レポート  ・「シエスタ」導入論   
− 「シエスタ」導入論 −

連日猛暑が続いている。そんな夏の真昼に田畑に出ての野良仕事は、とてもじゃないが耐えられない。そこで、昔より、夏の農作業は、日が明ける前に起床して出かける準備を済ませ、午前5時頃、日が明けると同時に田畑へ出かけていた。
 
そして、田畑に日が射し込み始める午前8時前にはいったん帰宅する。それから午前中は家でできる仕事をして、午後は昼食のあと4時頃まで昼寝をする。そして、夕方また田畑に出かけるのである。
 
「シエスタ」は、昼食後に数時間の休憩を取る南ヨーロッパの習慣であるが、日本の農家の人たちは、夏場はまさにこの「シエスタ」を実行しているのである。異常気象で連日真夏日が続く昨今は特に、農家の人たちの「シエスタ」は合理的に思える。
 
さて、Yahoo!が、「ドイツでシエスタ導入論、熱波で医師が提案」というニュースを配信した(2023.07.22(土)13:33配信)。熱波が警戒されているドイツで、シエスタの導入を求める声が上がっている、というのである。
 
元々、シエスタ(siesta)はスペイン語で、昼食後に取る昼寝のことである。スペインでは、下記のように一日に5回食事をとり、一日の生活パターンは、日本のそれとは異なる。
 
 (1)デサユノ(朝食)
 (2)メリエンダ・メディア・マニャーナ(朝の軽食)午前11時頃
 (3)アルムエルソ(昼食)(一日のメインの食事)午後2時頃から
 (4)メリエンダ(夕方の軽食)午後6時頃
 (5)セナ(夕食)午後9時以降
 
スペインでは、夕方に軽食をとり、本格的な夕食は午後9時頃から始める。したがって、子供たちを含め就寝時刻が真夜中を過ぎてしまう。朝は日本と同様の時刻に起床するから、昼眠たくなるわけだ。
 
というので、スペインでは昼食のあと昼寝を取る生活習慣が根付いた。この昼寝のことを「シエスタ」という。人々は午後2時頃になると、一日のメインの食事である昼食を取りに一旦帰宅し、自分の家でじっくり時間をかけて食事をする。
 
そして、食事のあと午後4時頃まで昼寝をして、夕方また仕事に出かける。したがって、午後2時頃から4時頃にかけてのシエスタの時間帯は、官公庁はもとより大企業も中小企業も商店街の店も一時休業状態となる。
 
このように、元々の「シエスタ」は生活バターによるもので、夏の熱波を避ける対策として行われ始めたものではない。さて、ドイツで熱中症などの危険回避策として医療界から一石が投じる形で提案されたシエスタであるが、反応はさまざまだそうだ。

政府内には「悪い提案ではない」という肯定的な意見もあれば、「非現実的だ」との反対意見もあるそうだ。シエスタでいったん帰宅すれば余計に通勤時間がかかり、拘束時間が増えるとの懸念の声もある。独政府は、休憩は労使間で個別に取り決めるべきだとの立場を取っている。さて、ドイツで「シエスタ」が実現するのかどうか?
 

2023.07.26
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