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ぎゅうこうのぎ |
牛耕の儀 加紫久利神社(かしくりじんじゃ) |
『加紫久利神社』(かしくりじんじゃ)本殿 |
毎年2月下旬から3月上旬になると、 南九州に広く分布する、その年の五穀豊穣を祈願する農耕の春祭り、いわゆる 予祝の田遊び神事があちこちの神社で行われます。 |
神事(舞踊) |
作り物の牛を使ったり、 あるいは人間が牛に扮したりして、境内を田んぼにみたてて ユーモラスに耕すという共通点があります。 |
神事(舞踊) |
先日(2017年3月4日(土))は鹿児島県 出水市の『加紫久利神社』(かしくりじんじゃ)の『牛耕の儀』(ぎゅうこうのぎ)を見に行きました。穏やかな快晴の日和で、 まさしく、出水地方に本格的な春の訪れを告げる祭りとなりました。 |
神事(舞踊) |
加紫久利神社(かしくりじんじゃ)は 鹿児島県出水市下鯖町にある神社で、創始年は全く不明ながら、奈良時代に薩摩の国で牧聞神社と 二社国の宮社と列格された古い由緒あるお杜だそうです。 |
祭詞の奏上 |
歴史のある神社であったことから、 その後この地の支配者となった島津氏の尊崇も厚いでしたが、明治10年(1877年)の西南戦争に より全焼し、社殿はおろか歴代伝えた宝物までもが失われました。 |
笛の音とともに『牛耕の儀』が始まります |
明治13年(1880年)に 社殿は再興されたものの、その後の新田開発などで境内を大きく浸食され、 戦後には社殿崩壊の危機にまで瀕しました。 |
まず猿田彦の神が入場 |
現在の社殿は 地元有志の寄付により、昭和36年(1961年)に再建され、 平成元年(1989年)に改築されたものです。 |
仔牛が入場 |
本殿に立派な 鶴と亀の彫刻があり、最近では鶴亀神社 としても信仰が深いそうです。 |
鼻取りに引かれて田起こし牛が入場 |
この神社では 年間多くの祭典や行事が行われますが、春季大祭には特殊神事である 『庭祭』の御儀があり、賑わいを見せます。 |
猿田彦の神を先頭に斎場を回る一行 |
この『庭祭』は、 昔は祈年祭といわれ、また『としごいのまつり』とも称せられ、その年の稲を はじめ穀物が豊かに実るように神に祈る祭です。 |
猿田彦の神、田の神、そして仔牛 |
南九州に広く分布する 農耕の春祭りと同様、境内の一角を斎場として田と見立て、そこに神を招き 稲作の手順演じることによって、豊作を祈ります。 |
田起こしをしながら斎場を回る一行 |
神殿での祭典終了後、 拝殿前の斎場に宮司以下祭員着座し、太鼓の奏楽に 合わせて祭詞の奏上が行われます。 |
ユーモラスな面をした田の神 |
宮司以下祭員一同の 祭詞奏上が終ると、いよいよ『牛耕の儀』となります。笛の音とともに、 道案内役の猿田彦の神を先頭に役者が登場します。 |
順調に進む田起こし |
猿田彦の神に続いて、 田の神、仔牛、田起こし牛、鼻取りとマンガ(馬鍬)取りの農夫二人が 登場すると、会場はいっきに活気づきます。 |
田起こし牛が少々疲れ気味・・・? |
仮面を被った牛を 面白くおかしく使役して代掻きの所作をします。こっけいな掛け合いやユーモラスな やり取りに、参拝客からどっと笑いが起こります。 |
バテて倒れ込んだ田起こし牛 |
牛が農耕に疲れ途中で 牛がバテてしまいます。寝そべって動かない牛に農夫たちが困り果てていると、それを見ていた 田の神さまが、紙垂(シデ)を持って駆けつけてきます。 |
お祓いをして活を入れる田の神 |
紙垂を持ってお祓いを しながら牛に活を入れる田の神でした。観客席からどっと笑いが起こります。 田の神に活を入れられてどうにか起き上がる牛でした。 |
何とか牛が立上って田起こし再開 |
うまく耕作出来たと思われる頃、 猿田彦神の先導にて斎場を退場します。観衆の拍手の中、猿田彦神一行の退場が 終るとつぎは『散籾(うちまき)の儀』となります。 |
鼻取りと田起こし牛 |
御神殿にお供えされた籾を 宮司が加紫久利神社の種撒きと発声しながら種籾を斎場に播きます。参拝者は、この種籾を 我先にと拾って持ち帰り、自家田に播種し豊作を祈ります。 |
散籾(うちまき)の儀 |
また、農家以外の方は 拾って我が家の氏神に、あるいは神棚にお供えして家内安全・商売繁昌を祈願します。 この散籾の儀は世の中を明るく祓い清めるための意もあるそうです。 |
第2鳥居と本殿 |
第1鳥居から第2鳥居までの 長い参道の両脇に屋台ならび、多くの客で賑わっていました。最近の屋台は、例えば『オムそば』や 『はしまき』や『もちもち肉巻き棒』などいろいろあって多彩です。 |
参道の賑わい |
【参考にしたサイト】 (1)鹿児島県/牛耕の儀(鹿児島県ホームページ) (2)出水市 加紫久利神社の春季大祭「庭祭」(鹿児島県神社庁ホームページ) (3)加紫久利神社 - Wikipedia |
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