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伊万里焼を訪ねて − 佐賀県伊万里市
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佐賀・鍋島藩が慶長の役から連れ帰った朝鮮人陶工・李参平によって1616年、有田に始まった有田焼は、数10年で急速な発展を遂げます。鍋島藩は、より高い品質の保持と技法の維持を図るため、1675年に藩窯を有田から伊万里の『大川内山』(おおかわちやま)へ移します。そして、技法が漏れないように険しい地形を利用し、入口には関所を設けて職人たちを厳重な監視下に置きました。そんな中で藩窯の職人たちは、大名や将軍家、朝廷に献上する品々を類い稀な技術と情熱で明治まで焼き続けました。その鍋島焼の伝統は、伊万里焼として今に受け継がれています。静かな谷間に多くの窯元が軒を連ねる大内山を歩けば、色鍋島の華麗な焼物に出会うことができます。                               (旅した日 2006年05月)

秘窯の里・大川内山
大川内山は、中国景徳鎮の官窯の組織を模して鍋島藩の御用窯が置かれたといわれ、
背後には
山水画を思われる切り立った大屏風奇岩がそびえています。
屏風岩を真正面に見ながら上る坂道に、レンガ積みの煙突と白壁の建物は、大川内山を代表するショットです。
上り坂の両側には窯元のショーウインドが並びます。
どの窯元の暖簾や看板にも『鍋島藩窯』という文字が目につきます。
有田の裏通りで見られるあのトンバイ塀が伊万里にもありました。
庶民的な賑やかさと活気の有田に対して、大川内山は藩窯の里だけあって、落ち着いた静かな雰囲気があります。
坂の上り口の辺りには近代的な雰囲気を感じさせる焼き物工場や工房などが見られます。


唐臼小屋
唐臼 鍋島藩窯時代は、この川畔に水車小屋が立ち並び、陶石を砕く音がこだましていました。
秘窯の里・大川内山には、鍋島青磁の原料となる青磁鉱が豊富にあり、
これらも唐臼で砕いて格調高い名品を生んでいます。
伊万里焼
伊万里焼の特徴
写真は、伊万里市観光協会のパンフレット『旅のはじまり』から借用しました。
〔色鍋島〕
轆轤光沢のすぐれた白磁の肌に渋い染付と赤・緑・黄の三色を基調として、美しい上絵が描かれています。

〔鍋島染付〕
呉須(ごす)の藍色で描かれており、色鍋島のあでやかさと異なり落ち着いた雰囲気の色ありです。
〔鍋島青磁〕
青磁原石を細かく砕いた釉薬をかけて焼き上げたもので、自然の青翠(せいすい)色の光沢が神秘的な美しさを醸(かも)し出しています。


鍋島藩御用窯でつくられた焼物石を鍋島と呼び、その伝統を受け継いだのが伊万里焼です。江戸時代から明治にかけて、伊万里・有田地方の焼物は伊万里港から積み出され、伊万里の地名は焼物の代名詞として呼ばれていました。その当時の焼物を古伊万里と呼んでいます。
伊万里焼の製作行程
成 形 轆轤(ロクロ)・鋳込みなどで形をつくる
乾 燥 天日(てんぴ)で生製品の水分をとる
素 焼 焼成温度850℃〜900℃で焼く
下絵付 鉱物性絵具(コバルト・鉄)で絵付する
施 釉 石灰石・長石を細かく砕いた釉薬(ゆうやく)をかける
本 焼 焼成温度1,300℃で焼く
上絵付 本焼したものに色絵をつけ800℃前後で焼き上げる
窯出し 焼き上がった焼物を窯よりていねいに取り出す
 イラストは、大川内山振興協議会のパンフレットから借用しました。

伊万里焼は、成形、絵付、施釉、焼成など、各工程において分業体制で生産されています。それぞれの工程の職人の手を経て一つの製品が出来上がります。

関所

大川内山の入口には、窯場への出入りを厳しく取り締まるために関所がありました。
 磁器のふるさと・有田を訪ねて−佐賀県有田町
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