旅行記　・フィレンツェ

ワシモ（WaShimo）のホームページ

旅行記　・フィレンツェ　－イタリア（７）　2014.07

フィレンツェ

フィレンツェのシンボル『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂』

イタリア（正式にはイタリア共和国）の
中部に位置するフィレンツェ（Firenze、〈英〉Florence）は、人口約36万人の都市。トスカーナ州の州都で、
フィレンツェ県の県都です。フィレンツェの位置を確認する

。

『ミケランジェロ広場』から西北を望む

中世には毛織物業と金融業で栄え、
フィレンツェ共和国としてトスカーナの大部分を支配しました。メディチ（Medici）家による統治の下で
15世紀にはルネサンスの文化的な中心地となりました。

『ミケランジェロ広場』から東北を望む

市街中心部は「フィレンツェ歴史地区」として
ユネスコの世界遺産に登録されています。南西の郊外の小高い丘の上にある『ミケランジェロ広場』から
フィレンツェの街並みを一望できます。

『ミケランジェロ広場』に立つミケランジェロのダヴィデ像（レプリカ）

ヴェツキオ橋と回廊

『古い橋』という名のヴェッキオ橋

ヴェッキオ橋（ポンテ・ヴェッキオ（Ponte Vecchio））は、フィレンツェを流れるアルノ川に架かる橋。ヴェッキオはイタリア語で「古い橋」という意味であり、その名が示すとおり、フィレンツェ最古の橋で、橋の上には住居が建てられ宝飾店が軒を並べていることで知られています。また、建ち並ぶ宝石店の２階部分は、『ヴァザーリの回廊』（屋根付きの廊下）の一部になっています。東京ディズニーシーの『ポンテ・ヴェッキオ』はこの橋を再現したものです。

橋の両側に軒を並べる宝石店。２階は回廊になっています。

1117年と1333年の洪水で流された後、1345年に再建されました。その後は、1557年の大洪水で他の橋が流され、さらに1944年の大戦ではドイツによる爆撃で他の橋が壊されたものの、ヴェッキオ橋だけは被害を受けず生き残り、660年前のまま残されているのです。この橋が建造された当時は橋の上に住居を建てることはそう珍しいことではなかったそうです。

朝、出勤途中の人と宝石店を覗く人

ヴァザーリの回廊　1565年に、初代トスカーナ大公コジモ１世は住まいだったピッティ宮殿（下の写真の川向い）から、ベッキオ橋の２階を通り、毎日通う庁舎（現・ウフィツィ美術館（右手前））へ至る約１kmの回廊を造らせました。ヴァザーリ（イタリアの画家、建築家）の設計で、半年足らずの工期で完成したそうです、回廊の中には 700点を超える絵画が展示されています。

ヴェキオ宮殿（右手前）とピッティ宮殿（川向かい）を結ぶ長さ約１ｋｍの回廊

新市場あたりとイノシシ像

ヴェッキオ宮殿の見える路地

新市場の開廊の柱

幸運のイノシシ像～ポルチェリーノ

ヴェッキオ橋からドゥオーモの方に歩いたところにある新市場。現在のレプッブリカ広場（共和国広場）にかつてあった市場を旧市場と呼ぶのに対して、ここを新市場と呼んだのだそうです。当時は高価な絹織物や毛織物に、フィレンツェ伝統の麦藁の帽子などを販売していて、麦藁市場(ストローマーケット)そうです。現在はリーズナブルな価格で革製品を売る屋台が並びます。
　
その開廊の脇にいるのがポルチェリーノ（仔豚）と呼ばれる『イノシシ像』。言い伝えによると、①鼻をなでると幸運がもたらされる、②口の中にコインを入れて手を離し、そのコインが落ちて土台の格子の下にうまく落ちれば縁起がよく、望みが叶うとされています。フィレンツェの名門メディチ家の１人で初代トスカーナ大公になったコジモ1世（1519～1574年）がローマ教皇ピウス４世から大理石製のイノシシ像を贈られました。実はこれは、古代ギリシャ時代の彫刻のコピーでした。

