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棚田を訪ねて(7)〜 熊本県水俣市寒川
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熊本県水俣市の市街から車で国道268号を約20分進むと三叉路交差点があって、左折して県道に入ると久木野地区です。そこから山あいの県道を7km上がると寒川地区に着きます。久木野から寒川までの県道沿いには見事な棚田が続いていて、寒川の棚田は「日本の棚田100選」に選ばれています。標高901mの大関山の南麓から湧き出す寒川水源は、文字通り夏でも涼しく避暑地として県内外に知られています。訪れた日は、田植えや代掻(しろか)きの終った田んぼが寒川水源から湧出した水を満杯に湛(たた)えて美しい日本の棚田の景観を呈していました。                            
                                       (旅した日 2005年5月下旬) 


寒川の棚田(日本の棚田百選)
代掻きを終えたばかりの仁王木の棚田。棚田と民家の屋根の幾何学形状が調和して美しい農村の風景を作っています。
棚田は、家屋の屋根より高いところで水を湛えるので、水面に屋根が沈みそうな風景になります。田んぼの脇に御堂のような建物があって、中国・蘇州の大湖を連想すると言ったら大げさですね。
田植えは、自走式の田植え機械を人が歩きながら操作して行うので、田植えの済んだばかりの田んぼには歩いた数だけ足跡が残ります。民家のすぐ隣りが田んぼで、棚田は農家の朝夕の生活と共にあります。
以下3枚の写真は、「日本の棚田100選」の寒川の棚田です。写真のように、孟宗竹の先端に藁(わら)を差し込んだ筒が畦(あぜ)のあちこちに立ててあります。初めて見るもので、虫除けだろうかと思ってみました。棚田を下りて行くと集会所でたくさん作っています。聞いて見ると松明(たいまつ)だそうです。「棚田のあかり」と称する初めてのイベントで、夜、1,500本の松明を灯すのだそうです。朝からボランティアの人たちが総出で準備しているところでした。水面に映ると3,000本の松明になります。さぞかし幻想的だろうなとワクワクしてきたものです。車で片道1時間半の道のりをいったん引き返し、夕方出直してくることにしました。
着火が午後7時というので、遅れないように鹿児島県の自宅を出ました。空は晴れていて明るいです。ところが、県境を越えて水俣市に入った途端、山あいは局地的にスコールのような雨です。現地について話を聞くと、藁が濡れていて着火しないので中止だそうです。とても残念でした。初めての試みが幻に終らないよう、来年再度チャレンジして欲しいと思うのですが・・・。そんな思い出の残った寒川の棚田訪問でした。
棚状の狭い土地を水利も考えて有効に利用しようとして開墾されたのでしょう。棚田はいろいろな形状の田んぼが組み合わさって出来上がっています。
【編集後記】
◆取材に行く途中、 県境の山あいの田んぼで田植えをしている現場に出くわしました。農道に高級乗用車が止まっています。◆話を聞くと、単身赴任中の北九州市から帰省して田植えだとの ことです。『米は買って食べた方がずっーと安上がりなんだが・・・』との言で す。経済効率優先の昨今のご世相のなかでも、農家の人たちはあたかも習性であるか のように、時季がくれば田を耕し、水を湛(たた)えて、田を植えずにはいられませ ん。◆棚田や山あいの田んぼは国土保全の役割も果たしています。いつまでも、この 時季になると満杯の水を湛える棚田であって欲しいと思います。 
第2回 棚田のあかり in 2006.05.20
昨年(2005年)は、上述の通り第1回の棚田のあかりは、てっきり中止になったと思っていたところ、昨年の7月中旬、このページに辿り着いて頂いた久木野の愛林館の方から、規模を1/3にして翌日実施されたとのお便りをBBSに書き込み頂いたのです。そして、今年(2006年)は、5月20日(土)に実施予定との案内を頂きました。愛林館の方々、ありがとう御座いました。

幸い時間が取れたので、当日17時には棚田に到着したのですが、初めてのことなので、
どこが撮影のベストポイントなのか分からないままに日は沈んでいきました。今回は上手く撮影できなかったので、撮影技術を勉強してまた来年挑戦したいと思います。棚田の輪郭がまだ見える丁度日没後の何分かがシャッターチャンスだと思います。実は、長崎県松浦市福島町の『土谷棚田の火祭り』を見に行ったのですが雨のため延期になり断念しました。だから、棚田のあかりを見るのは今回が初めてでした。連なった棚田の水面に映る灯りが反射して揺らぐ幻想的な風景に感動でした。

土谷の棚田には、500台以上の三脚が並ぶようです。気の早い人は、前日から三脚を駐車場のガードに縛り付けているぐらいです。寒川の棚田は、100選のうちでも素晴らしい棚田だと思います。棚田のあかりが定着すれば、きっとたくさんの三脚が並んで、嬉しい悲鳴を上げなければならないことになるでしょう。
ありがとうございました。


2006.05.20
2006.05.20
2006.05.20
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