コラム  ・不知火(しらぬひ)   
− 不知火(しらぬひ) −
不知火(しらぬひ)は、九州の有明海や八代海の沖合で、陰暦8月1日(2018年は現在の暦の9日10日にあたります)頃の風の弱い新月の夜(満月の夜と反対の、月がほとんど見えない夜)に見られるといわれる光です。
 
無数の光が明滅し、横に広がり、燈火のように現れるさまは、古くから『千燈万光明滅離合』などと形容されてきました。光の原因についてはさまざまな説がいわれましたが、現在は漁火(いさりび)などの光が温度差のある空気の塊の中を通る時、屈折して無数の光の明滅となるという説が有力になっています。
 
『日本書紀』には、景行天皇が筑紫行幸の際、この火の主は誰かと尋ねたところ誰も知らなかったことから『不知火』の名がついたとあります(以上、角川書店・合本俳句歳時記第三版より)。不知火はその神秘さと詩的な情景に関心がもたれてき、俳句では秋の季語になっています。
 
  不知火のいつしか胸の火に移る 柴野みちゑ
  不知火の海の不知火恋ひて寝ず 前田野生子
  不知火の闇に鬼棲む匂ひあり  松本陽平
 
熊本市中心部から10数キロ南下すれば宇土半島が有明海に伸び出しています。宇土半島の南の付け根付近に『不知火町』という町があって(旧宇土郡不知火町、現在は宇城市不知火町)、毎年陰暦8月1日の頃に『海の火祭り』という祭りが開催されています。
 
その不知火町までは、著者の家から車で2時間余りで行けるので、いつかは見に行こうと思い続けていますが、必ず見られるというわけではなく、さまざまな条件が重なった限られた時間だけした見ることができないということなので、未だに果たせずにいるところです。これからの楽しみにします。
 

2018.10.10
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