♪五木の子守唄
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茅葺の阿弥陀堂− 人吉・球磨を訪ねて(4)
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『人吉・仲よし・こころ良し』。人々は、人吉・球磨地方の気質を称してこう呼びます。四方を九州山地の山々に囲まれたこの地方は、明治43年(1910年)に肥薩線が開通するまでは、まさにかくれ里の名にふさわしい山峡の地でした。内部抗争など紆余曲折はあったものの、その隔絶された地理的要因ゆえに外部から大きな侵略を受けることなく、建久9年(1198年)、源頼朝の命をうけて、遠州(現在の静岡県)から初代・相良(さがら)長頼が着任して以来、明治維新までの約700年の長きにわたって改易なしで相良藩一藩による統治が続きました。この特異な地域性は、草深い山里におだやかで大らかであたたかな気性を醸成し、独自の仏教文化圏を形成したと言われています。人吉・球磨地方の旅行記をシリーズでアップロードします。第四回は、茅葺の阿弥陀堂を訪ねました。 
                                       (旅した日 2005年10月)
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青蓮寺・阿弥陀堂(国指定重要文化財)
青蓮寺阿弥陀堂は、鎌倉時代の永仁3年(1295年)、上相良三代頼宗が初代頼景公菩提のため創建したもの。広さ五間四面の茅葺で、軒高約4.48m、軒より棟までの高さ約7.58mの方形のプランを有する単層の木造大建築です。 所在地/熊本県球磨郡多良木町黒肥地3993

素朴な六地蔵
寺内には阿弥陀如来立像、一身並脇侍菩薩像二身(国指定重要文化財)、木造地蔵菩薩立像、古墳塔群などの文化財が見られます。境内入口では、素朴な六地蔵が訪れる人を出迎えます(写真上)。

青蓮寺阿弥陀堂内は内軒、外軒に別れ、柱は内外すべて丸柱です。四方に廻縁を有し、外観は一見極めてシンプルで素朴ですが、専(もっぱ)ら鎌倉時代の荘重、雄健の感をよく表現しています。


城泉寺・阿弥陀堂(国指定重要文化財)
城泉寺は、上球磨の豪族、久米氏の菩提寺として建てられたものですが、現在は阿弥陀堂だけが残されています。沙弥浄心(久米三郎真家)の創建なので、昔は浄心寺と呼ばれたいました。境内の十三重石塔(写真下)、九重石塔、七重石塔(写真上)は、鎌倉初期の造立であるのにもかかわらず、欠損摩減が少なく、国の重要文化財に指定されています。
所在地/球磨郡湯前町瀬戸口

十三重石塔

阿弥陀堂は、桁行(けたゆき)・梁間(はりま)ともに24尺3寸5分(約7.4m)、茅葺の小堂ですが、鎌倉期の手法が示された建物です。本尊の阿弥陀如来、脇侍の観音菩薩と勢至(せいし)菩薩も鎌倉初期の作で、本堂とともに国の重要文化財に指定されています。

球磨地方の夕暮れ
城泉寺近くの暮れ行く農村風景

球磨郡湯前町から見る、人吉盆地に落ちゆく夕陽

下記の関連ページもご覧下さい!
 旅行記 ・人吉城跡と青井阿蘇神社 −  人吉・球磨を訪ねて(1)
 旅行記 ・永国寺(幽霊寺) −  人吉・球磨を訪ねて(2)
 旅行記 ・石水寺 −  人吉・球磨を訪ねて(3)
 旅行記 ・紅葉の新宮寺 − 人吉・球磨を訪ねて
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