶民や下級武士の哀歓を描いた時代小説作品を多く残していますが、物語の舞台としてしばしば登場するのが、架空の藩『海坂藩』です。この藩のモデルについての藤沢さんの明言はなかったものの、藩や城下町、領国の風土の描写は、藤沢さんの出身地を治めた庄内藩とその城下町鶴岡がモチーフになっていると考えられています(1)。藤沢文学の面影を鶴岡に訪ねました。
藤沢周平作品に登場する城下町・鶴岡の面影。鶴岡市内には藤沢作品ゆかりの地18カ所に、案内板が設置され、訪れる人を小説の舞台へと誘っています。 |
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鶴ヶ岡城本丸御殿・御玄関跡(写真上) |
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短編時代小説・『花のあと』 |
鶴ヶ岡城は、藤沢周平の短編時代小説『花のあと』の舞台にもなった城です。娘ざかりを剣の道に生きた武家の娘以登は、身分は低いが藩随一の剣士・江口孫四郎との手合わせを父に懇願します。竹刀を打ち込む中で孫四郎に胸を焦がしている自分がいることに気がつく以登。しかし、それはかなわぬ恋でした。家が定めた許婚がいる以登は孫四郎への想いをきっぱり断ち切ります。それから数ヵ月後、孫四郎が、藩の重役・藤井勘解由(かげゆ)の卑劣な罠にかかって自害したのです。それが真実なら、藤井勘解由を生かしてはおけぬ、と以登は思います。江戸から帰国した許婚(いいなずけ)・片桐才助の手を借りて事件の真相を知った以登は、正義と、ほどよい距離をとりながらも今なお自分の中に残る孫四郎への思いのために剣を取るのでした(2)。. |
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