大聖堂の天蓋が見える路地

続くコジモ２世は住居であったピッティ宮殿用にと、時の彫刻家ピエトロ・タッカにイノシシ像を発注します。ピエトロ・タッカがピウス４世から贈られたイノシシ像に似せて作ったのが、この新市場のイノシシ像なのですが、実は本物は2004年にバルディーニ美術館に移され、現在のものはそのコピー（レプリカ）だそうです。そして、コピーの連鎖はさらに続くのです。フィレンツェのこのイノシシ像は、それはそれは人気者で、ベルギーやフランス、オーストラリアやカナダなどあちこちの国でコピーされ、世界中に広まっていきました。日本では、東京駅八重洲地下街、千葉幕張のホテルザ・マンハッタン、京都の京都ホテルオークラ、神戸の阪急電車三宮駅西口の高架沿い、同じく北野異人館街のうろこの家、尾道の松本病院の玄関などにあるようです。

新市場のイノシシ像(世界中のイノシシ像の発祥地）)

フィレンツェの二日目の夕食はフリープランだったので、事前に旅行会社にミルクーポンを手配してもらっていたヴェツキオ橋たもとのレストランで連れ合いと二人で２時間近く食事し、小一時間かけてそぞろ歩きでホテルまで帰りました。その途中、イノシシ像に立ち寄ったのが上の写真です。イノシシの口の中に思い通りコインを入れられず四苦八苦しています。

今は革製品の屋台が並ぶ新市場。

レプッブリカ広場

レプッブリカ広場

レプッブリカ広場　新市場（イノシシ像）からさらにドゥオーモ広場へ向かって歩くと左手に見えてくる大きな広場がレプッブリカ広場です。『共和国広場』とも呼ばれ、昔から街（旧市街地）の真ん中にありました。市民も行きかう広場で、メリーゴーランドが出ていたり、露店が軒を連ねたり、絵を売っていたりして夜遅くまで賑わうそうです。

メリーゴーランドをやっています。そして自転車で行きかう人。

ウフィツィ美術館

ウフィツィ美術館。奥にヴェッキオ宮殿が見えます。

ウフィツィ美術館 (Galleria degli Uffizi) は、イタリアのフィレンツェにあるイタリアルネサンス絵画で有名な美術館である。1591年より部分的に公開されており、近代式の美術館としてヨーロッパ最古のものの1つである。またイタリア国内の美術館としては収蔵品の質、量ともに最大のものである。1982年に世界遺産フィレンツェ歴史地区の一部として認定されている。また、トスカーナ方言であるUffiziは英単語officeの語源になった。

ヤコポ・ダ・ポントルモ(マニエリスム期の画家)展のポスター

メディチ家歴代の美術コレクションを収蔵する美術館であり、イタリアルネサンス絵画の宝庫である。展示物は2,500点にのぼり、古代ギリシア、古代ローマ時代の彫刻から、ボッティチェッリ、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロらイタリアルネサンスの巨匠の絵画を中心に、それ以前のゴシック時代、以後のバロック、ロココなどの絵画が系統的に展示されている。

ウフィツィ美術館の入口で

美術館の建物は、ドーリア式の回廊の上に2階、3階部分が建設されたルネッサンス様式の建築物で、全体としては巨大なU字型をしている。初代トスカーナ大公コジモ1世の治世下、ジョルジョ・ヴァザーリの設計で1560年に着工し、1580年に竣工したフィレンツェの行政機関の事務所がもとになっている。コジモ1世が当時あちこちに分かれていたフィレンツェの官庁をひとつの建物に収めさせたもので、建設時には周辺の一区画をすべて取り壊して建築が行われた。

ウフィツィ美術館、回廊の天井画

フランチェスコ1世は、1579年から1581年にかけて庁舎3階の廊下天井にグロテスク模様の装飾を施し、この頃からこの庁舎でメディチ家の持つ古代彫刻などの美術品を収容、展示するようになった。同じ頃、3階には美術品を飾る八角形の部屋「トリブーナ」を増築させ、ベルナルド・ブオンタレンティがモザイクや真珠貝象嵌によるこの部屋の装飾を担当した。その後1591年から3階部分を公開したのが美術館の始まりで、これらは建築当初からコジモ1世の構想にあったといわれる。

