♪故郷の人々
愛唱歌集
紫尾温泉のあおし柿− 鹿児島県さつま町
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「あおし柿」ってわかりますか? 南九州では、渋を抜いた渋柿のことを「あおし柿」といいます。中国地方や関西では、「あわし柿」と呼んでいるようです。一般に、渋柿の渋抜きには炭酸ガスやアルコールなどが用いられ、これらを加えて密封すると、柿が酸素不足のため正常な呼吸ができなくなり、この際発生するアルデヒドなどの影響で、可溶性タンニンが不溶性に変わって渋く感じなくなるのだそうです。著者の住む町の山あいにある紫尾(しび)温泉では、温泉に浸けて渋を抜く方法が名物になっています。専用の露天浴槽に夕方5時半から翌朝7時半まで、一晩ゆっくりとつかった「あおし柿」は、ほのかな硫黄の香りと独特の甘みがあって人気です。最盛期には、県外から送られてきて入浴する柿もあって、一晩に、1トン(100袋)近くが入浴する日もあります。「あおし柿」の入浴の様子と紫尾神社や付近の農村の風景をアップしました。                                           (旅した日 2005年10月)  


紫尾温泉
すぐ上にある紫尾神社の拝殿下に源泉があることから、「神の湯」という異名を持つ温泉で、屋根は神社に見立てて合掌造りを似せた造りになっています。古くから湯治場として知られ、約400年の歴史を持つ山あいの区営温泉の時間の流れは、あくまでもゆるやかです。周辺には、4つの旅館があります。


あおし柿
温泉の横に、「あおし柿」専用の露天浴槽が設置されています。柿は 10kg(個数にして 100個弱)ずつ網袋に入れて入浴させます。袋つめにされた渋柿が方々から運ばれてきます。県外から送られてきて入浴する柿もあります。
夕方5時半になると、柿をお湯に浸ける作業が始まります。入浴料は、一袋(10kg)300円です。
この日は、80袋(800kg)が入浴しました。そのうちの20袋(200kg)が、温泉の隣りにある「ふれあい館」で直売される柿で、残り60袋(600kg)が方々から持ち込まれたものです。
ふたをして、37℃に保たれた湯に翌朝7時半まで14時間浸しておきます。一晩ゆっくりと温泉につかった「あおし柿」は、ほのかな硫黄の香りと独特の甘みがあって人気です。「あおし柿」つくりは、10月中旬から11月末まで続けられます。


紫尾神社
1500年前、空覚上人によって創建されたと伝えられ神社で、 毎年初詣は近郷近在の参詣客で賑わいます。
御神体は鏡三面で、承元年中鎌倉の源実朝が奉納したものと伝えられています。境内には、金木犀が匂っていました。


農村の風景
近くの民家には、柿の実が色づき、畑には蕎麦(そば)の花も咲いていました。
稲の収穫がすんだばかりの田んぼには、コンバインが産み落とした藁(わら)束が、まるで繭(まゆ)のように置かれています。


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