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♪サラバンド(バッハ) |
Piano1001 |
鉛温泉 藤三旅館 − 岩手県花巻市 |
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藤三(ふじさん)旅館は、花巻市街中心より約20kmの奥羽山脈中腹に位置する花巻南温泉峡 鉛温泉に唯一ある温泉宿の一軒家。宮沢賢治の童話『なめとこ山の熊』に『熊の胆ありという昔からの看板が掛かっている宿』として出てき、今はめずらしい湯治部がある旅館です。白猿が傷を癒したという伝説に由来する名物の『白猿の湯』は、珍しいことに、深さ125cmの湯船に立ったまま入ります。昭和27年(1952年)、田宮虎彦はこの旅館で短編小説『銀心中(しろがねしんじゅう)』を書きました。そういうことで、折角だから、遠野・花巻の一泊二日の旅の宿に選んだのが藤三旅館の湯治部でした。 (旅した日 2010年3月) |
ふじさんりょかん |
藤三旅館 |
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湯治部 |
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湯治部の客室 |
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白猿の湯 |
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田宮虎彦・著『銀心中』 − あらすじ − |
夫婦共稼ぎの理髪店を経営していた石川喜一と妻の佐喜枝のもとに、佐喜枝と2つ違いの従弟(喜一の姉の長男)の珠太郎が弟子入りして来ます。一年後、喜一が召集令を受けて出征。理髪店を託された若い妻とその従弟は、お互いをいつくしみ合うようになり、微妙な気持の中で理髪店を続けて行きますが、やがて珠太郎も徴兵検査を受け戦場へ。珠太郎を駅に見送った日からまもなく、夫喜一戦死の報が届きます。そして終戦。焼跡にできた理髪店で住み込みで働く佐喜枝のもとへ珠太郎が復員して来ました。見つめ合う二人の眼には涙が溢れ、二人は初めて結ばれます。バラック建ての理髪店が出来上がり、二人が一緒になって半年ばかりの頃、今度は、戦死したはずの喜一が帰って来たのでした。珠太郎は喜枝への想いと喜一への義理との板ばさみのなかで家出をします。善良な喜一は二人を憎むことも出来ません。苦痛の日々が続きます。珠太郎の面影をどうしても捨てきれない佐喜枝は、珠太郎が東北のしろがね温泉にいるという噂を耳にすると矢も楯もたまらず、雪深い温泉に出かけて行きます。珠太郎は、温泉宿や付近のダム工事事務所を日をきめて回る理髪師をしながら、佐喜枝に瓜二つの芸者梅子に傷心をいやしていたのでした。佐喜枝の姿を見た珠太郎は、『東京へ帰れ』と叫び馬そりに飛び乗って去ります。吹雪の中に彼の後を追う佐喜枝でしたが、崖下に死体で発見されます(1)。 |
【参考にした図書・サイト】 (1)田宮虎彦『銀心中』(日本文学全集35、新潮社、1969年10月30日発行) (2)岩手・花巻 文士が愛した浪漫の湯宿 鉛温泉 藤三旅館(藤三旅館公式ホームページ) |
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