♪Prologue
KasedaMusicLabo
薩摩切子〜ガラス工芸館薩摩の郷 − 鹿児島県さつま町
                        (
幕末期、28代薩摩藩主島津斉彬(なりあきら)公の命によって創製された「薩摩切子」。透明度のある暗紅色の色彩はその名を世に知らしめました。しかし、製作されたのはわずか十数年の間だけで、「幻の切子」といわれました。それから約120年の時を経て、1985年(昭和60)に斉彬公ゆかりの地・鹿児島市磯で復元がなされました。現在、鹿児島県内の2個所で、製作が続けられています。鹿児島市磯(薩摩ガラス工芸(株))とガラス工芸館薩摩の郷(薩摩びーどろ工芸(株))です。今回、ガラス工芸館薩摩の郷を訪れ、「薩摩切子」の魅力に触れました。 鹿児島県さつま町は、車で鹿児島空港から30分、鹿児島市内から50分のところにある人口約4600人の農業を主産業とする町です。あふれる緑、新鮮な空気、美しい自然に囲まれた町営の観音滝公園内にガラス工芸館は静かにたたずんでいます。なお、さつま町は、当ホームページの制作者・ワシモが生まれ育ったふるさとです。
                                              (旅した日 2003年5月)
ガラス工芸館薩摩の郷
「薩摩切子」の復元に携わった職人たちで、1994年(平成6年)「薩摩びーどろ工芸(株)」が設立されました。復元「薩摩切子」の製造を中心に、新たに独創的な創作「薩摩切子」・宙吹作品作りに取り組み、県内外から高い評価を得ています。また「現代ガラスの美展」in薩摩、ガラス器手作り体験コーナー、町内生涯学習塾などの活動も行っています。1997年(平成9年)に鹿児島県伝統工芸品の指定を受けました。
▲観音滝公園にたたずむ薩摩町ガラス工芸館の瀟洒(しょうしょ)な外観(写真右)


薩摩切子の歴史
薩摩藩27代藩主島津斉興(なりおき)は薬品に耐えうる器の必要に迫られ、ガラス器の開発製造を始めました。その後、シーボルトと交流を持ち、ヨーロッパの文物と親しんでいた28代藩主斉彬の命により1851年中村騎射場近傍のガラス釜で 「紅ガラス」 の創製に成功しました。その透明度のある暗紅色は、薩摩切子の象徴的な色彩として「薩摩切子」 の名を高らしめました。しかし、斉彬公が急逝すると財政のひっ迫からガラス工場は縮小され、さらに1863年の薩英戦争で工場はほぼ焼失しました。そのため作品が少なく、「幻の切子」と言われましたが、約120年を経た1985年(昭和60年)に、斉彬公ゆかりの地・鹿児島市磯で 「薩摩切子」 が復元されました。


薩摩切子の特徴「ボカシ」
 薩摩切子は、透明なクリスタルガラスの上に約1〜2mmの色ガラスを溶着した色被(かぶ)せガラスにカットを施し、磨き上げて作ります。角度の浅いカットを施すと、色ガラスと透明なガラスの境目が曖昧にぼかされて、次第に色彩が薄められてゆきます。これが「ボカシ」です。薩摩切子の最大の特徴で、ガラスに温かみと奥行きを感じさせ、独特の雰囲気を醸し出します。
▲「薩摩切子」の復元作品(写真右)。瑠璃(るり)色に輝く工芸品で、細かいカットがクリスタルな輝きを見せる。
  



ガラスの主なカット文様
色被せガラスの厚さが全体に均一でなければならないこと、カットに多くの技法が使われているため熟練した技術が必要です。機械による大量生産ができず、カット・磨きともにすべて手作業で作られます。ガラスカットの代表的なカット文様として下の写真のようなものがあります。
八角篭目 ホブネイル 麻の葉小紋 薩摩縞 三重矢来に魚子文 輪結び


ガラス工房の様子
  


  


宙吹きクリスタル
 型を使用せずに吹きだけで仕上げた製品。製作者の手作りであり、「薩摩切子」と同じ原料で作られています。


カット・磨き工程(生地から仕上がりまで)

@色被せした生地
 内側は、透明なクリスタルガラスで、外側に厚さ約1〜2mmの色ガラスを溶着して被(かぶ)せてあります。
D石掛け
 円盤状の人工砥石を回転させ、削り込みます。カットを仕上げる工程で、表面のざらつきが滑らかに整えられ、削り込んだ部分は滑らかな半透明の状態になります。
A火切り
 吹きで仕上がった生地を最初に加工する工程。仕上がりの高さ3mm程度上をガラス切りのダイヤでラインを引く。火切り機の回転盤にのせ、バーナーで切る。
E木盤磨き
 桐でできた円盤を回転させ、水でペースト状にした磨き砂をつけながら磨き、表面の凹凸を滑らかにします。
B当たり
 生地の表面に、カット模様の目安となる線をペンで引きます。
F仕上がり
(バフ磨き)

 布を円盤状に重ねたバフを回転させて押し付け、ペースト状の磨き粉をつけながら磨きます。この作業でカット面の細かいキズをとり、艶を出して仕上げます。
C荒ずり
 ダイヤモンドホイールを 回転させ、ガラスを押し当 てて削り込んでいきます。削り込んだ部分はすりガラス状の荒れた状態になります。
 
薩摩び〜どろ工芸(株)
鹿児島県薩摩郡薩摩町永野5665−5
Tel 0996-58-0141 / Fax 0996-58-0246
E-Mail info@satuma-vidro.co.jp
http://www.satuma-vidro.co.jp
年中無休/入館見学無料
午前9:30〜午後5:00(休憩:午前11:45〜午後1:15)



全国催し物

薩摩びーどろ工芸(株)では、全国各地で、薩摩切子展・日本全国伝統工芸展・職人展・物産展など、いろいろな催し物を行っています。お近くの際には、是非お立ち寄り頂き、実物をご覧下さい。たとえば浦和・府中・新宿・相模原伊勢丹、梅田阪急、岡山天満屋、仙台・高松・広島・福岡三越、町田小田急、東武宇都宮、名古屋名鉄どで開催が予定されています。
 詳しくは、公式ホームページに案内のページがあります。



【備考】
(1)本ページは、薩摩びーどろ工芸(株)のご承諾を得て公開しています。
(2)ガラス工芸館薩摩の郷の館内は写真撮影禁止ですが、特別のご好意を頂き撮影させて頂きました。
   また、画像ファイルをお送り頂き、使用させて頂きました。改めてお礼い申し上げます。
(3)薩摩びーどろ工芸(株)の公式ホームページのアドレスは、http://www.satuma-vidro.co.jp です。
あなたは累計
人目の訪問者です。
 
Copyright(C) WaShimo All Rights Reserved.