（以上、ウフィツィ美術館 - Wikipediaより部分転載）

ウフィツィ美術館の裏出口広場

シニョリーア広場

ウフィツィ美術館から見る『シニョリーア広場』。右の建物が『ヴェッキオ宮殿』

ミケランジェロのダビデ像（レプリカ）

ヴェッキオ宮殿

シニョリーア広場（Piazza della Signoria）　ヴェッキオ宮殿前にあるＬ字形をした広場。フィレンツェ共和国の歴史の焦点であり、原点だったところで、今も市の政治的中心地になっています。周辺にヴェッキオ橋、ドゥオモ広場、ウフィツィ美術館へ向かう道などがあり、地元民の待ち合わせ場所にもなっているとともに、観光客で溢れています。その正面脇にミケランジェロのダビデ像のレプリカがあるヴェッキオ宮殿は、要塞を思わせる凹凸のある大きなロマネスク様式の宮殿で、トスカーナ州でも最も印象的な市役所になっています。元々はフィレンツェ共和国の支配体制をシニョリーアと呼んだため、シニョリーア宮殿と呼ばれ、その後の長い歴史の中で、用途の変遷とともに呼び名も変わり、メディチ家がアルノ川対岸側にあるピッティ宮殿に居所を移した後、現在の名で呼ばれるようになりました。

ヘラクレスとカークス（ヴァンディネッリ作、1533年）

フィレンツェ市街中央部の地図

シニョリーア広場の風景

世界遺産の街並み

シニョリーア広場から大聖堂（ドゥオーモ）へ向かう通り

フィレンツェは
『街全体が屋根のない美術館』と言われます。13世紀から16世紀にかけての繁栄の中で
残された歴史的建造物がいまでも大切に保存されいます。

まさに、『屋根のない美術館』です。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、
ヴェッキオ宮殿、ウフィツィ美術館、ピッティ宮殿、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会などを含む街全体が、1982年に
『フィレンツェ歴史地区』として、ユネスコの世界遺産(文化遺産) に登録されました。

数100年を経た建築物が私たちの目を楽しませてくれます。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

ドゥオーモ（大聖堂）

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂（イタリア語: Cattedrale di Santa Maria del Fiore）は、フィレンツェの大司教座聖堂（カトリック教会の教区の中心となる教会の聖堂のこと）であり、ドゥオーモ（大聖堂）、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、ジョットの鐘楼の三つの建築物で構成される。教会の名には『花の（聖母）マリア』の意があります。

大聖堂のファサード（正面）

巨大なドーム（クーポラ）が特徴の大聖堂（ドゥオーモ）は、イタリアにおける晩期ゴシック建築および初期ルネサンス建築を代表するもので、石積み建築のドームとしては世界最大といいわれ、フィレンツェのシンボルになっています。1296年から140年以上をかけて建設され、外装は白大理石を基調とし、緑、ピンクの大理石によって装飾されています。

大聖堂のファサード彫刻

140年以上を要した建設の歴史

4世紀に至るまで、建築、芸術の双方において主導権をにぎることのなかったフィレンツェだったが、ピサやシエナの大聖堂建立に触発されてこれを凌ぐ大聖堂の建設を開始した。1294年、フィレンツェ羊毛業組合は、最も高名な彫刻家であったアルノルフォ・ディ・カンビオにその設計を依頼した。1296年9月8日の起工式においてサンタ・マリア・デル・フィオーレと命名され、建設が開始される。市評議会は聖堂建設のために輸出するすべての物品に対し関税を、市民に対しては人頭税を課すことを決定した。しかし1302年にアルノルフォが死去、建築はいったん中断した。大聖堂のための石材は、ヴェッキオ宮殿と第3市壁のために転用された。建築依頼主であるフィレンツェ羊毛業組合は建築責任者の後任を探し、1334年にジョットを指名した。彼は、鐘楼の計画を押し進めたが、塔の建築途中の1337年に死去した。1355年から再開された工事は、フランチェスコ・タレンティ、アルベルト・アルノルディ、ジョヴァンニ・ダンブロージョ、ジョバンニ・ディ・ラポジーニ、ネーリ・ディ・フィオラヴァンテ、オルカーニャなどの手を経る。

