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旅行記 ・第7回 入来薪能(いりきたきぎのう) − 鹿児島県薩摩川内市  2010.08.28
 
 入来薪能・『巴(ともえ)
     
     

 
巴(ともえ)と木曽義仲
木曽義仲(源義仲)は、父義賢が甥である頼朝の兄義平に殺され、乳母の夫、中原兼遠にかくまわれ信州の木曽で育ちました。巴は、兼遠の娘で武芸に優れ美しく義仲の愛人でした。1180年、義仲は以仁親王の平氏討伐の令旨を受けて兵を挙げ、越中に平氏の大軍を破り、頼朝より早く京に入り、平氏を西国に追いやりました。
しかし、田舎育ちの粗野な態度や、兵士たちの乱暴が貴族や京の人々に嫌われました。後白河法皇は頼朝と結び、頼朝には義仲を討つよう、義仲には平氏追討に出るよう求めました。東西からの敵を受けた義仲は、宇治、瀬田の守りを頼朝の弟、範頼、義経に破られて、北国に逃れようとしましたが、近江の粟津で深田にはまり戦死しました。三十一歳でした。巴は、戦場で勇ましく戦い共に戦死を願ったのですが、義仲の説得により心ならずも逃れました。 能の巴は、この悲劇を題材にしたものです。 
          
          

木曽在住の僧が、
従者とともに都へ旅に出る途中、琵琶湖のほとり
粟津が原に着きます。

         
         

僧が休んでいると、女が一人、
何か語りながら現れます。僧は神前で涙を流す女を
見て言葉をかけます。

              
              

         
         
すると、女は、粟津が原に
祀られているのは木曽義仲だと教え、
僧に供養を願います。
         
         
    
          
          
          
そして、
自分も亡者だと告げ、夕闇の草葉の陰に
消えて行きました。

          
          
          

        
        
僧が供養していると
巴の亡霊が武者姿で現れ、僧に
語りかけます。

        
        

      
      
巴は、主君、義仲に
最後まで一緒にいることを許されず、
その恨みが執心に
残っているというのです。
      
      

       
       
       
       
木曽義仲の挙兵から死ぬまでが
語られ、巴は、僧一行に供養を願いでます。

      
そして
義仲の最後の様子が
語られます。


主君に
駆け寄って見奉ると、
深い傷を負ってしまわれていた。
     
巴もお供するので
早くご自害をして給えと申し上げると、
お前は
女だから生きるすべも
あるだろう、
   

ここにあるお守りと小袖を
木曽に届けよ、
もし背(そむ)くなら、三世の主従の契りを絶ち、
長く許すことはないと
お語りになる。
         

巴は、
ともかくも涙に咽ぶよりほか
なすすべはなかった。
    
  
       
       
 
        
        
そうこうして
主君の前から立ち上がり、
辺りを見回れば敵が大勢寄せていたので
巴が長刀の技を
繰り出して嵐に花が舞い落ちるように
敵を薙ぎ倒すと
皆切り立てられて逃げ、
はるか遠く
見えなくなった。
        
        
ご自害なされた主君の
枕元に小袖とお守りが置いてある。巴は泣く泣く
それらを頂くのでした。
  

巴       
巴は、鎧の上に
かけてある上帯を切り、甲冑を心静かに脱ぎ置き、
梨子打烏帽子も脱ぎ棄てて、


        
        
形見の小袖を着て、
最後までお持ちになっていた小太刀を衣にかくして、
木曽の里へ、涙とともに
唯一人、落ちのびて行くのでした。

         
          
         
       
            
            
その後ろめたい
悔いの執心をお弔いくださいませ、
執心をお弔いくださいませ。

                     
          
          

          
■ 第7回入来薪能 データ ■
     
     
とき
平成22年(2010年)8月28日(土)
午後5時開場、
午後6時開演〜8時半終了
   
ところ
鹿児島県薩摩川内市入来町
清色(きよしき)城址(現入来小学校)特設舞台
     
      
主催
入来花水木会
(代表 入来院貞子
   
共催
入来花水木会支援会
(会長 永吉章一郎)
     
後援
  鹿児島県・鹿児島県教育委員会・薩摩川内市・薩摩川内市教育委員会・
(財)薩摩川内市民まちづくり公社・薩摩川内市商工会議所・薩摩川内市商工会・
薩摩川内市観光協会・鹿児島県文化協会・鹿児島市文化協会・薩摩川内市文化協会・
鹿児島稲門会・鹿児島三田会・入来麓伝建地区保存会・清色地区コミュニティ協議会・
南日本新聞社・NHK・MBC・KKB・KTS・KYT・鹿児島ペンシルクラブ・
随筆かごしま社・文化サロン鹿児島・炉辺セイ談会
     
  
− 薩摩川内市提案公募型補助金活用事業 −
     
    
演目
『仕舞』
鵜之段
                   鵜澤 久(重要無形文化財総合指定)
  地謡    柴田 稔
    谷本健吉 
  安藤貴康 
      
『狂言』
清水
  シテ(太郎冠者)  野村万禄(重要無形文化財総合指定) 
  アド(主)  吉良博康 
    
『能』
  前シテ(里女)  若松健史  (重要無形文化財総合指定) 
  後シテ(巴御前) 清水寛二  (重要無形文化財総合指定)  
  ワキ  工藤和哉  (重要無形文化財総合指定)
  間狂言  野村万禄  (重要無形文化財総合指定) 
  笛   藤田貴寛   
  小鼓  飯富章宏  (重要無形文化財総合指定) 
  大鼓  白坂信行   
  (後見)  鵜澤 久 (重要無形文化財総合指定) 
    鵜澤 光   
  (地謡)  西村高夫  (地頭)(重要無形文化財総合指定)  
    柴田 稔   
    長山桂三   
    谷本健吾   
    安藤貴康   
    観世淳夫   
   (以上、観世銕仙会のみなさま) 
       
       
前売券・ 5千円
当日券・ 6千円
        
  
               

              
■ 会場の設営と運営 ■
  
      
  設営  川畑 稔、米森寿美男 
  提灯 初田 健、清瀬記重  
  誘導 初田 健   
  駐車場 堀内清志、今藤五月 
  篝火・薪  谷口伸也、青山裕幸 
  受付   米森寿美男  
  来賓応対  入来院重朝、入来院貞子
  本部  永吉章一郎、川畑 稔 
  片付け 米森寿美男、永吉章一郎
  アナウンス 串田久子
  その他                        
   入来花水木会・入来花水木会支援会一同   
  協力        
  麓伝建地区保存会・入来町ボランティアの方々   
     
  〔舞台・背景〕  今藤建築   
  〔音響・照明〕   PAサウンド   
  〔売店〕  いりき茶屋  
     
                 

      
       
    ⇒ 第6回入来薪能  ⇒ 春、入来麓の風景
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