コラム  ・薩摩の教え・男の順序   
− 薩摩の教え・男の順序 −
鹿大阪府の吉村洋文知事(44)が5月15日、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長(62)とのオンライン会議で、『薩摩の教え・男の順序』を引用し孫会長を気遣ったと話題になりました。
 
『薩摩の教え・男の順序』とは、評価すべき男の順序には下記の通り、一番から五番まで5段階があるという教えです。
 
  一、何かに挑戦し、成功した者
  二、何かに挑戦し、失敗した者
  三、自ら挑戦しなかったが、挑戦した人の手助けをした者
  四、何もしなかった者
  五、何もせず 批判だけしている者
 
この男の5段階評価は薩摩藩・島津家に伝わる教えといわれ、現代でも企業における人事評価の考え方にマッチングしていることから、幹部研修に打って付けのネタとして多くのセミナーで取り扱われているのだそうです。
 
島津家に伝わる教えということですが、出どころ(出典)あるいは誰の言った言葉なのかは、どうもはっきりしていないようです。そこで、この薩摩の教えのバックボーン(精神的支柱)として考えられそうな薩摩の教訓を探してみました。
 
§1 実践実行のすゝめ(日新公『いろは歌』)
 
日新公『いろは歌』は、島津義弘の祖父で島津家中興の祖といわれる島津忠良(ただよし)公が、5年余の歳月をかけ完成させた47首の歌で、薩摩藩の『郷中(ごちゅう)教育』の基本の精神となったといわれているものです。その最初の(い)の歌
 
 いにしえの道を聞きても唱えても
         我が行いにせずばかいなし
 
は『昔の賢者のりっぱな教えを聞いたり唱えたりしてみても、実行しないと何の役にも立たない、実践実行こそがもっとも大事である』という実践実行のすゝめで、薩摩藩教学の金科玉条といわれる、47首を代表する名歌とされています。
 
§2 ぎをゆな
 
鹿児島に生まれ者は物心付いた頃から事あるごとに『ぎをゆな(ぎを言うな)』と言われて育ってきました。『文句を言うな』『不平不満を言うな』『口答えするな』などの意味にとらえがちですが、『議(ぎ)を言うな』の転義で、(行動もなしに)理屈を言うなが本来の意味です。
 
すなわち、薩摩では、行動をしないでいて口だけ動かすことが最も忌み嫌われ、郷中教育でも徹底して教育された内容の一つでした。『何もしなかった者』より『何もせず 批判だけしている者』が評価が下だというわけです。
 
§3 泣こかい、飛ぼかい、泣こよかひっ飛べ
 
1947年〜49年生まれの、いわゆる団塊の世代である著者が小学校、中学校時代(昭和30年代)には、鹿児島県内の田舎にもたくさんの子供たちがいました。お兄さんやお姉さん、弟や妹たちと連れだって遊びにいくと、田んぼに用水路があります。
 
まずお兄さんたちが飛び越えてみせます。つぎに、年下の者が飛ぶのに躊躇していると、周りの者が『泣こかい、飛ぼかい、泣こよかひっ飛べ』と囃し立てます。これは、困難に出会った時はあれこれ考えず、とにかく行動しろという薩摩人の思考法をあらわす言葉で、郷中教育の名残だったのでした。

 
日新公『いろは歌』歌碑(竹田神社、南さつま市加世田)
 

2020.05.22
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