♪Please Don't Go
Blue Piano Man

             
           
旅行記 ・角館 − 秋田県仙北市  2013.04
 かくのだて
角館
(国の重要伝統的建造物群保存地区)
武家屋敷通り 〜 角館のメインストリート
角館 関ヶ原の戦い後の慶長7年(1602年)、戸沢氏に代わり入部した蘆名(あしな)氏は、元和6年(1620年)、現在の位置へ町を移転させ、現在の角館の元となる町割を行いました。街並みは、火除(ひよけ)と呼ばれる広場を中心に、その北側に武家屋敷が建ち並ぶ内町(うちまち)、南側に町人や商人が住む外町(とまち)を配置しました。
客を待つ人力車
〜 明暦二年、蘆名家断絶のあと、角館に移ってきた佐竹義隣は公家の出身であったところから、京都を偲んで枝垂れ桜を移植した。以来、三百数十年間、ここの桜は、武家の盛衰を見詰めながら花を咲かせてきたことになる。当時はほとんどの家に桜が植えられたようだが、とくに、かつて佐竹北家の重臣であった青柳家や、側用人としてつかえた石黒家では、正面の薬医門を入った左右に枝垂れ桜の巨木がそそり立ち、満開の花に包まれた枝が長々と黒板塀まで垂れている。庭の樅や檜の緑と武家屋敷の簡素な黒板塀を背景に、天から降ってくる枝垂れ桜はいっそうあでやかである。 〜 
 
渡辺淳一著『桜の樹の下で(上)』(新潮文庫、1992年発行)より
 
内町には今も往時のままに武家屋敷が並び、600mの武家屋敷通りには昔のままの薬医門、黒板塀などと枝垂れ桜が見事に調和する武家屋敷が続き、国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けています。
  
蘆名氏の支配は3代続きましたが、承応2年(1653年)の蘆名千鶴丸の死により断絶。代わって、明暦2年(1653年)に佐竹北家の佐竹義隣(よしちか)が角館に入り、以降明治まで11代続きました。初代・義隣は、京の公家・高倉永慶の次男で、さらに2代・義明も京の公卿・三条西実条の孫娘を室に迎えていて、角館には多くの京文化が移入されました。
denn安藤醸造(嘉永六年創業の老舗)にて
武家屋敷通りにて(承諾を得て撮影しました。ありがとうございました。)
 
石黒家
薬医門と覗窓(のぞきまど)のある黒板塀(石黒家)
樅(もみ)の木(石黒家)
常緑樹は、火災発生時の緊急に備え、火の粉がかからないよう植えられたものだそうです。蔵には、歴代の武具や甲冑、また秋田蘭画の大成者で『解体新書』の挿図を描いた角館出身の武士・小田野直武に関する古文書などが展示されており、季節によっては、雛人形や五月人形、着物などを飾ることもあります。道路に面して排水溝がありますが、これは、蘆名義勝の城下町建設にともなうもので全町をおおっています。また、屋敷を黒板塀がめぐり、屋敷から外を覗けるように『のぞき窓』が付いています。なお、この塀の着色には柿のシブが用いられているそうです。〜 Wikipediaを参考
 
石黒家 石黒家は、断絶した蘆名氏に代わって佐竹義隣に召抱えられた石黒勘左衛門直起を初代としています。石黒家の薬医門には、文化6年(1809年)4月27日の墨書銘との矢板があり、角館に現存する武家屋敷のなかで年代の確認されるものとしては最古の建物となっています。玄関は、上位もしくは同格の身分を対象とする正玄関と、下位身分対象の脇玄関の2つがあり、母屋は茅葺きで、角館の武家屋敷のなかでは唯一、母屋の座敷に入って建物を主体に内部を見学できます。庭には、樹齢 300年の樅(もみ)の大木をはじめ各種の常緑樹やモミジなどの落葉樹があります。
denn薬医門から見た風景(石黒家)
母屋(石黒家)、鎧岩
あおやぎけ
青柳家
青柳家の屋敷風景
青柳家 青柳家は、もともと蘆名氏の家臣団の優力な武将でしたが、蘆名氏が絶えた後は佐竹北家に仕えました。3000坪の敷地内には、母屋、武器庫、青柳ミュージアム(秋田蘭画)、秋田郷土館、武家道具館、ハイカラ館(アンティークギャラリー喫茶)などの資料館があり、貴重な品々約3万点が公開されています。
薬医門(青柳家)
薬医門 薬医門は、2本の本柱の背後だけに控え柱を立て、切妻屋根をかけた門です。藩への功績が認められ家のみに特別に許された門でした。その名前のいわれは、一説には矢の攻撃を食い止める『矢食い(やぐい)』からきたとか、かつて医者の門として使われたことからともいわれています。
重厚な武器蔵(青柳家)
覗窓(のぞきまど) 黒板塀に突き出ていている格子を設えた出窓。位の高い家しか設けることができませんでした。武者窓とも呼ばれます。外からは中が見えません。訪問者を中から確かめ、狼藉者などから身を守る安全対策のための設えだとか、ふだん自由に外を歩くことはおろか道行く人を眺めることもできなかった女人のために設けられたとか、あるいは、殿様が通られるとき失礼のないように眺めるための窓だったとかいわれています。
母屋(青柳家)
青柳家の母屋
 
