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清和文楽を訪ねて − 熊本県山都町
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通潤橋から東へ数km、宮崎県高千穂からだと県境をはさんで西へ10数kmのところにある熊本県山都町清和地区(旧清和村)は文楽の村です。文楽は、浄瑠璃(語り・太夫)、三味線(義太夫)、人形芝居が一体となった芸能ですが、今からおよそ150年前の江戸時代の末期、淡路島から巡業に来た人形一座から村人たちが人形の操作を教わり、農作業の合間に習い覚えて、春・秋の奉納芝居として上演したのが始まりだとされています。その後、村人の間で親から子へと受け継がれてきました。明治の終わりには一時衰退しましたが、昭和に入り再び盛んになり、現在は保存会が結成され地元の方たちが農作業の合間に練習しながら、第二、四日曜日の定期公演のほか団体の予約公演を行っています。清和文楽館を訪ね、演題が『壷坂霊験記』の定期公演を鑑賞しました。               (旅した日 2006年09月)


清和文楽館
以前は、村にある大川阿蘇神社や村内の特設舞台で上演されていました。練習場所は村の集落センターだったそうです。1992年(平成4年)に文楽専用の劇場である『清和文楽館』が完成し、年間250回を越える公演が行われ、鑑賞客は年間約25,000人に上っているそうです。文楽館の隣りある道の駅『清和文楽邑』の訪問客もあわせると、人口3,700人の村に年間12万人もの人々が訪れます。写真の左手前の建物が文楽劇場(舞台棟と客席棟)、右奥の建物が展示館。
清和文楽館は、日本古来の伝統建築技法を駆使して造られた木造の建物で、客席棟はテコの原理を応用した『騎馬戦組み手工法』、展示館の天井は正十二角形に木組みした『バット工法』という工法で作られています。
       清和文楽を支える熟年パワー
人形を操るのは18人ほどの保存会のメンバーで、多くは、60〜80歳の現役農家の担い手で、40歳〜50歳は予備軍とされているそうです。まさに、お年寄りの知恵と熟年パワーが清和文楽を支えているのです。文楽の公演がある日は、農作業を早めに切り上げて文楽館に駆けつけ、公演が終わるとまた畑仕事に戻って農作業につきます。文楽館を運営するのは、財団法人清和文楽の里協会で、常時20名程度の職員がいて、浄瑠璃(太夫)と三味線(義太夫)は若手職員が担当しています。※公演後、頭と右手を動かす主遣い(主役)の方に写真撮影に応じて頂きました。
展示館
展示館は、ガラス張りの明るい館内です。精巧な造りの人形、西陣織の美しい衣装、説明のビデオや資料などが並べられています。操作体験コーナーでは人形の頭を実際に操作してみることができます。
人形は、頭と右手を操作する主遣(おもづか)い、左手を操作する左遣い、両足を操作する足遣いの3人で動かします。左遣いは主遣いの左に立ち、差金(さしがね)という棒を使って人形の左手を動かします(『差し金』という言葉の由来)。足遣いは人形の背後で中腰になって足を動かします。三人の息がぴったり合って初めて、繊細な人形の動きが表現できるわけです。

清和文楽では、主役をつとめる主遣いも黒衣で演じます。これは舞台に立つ人も裏で支える人も、全員が主役であるという保存会の考えによるものだそうです。

文楽人形のかしら(首)は、桧(ひのき)に顔を彫り込んだももの内部をくり抜いて、目や眉毛や口を動か仕掛けが施されます。目や眉毛や口を動かすバネには、セミクジラ(背美鯨)のひげを薄く削って板状にしたものが使われています。鯨のひげでないと、微妙な表情が出せないそうです。
首(かしら)は、ハマグリの貝殻を粉状にした胡粉(ごふん)を膠(にかわ)で溶き、何回も下塗りした後、首に応じた肌色を紅殻などで作ってそれを上塗りして仕上げられます。

『バット工法』で造られた展示館の天井。見た目も美しく木の温もりが感じられます。

化ける人形
〔姫の顔に戻す〕 〔清姫の顔に戻す〕
展示館の中で着飾って立っている人形は、ボタンを押すと回転します。一回転ごとに姫の顔と狐女や鬼女の顔が
入れ替わる
精巧な作りのからくり人形です。写真をクリックして下さい!
花と幟(のぼり)と
清和文楽館の回りには、初秋の空に幟(のぼり)がはためき、民家の垣根には、芙蓉が美しく咲いていました。静かな山間(やまあい)の文楽の村でした。

清和文楽館データ
〒861-381 熊本県上益城郡山都町大平152、 TEL 0967(82)3001、FAX 0967(82)3002
開館時間/午前9時〜午後4時30分
休館日/毎週火曜日(※祝祭日のときは開館)、年末年始(12/25〜1/1)
入館料、ビデオ上映、資料館見学、高校生以上420円、中学生210円(※小学生以下無料、大人30名以上1割引)
定期公演/第2・4日曜日/午後13時30分から60分間
予約公演/20名以上の団体様のみご希望の日に公演(2週間前に予約が必要。)
公演鑑賞料(見学料を含む)
高校生以上1260円、中学生840円、小学生630円
(※団体割引は大人30名様以上1割引)

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