♪夢の向こう側
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加治木町のくも合戦 − 鹿児島県加治木町
                        (
『天下の奇習』とも言われる鹿児島県姶良(あいら)郡加治木(かじき)町の伝統行事『くも合戦』(加治木町くも合戦保存会など主催)が今年(2008年)も6月の第三日曜日の15日、町福祉センターでありました。二匹のメスのコガネグモを60cmの棒上で戦わせる競技で、加治木の殿様であった島津義弘公(関ヶ原の戦いの敵中突破で有名)が、豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)の際、兵を元気づけようと陣中でコガネグモを戦わせたのが起源とされ、400年以上の歴史を有する行事です。優良ぐもの部、合戦の部、王将戦の部の三部門の競技が行われ、県外からの参加者も含め約160人が約400匹のコガネグモを出場させ、町福祉センターは延べ約2,000人の観客で賑わいました。                         (旅した日 2008年06月)


くも合戦(無形民族文化財)
競技には、次の三部門があります。

1.優良ぐもの部

八頭身ですらしとしたスタイル、ほど良い大きさのお尻、色艶が良く形や姿が整っていて美しいことなどを審査基準にして、優良なくもを選ぶ競技。

2.合戦の部
(1)一人必ず3匹のくもを出場させること。(2)1匹のくもは、最大3回対戦する資格を持つ。(3)負けた時点で、そのくもは出場の資格を失う。対戦は、1匹目が1回戦、2匹目が2回戦、3匹目が3回戦とする。
3.王将戦の部
合戦の部で3勝したくも(”3勝ぐも”という)のみが参加資格を持つ。王将戦は、抽選を行なわず、合戦の部の順番で右側からトーナメントで行なう。

合戦の部と王将戦の部は、それぞれ少年の部と大人の部があります。8時30分に開会式が始まり、競技は16時まで続きます。



決まり手

          勝敗の見分け方

(1)相手の後背尻に、平たい
くもの糸をかけたら
   ち(図@)。 図は、下のくもが上のくもに糸をか
   けた瞬間。

(2)相手の後背尻に
かみついたら勝ち(図A)。図
   は、下のくもが上のくみにかみついた瞬間。

(3)糸を垂れて横棒からぶら下った相手の
糸を切
   り落としたら
勝ち(図B)。図は、上のくもが下
   のくもの糸を切る瞬間。

※ くもは動きが速いため、熟練した行司の鋭い真剣な目がくもの瞬時の動きを見取って勝ち負けを判定します。






※ イラストは、会場の説明板を撮影したものです。


試合方法
試合の方法 (1)長さ60cmの1本の横棒の先端に『かまえ』と称するくも(上の写真で右のくも)を待機させる。(2)『しかけ』と称する対戦ぐも(上の写真で左のくも)を行司が仕切って向かい合わせ、対戦させる。
ハッケヨイ、ハッケヨイ!(とは言いませんが・・・)、 いよいよ戦いが始まります。
戦闘意欲に乏しくて試合が面白くないとマイクを持った解説役が『仕様もない』『詮無い』と発します。行司は、小指でくもを突いたり、『塩(砂)』をまいたりして発奮させます。写真上は、『塩(砂)』をまいているとことです。
さて、1匹が棒からぶら下りました。上のくもが下のくもの糸を切り落としたら勝負有りですが、さて・・・。


裃姿の行司
いかに戦闘意欲をかき立てて試合をさせるか。それと、間違いのない判定が行司の役割。もう、汗ダクダクです。
どっちのクモが『かまえ』で、どっちが『しかけ』だったかわからなくなったら大変です。きっと、神経を使うことでしょう。


出番を待つ
      網かごに入れて

子供も大人も写真のような
網かごに自分のくもを入れて、会場に現れ、自分のくもの試合がくるまで会場で出番を待ちます。網かご越しにくもを覗いてみると、習性でしょうか、それとも調教させているからでしょうか? くもはどれもこれもじっとしています
このくも合戦大会終了の翌日には、くも合戦の振興と継承者の育成を兼ねて、町内の小学校や保育所でもくも合戦が行われるそうです。


そして、熱い戦いが済むと
、くもはもとの野山に放たれます。子供たちが自分たちで放つのがむずかしい場合には、保存会の方で放ってくれます。

なお、このくも合戦大会は、平成8年(1996年)、『記録保存等の措置を講ずべき無形の民俗文化財』の選択を受けました。



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