小田野直武(おだのなおたけ、1750〜1780年) 角館に生まれる。幼少より絵を好み、狩野派を学び、また浮世絵風の美人画も描く。やがて絵の才能が認められ、佐竹北家の当主・佐竹義躬、秋田藩主・佐竹義敦(佐竹曙山)の知遇を受けた。安永2年(1773年)、鉱山の技術指導のために秋田を訪れた平賀源内と出会い、源内から西洋絵画の遠近法、陰影法などの技法を学び、秋田蘭画と呼ばれる一派をを形成した。安永3年(1774年)、源内の紹介で杉田玄白らの『解体新書』の挿絵を描いたが、同8年突然謹慎を命じられ帰郷し、翌年角館で没。秋田蘭画(あきたらんが)は、江戸時代における絵画のジャンルの一つで、久保田藩(秋田藩)主や藩士を担い手とした。西洋画の手法を取り入れた構図と純日本的な画材を使用した和洋折衷絵画である。安永年間(1772〜81年)に久保田藩で成立したが、後継者もなく天明年間(1781〜89年)には廃れた。しかし、その極端な遠近法は後代の浮世絵にも大きな影響を与えたとされる。
小田野直武『東叡山不忍池』(秋田県立近代美術館所蔵、Wikipediaより) 秋田蘭画の創始者・小野田直武像
小田野直武・秋田蘭画の歩み
ハイカラ館(アンティークギャラリー喫茶)(青柳家)
軽やかな飾山囃子(おやまばやし)が奏でられる中、重さ約6トンの山車が激突すると、観光客から大きなどよめきと歓声がわき起こり、ぶっつけの合間には、山車の上で着物姿の女性たちがしなやかな手踊りを披露するそうです。青柳家で山車を見ることができます。
 
角館祭りのやま行事(角館のお祭り) 毎年9月7日〜9日の3日間、夜を徹して行われる角館の国指定重要無形民俗文化財『角館祭りのやま行事(角館のお祭り)』は、江戸時代から続けられているお祭りで、角館の中心部7カ所で、観光用山車(やま)の豪快なぶっつけが繰り広げられるお祭りだそうです。
角館祭りで使われる山車(青柳家)
青やg北門(青柳家)
 
松本家
皮葺屋根に川石のった松本家の住宅
松本家住宅 松本家は佐竹氏の重臣今宮家の組下で佐竹氏の国替により主家に従って常州(常陸国)から角館に移った。今宮家組下は武家屋敷集落から離れた田町に集団で住居を構えたので、松本家も当初は田町に住居したが、後佐竹北家の組下となり現在の小人町に移り今日におよんでいる。屋敷は萱葺の簡素な造りで下屋をおろした入口を入って居間、その右に座敷兼仏間が配されており、裏側は水屋に続いて広縁がある。
まだ積雪が残っています
建築年代は幕末頃と推定され、離れの寝室は後に他から移築したもののようである。屋敷周りには生垣をめぐらしている。旧藩時代は、殖産事業の原料となる植物や食用植物が植え込まれていた。この住居は近世武士住宅の姿を知る上で貴重である。(以上、現地案内板より抜粋 映画『たそがれ清兵衛』(2002年製作、藤沢周平・原作、山田洋次・監督)のロケに使用されました。
お食事処
武家屋敷の雰囲気と調和して佇むお食事処
 
ひのきないがわつつみ
桧木内川堤
桧木内川堤・桜まつりのイベント
桧木内川(ひのきないがわ)の左岸堤防2kmにわたるソメイヨシノの桜並木は、昭和9年(1934年)に今上天皇御誕生記念として植えられたもので、国指定名勝となっています。
〜 この川の東の堤には四百本以上の染井吉野が二キロにおよぶ桜のトンネルをつくっている。車は先廻りして二キロ下流の橋の先で待っているというので、遊佐は涼子と並んで堤を下った。花見客のあいだにまじって、
桧木内川堤・桜まつりのイベント
遊佐はみなに見られているような気がしたが、じきに行く人も来る人も、他人のことなど気にせず、ひたすら桜に浮かれていることに気がついた。「ねえ、みなさんの顔が桜色に見えるわ」 涼子がつぶやくとおり、行き交う人は老人も若者も子供も、みな桜色に染まっている。 〜 渡辺淳一著『桜の樹の下で(上)』(新潮文庫、1992年発行)より
桧木内川堤の桜並木
編集後記
角館を訪れたのは今年(2013年)4月20日のこと。初めての訪問でした。桜前線を追っかけての東北旅行でしたが、今年は北上が速いと思われた前線が停滞してしまい、桧木内川の堤では桜まつりのイベントが始まっていたものの、三百数十年の歴史を誇る武家屋敷通りの枝垂れ桜、そして四百本以上が二キロにわたって咲き乱れるという桧木内川堤の染井吉野を見れなかったのは残念でした。いつかリベンジを果たせたら良いです。さて、角館といえば、歌手の藤あや子さんのふるさと。『あや子のお国自慢だよ』という歌を艶やかに歌っている舞台をYouTubeで見れます。ご興味のある方はクリックして下さい。
あなたは累計
人目の訪問者です。
 

Copyright(C) WaShimo All Rights Reserved.