昌徳宮の庭園である後苑(フウォン)の中で最も中心的な場所が『芙蓉池(プヨンチ)』と『宙合樓
(チュハムヌ)』です。休息だけではなく学問と教育をしていた比較的公開された場所でした。300坪の広さの四角形の池である芙蓉池を中心に多くの建物を建てられました。宙合樓一帯の奎章閣と書香閣などは王室図書館として使用され、暎花堂では王が立ち会う特別な科挙試験も行われました。暎花堂は、東に庭と、西側に芙蓉池と向かい合っており、前後に縁側がある珍しい建物です。芙蓉亭(プヨンジョン)は、休息のために池に足を浸している形で佇み、行事が行われていた暎花堂は池に面し、学問を研磨した宙合樓は高いところから池を見下ろしています。一つ一つの建物もそれぞれ特色があって美しいですが、自然の中にそれぞれの建物が溶け込み、調和をなしながら絶妙な景観を作り出しています。
宙合樓は正祖(22代王)が即位した1776年に創建した二階建ての建物です。1階には王室直属図書館である奎章閣が、2階には閲覧室がつくられました。『宙合樓』というのは、『天地宇宙と通じる家』という意味です。高い丘の上にある宙合樓に上がる正門が魚水門で、『魚は水を離れて暮らすことができない』という故事から統治者はいつも民のことを考えなさいという教訓がこめられた門で、正祖の民本政治哲学を見せてくれています。大きい門ひとつと左右に小さな門が二つある姿も独特です。