レポート | ・ユビキタス |
− ユビキタス − |
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『ユビキタス』ってご存知ですか? (株)矢野経済研究所が、同社のインターネットモニターの一般消費者及び各種情報通信機器メーカーを対象に行ったアンケート調査によると、「ユビキタス」を理解している人は3割弱だったようです(男女の内訳は、男41.5%、女性14%)。女性より男性の認知度が高いのは、各種情報通信機器メーカーに勤める男性の割合が多いからでしょうか。皆さんは、この言葉知っていましたか? 「ユビキタス」。耳になじみにくい、覚えにくいこの言葉は、実は、次世代の高度情報通信社会の姿をあらわす言葉です。「ユビキタス・コンピューティングの到来」「ユビキタス社会」「ユビキタスで世界は変わる」などと、情報通信業界の流行語になっています。「ユビキタス(Ubiquitous)」とは、ラテン語で「いたるところに遍在する」という意味です。パソコンや携帯電話に限らず、冷蔵庫・電子レンジなどの家電製品、自動車や自動販売機等もインターネットと接続され、また身に付けて持ち歩きできるコンピュータも開発され、いつでも、どこからでもインターネットなどの情報ネットワークに、アクセスできる環境のことを「ユビキタス」と言います。 ユビキタス・コンピューティングで、常時、いつでもどこでもネットワークに参加でき、電話代や時間やアクセス速度を気にせずに、だれとでも情報交換ができるようになれば、新しいコミュニティが育つ可能性があります。 ちょっと、物騒な表現ですが、「指(ユビ)をつめると、支障をきたす(キタス)」と覚えましょう。 『ユビキタス』を支える技術 ネットワーク使用の自由度を高めるには、まず情報端末(コンピュータや携帯など)間はケーブルではなく無線LANや無線ネットワークで接続されることが必要です。しかし、使用料金が高かったら何もなりません。無線の高速通信網を料金を気にせず使える環境が不可欠です。 次に、場所的な制約だけでなく、使いにくさという制約からの開放です。キーボード、やマウスといった伝統的な入力装置に変わって、ペン入力や音声認識、そのほかの工夫によって、コンピュータ操作が得意な人、不得意な人という差の生じない環境の実現が望まれます。 いろんなものを情報ネットワークにつなげるためには、メーカー間の規格統一が必要です。2003年10月03日の NIKKEI NET には、「動き出すネット家電、端末1台でデジタル家電操作・100社が統一規格」という見出しの記事がありました。 異なるメーカーの家電製品でも、一台の端末で遠隔操作できる無線通信の規格づくりが官民共同で始まります。通信総合研究所やソニー、NTTなど約100社の家電・通信企業が参加し、高速無線インターネット技術を使い、どのメーカーのどんなデジタル家電製品でも操作できる規格の、2005年度実用化を目指しています。 そして、やはり重要なことは、ユビキタス・コンピューティングで「何が得られるのか」という情報の質の問題です。つまり、コンテンツの確保と充実が重要です。 先ず、こんなことができて欲しい まず、どんなことができたら良いでしょうか。思いつくことを列挙してみます。 (1)デジタルカメラにコンピュータが搭載されていて、撮影と同時に画像データを自宅のパソコンに転送できる。再度確認したいときはすぐ自宅のパソコンからダウンロードできる。 (2)単身赴任の身。エアコンを付けっ放しにして仕事に出かけることが度々あります。仕事先のパソコンで、IDとパスワードを入力すると自宅の間取が表示され、電灯や家電製品のON/OFF の状態が表示され、パソコンから入り切りができる。 (3)退社時、パソコンから自宅冷蔵庫の中身を確認して買い物に寄れる。また、帰宅時間に合わせて電灯を点灯し、エアコンのスイッチを入れ、お風呂が沸くようにパソコンから設定できる。 (4)自宅の郵便受けに郵便が届いたと同時に、携帯やパソコンにメッセージが表示され、差出人を確認できる。 (5)一人暮らしの要介護人の様子を携帯やパソコンなどから常時モニターできる。 (6)猫や犬などのペットが家に出入りしたいときに遠隔操作でドアを開け閉めしてやれる。また、遠隔操作でペットやガーデニングの草花にえさや水をやれる。 (7)外出したとき、どこでもパソコンを使えて、アップロードおよびダウンロードができる。たとえば、公衆電話などのようにパソコンボックスが置いてある。 (8)プロバイダー代と通信費込みで月1000円で、高速ブロードバンド通信網が使いたい放題。 皆さんは、どんなことができて欲しいですか? セキュリティの問題 パソコンから自宅の様子がモニターできたり、自宅の家電製品の操作ができるになると、セキュリティがしっかりしていないと大変なことになります。勝手に他人に家の中や冷蔵庫の中身を覗かれる。勝手に家電やお風呂のボイラーをいじられるなど大変な不都合が生じます。 一番大切なのはセキュリティの確保だと思われます。認証を行う際の個人情報の保護や、認証システムのセキュリティ技術の向上が真っ先に必要なことだと思います。認証については、現在のIDとパスワードを入力する方法に変わって、近い将来小型チップを実装したカードや情報端末、指紋認証、虹彩認証等の生体認証(バイオメトリクス)を用いた多様な認証システムが実現されるでしょう。 【備考】虹彩認証 人の目(虹彩)を使って本人確認をする方法。アイリス認証、アイリススキャンなどとも言われる。コンタクトレンズへの対応、人権との関わりが課題といわれています。 |
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2003.10.22 | ||||
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