大聖堂のファサード

1380年には大聖堂の身廊が完成し、1418年にはクーポラ（ドーム部分）を残すのみとなった。14世紀末から、クーポラの架構は建設が危惧されていたが、1410年には中央上部にドラム（クーポラの基部）が築かれたため、その高さは55mに達し、工事をさらに困難なものにした。記録には、1417年までに様々な人物による図面や模型のやり取りが残されている。1418年8月19日、クーポラの模型公募の布告が行われ、ロレンツォ・ギベルティ、フィリッポ・ブルネレスキとドナテッロ、そしてナンニ・ディ・バンコの案の応募があった。（当時の建築技術で）ドームを築くには巨大な足場と仮枠が必要で非常な困難を伴うと考えられていたが、ブルネレスキは、独立した2重の構造を持つドームを仮枠なしで築く案を提出した。1420年8月7日、建設が開始され、1434年8月30日にはクーポラ頂頭部の円環が閉じられて一応の完成をみる。1296年の起工式から140年を経ていた。（以上、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂 - Wikipediaから部分転載）

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の東扉『天国への門』

サン・ジョヴァンニ洗礼堂は外壁修復中でシートで覆われていました。

『天国への門』　サン・ジョヴァンニ洗礼堂は、３つのブロンズの扉が設置されていますが、このうち、東門と北門を担当したのが、ロレンツォ・ギベルティ（1381年頃～1455年、初期ルネサンスの彫刻家、金細工師）でした。中でも、東側の扉（1452年完成）が特に有名であり、後にミケランジェロが『天国への門』と呼んで賞賛したことから主にこの名で呼ばれ、有名になりました。現在設置されている扉はレプリカで、本物はドゥオーモ付属博物館に所蔵されています。

大聖堂天蓋の見上げ『最後の審判』とステンドグラス

フレスコ画『最後の審判』　天井にはフレスコ画『最後の審判』が描かれており、見所の１つになっています。世界の終わりに神が全人類を復活させて裁く様子を描いたもので、1572年からジョルジョ・ヴァザーリによって制作が始まり、その死後を引き継いだフェデリコ・ツッカリにより1579年に完成された作品です。

大聖堂の前で客を待つ馬車

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会

世界最古の薬局があるサンタ・マリア・ノヴェッラ教会

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会は、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅および宿泊したホテルアルバーニフィレンツェ (Hotel Albani Firenze)からすぐのところのあるカトリック教会のバシリカ。元々、9世紀ごろ、この地にあったサンタ・マリア・ヴィーニェ礼拝堂が起源。その後、1211年にドミニコ会の修道士がこの地に新たな教会を建てることとしたのが、現在の教会です。その当時、修道僧たちが薬草を栽培して薬剤を調合していたのが、世界最古の薬局といわれる『サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局』で、800年以上経た今でも続いています。

サンタ・マリア・ノヴェッラ駅

頭端式を採用しているホーム

サンタマリアノヴェッラ駅は、フィレンツェにあるターミナル駅で、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会から徒歩で５分のところにあるのでそう呼ばれるようになりました。フィレンツェ＝ローマ高速鉄道線を通じて南方へ向かう列車や、ピサ方面に通じるレオポルダ線の列車も乗り入れています。ユーロスターでこの駅から次の旅行先であるナポリに向かいました。

出発を待つ列車

ヨーロッパのターミナル駅ではしばしば見られる頭端式ホーム（同一平面上に２本以上のプラットホームが存在し、それぞれの一端が1つにつながっている形状のもの）を採用しています。そのホーム構造のため、ユーロスター・イタリアなど当駅を経由して南のローマやナポリ方面と北のミラノやヴェネツィア方面を結ぶ列車は、当駅で折り返し（スイッチバック）を行います。

ホームに入ったユーロスター。この列車でナポリに向かいました。

あなたは累計

人目の訪問者です。