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尾道の風景 − 広島県尾道市 |
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若い頃、関西で働いていた著者は、昭和50年(1975年)代の後半、九州への帰省には夜行寝台列車を利用していました。夕方大阪を出発する夜行列車が尾道駅に到着するのはいつも真夜中でした。だから、連結器がガターンという音をたてながら列車が停止する音と、『オノミチ〜、オノミチ〜』という構内放送を耳にするだけで、尾道の風景を知るよしもありませんでした。初めて尾道を訪れたのは、それから10数年後のこと。尾道は戦災を受けなかったらしく、鎌倉後期から室町時代ごろ創建のたくさんの寺が平気で現存していて、拝観料を取ることもなく、管理人もいなかったのに驚いたものでした。10数年振りとなった今回の訪問でもその印象は同じでした。寺の町、海の町、坂道の町、尾道。多くの文学者や文人墨客が訪れ、あるいは住みつき、大林宣彦監督や小津安二郎監督の映画の舞台にもなった尾道。そんな尾道の風景の一端をアップロードしました。 (旅した日 2007年06月) |
千光寺 |
尾道の風景といえば先ず、大同元年(806年)空海の開基と言われる千光寺でしょう。標高136.9mの千光寺山の中腹に位置し、赤堂と呼ばれる朱塗りの本堂(写真上)と、除夜の鐘で有名な鐘楼・驚音楼(きょうおんろう)は、尾道のシンボル的な存在となっています。寺から山頂にかけて広がる千光寺公園は桜の名所としても知られています。 |
竜宮門風の驚音楼(写真上)の鐘の音は、平成8年(1996年)に『残したい日本の音風景100選』に選定されています。下の写真は、本堂から眺める尾道水道の風景。千光寺付近の情景は、文豪志賀直哉氏の小説『暗夜行路』にも描写されています。 |
坂の町 |
尾道は海の町、寺の町、坂の町。お寺めぐりや文学めぐりに限らず、坂道の上り下りは日常生活に欠かせません(写真上)。 |
尾道の坂道は、花崗岩の石畳(写真上、下)が特徴。美しい石畳は、雨に濡れると一層の風情を醸し出します。千光寺新道(渡し場上の坂道、写真下)は、文豪志賀直哉なども上り下りした坂道。大林宣彦監督の映画などに数多く登場した尾道のスター坂道です。 |
路地に、雨上がる |
そして、尾道はまた細い路地の町でもあります。アーケード街から『桂馬かまぼこ店』横を通って水道に出る路地は『石畳小道』と呼ばれています。通り雨の上がった石畳小路は独特の情景を呈していました。住む人の生活感溢れる路地を観光客が行き交います(写真下)。 |
尾道と文学 |
尾道と文学の関係については、今更いうまでもありません。志賀直哉、林芙美子、その他多くの文学者や文人墨客が尾道を訪れ、あるいは住みつき、多くの作品を書き残しました。千光寺の上の辺りから千光山山頂にかけては、著名な歌人・文人の歌碑が立ち並ぶ『文学のこみち』になっています。上の写真は、中村憲吉終焉の家の前で。写真下は、林芙美子像。 |
アーケード街 |
尾道のアーケード街には、古い建物を改修したお店があって、アンティークな雰囲気が味わえます。雑貨屋&カフェのお店(写真上)は、かつて『大和湯』という銭湯をだった建物をタイル張りのまま改装したお店です。 |
アーケード街には、大漁旗が吊るされていました。『鉄板や海物(かいぶつ)』というお店は、昭和45年代(1970年代)の赤提灯の居酒屋を彷彿(ほうふつ)とさせるアンティークなお店です(写真下)。 |
西國寺(真言宗) |
西國寺の山門(県重文)は室町後期の建立で、三間一戸楼門の仁王門。珍しいのは軒先に大小さまざまな草履が吊るされています(写真)。そして、いかめしい顔の仁王像が安置されています(写真下)。 昔より健脚の寺として老若男女の参拝が絶ず、仁王門の大草履をはじめ、願立ての証として大小の草履がところ狭しと奉納されているのだそうです。 |
天寧寺(曹洞宗) |
国重文の塔婆(海雲塔)(写真下)と、五百羅漢(写真上)で知られる天寧寺(ていねいじ)は、室町時代の貞治6年(1367年)足利義詮が建立し、普明国師を開山とした寺です。 |
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国宝・浄土寺(真言宗) |
浄土寺は、今から1400年前の飛鳥時代、推古天皇の24年(616年)、聖徳太子の開基と伝えています。この寺は、足利尊氏ゆかりの寺としても有名で、建武3年(1336年)、九州へ下った際に尾道に船を寄せ浄土寺観音に戦運挽回を祈ったといわれています。 文化財の宝庫で、本堂、多宝塔は国宝、山門、阿弥陀堂は国重文に指定されています。奥庭には伏見城から移築したといわれる茶室・露滴庵(国重文)が静寂に佇んでいます。 |
浄土寺の山門のすぐ下を山陽本線と国道2号線が走っていて、尾道水道がもうすぐそこに迫ってきています(写真下)。 |
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