レポート  ・茄子の牛(なすのうし)   
− 茄子の牛(なすのうし) −
お盆、正式には『盂蘭盆会』(うらぼんえ)が近づきました。日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事で、1年に1度、ご先祖様や亡くなった人があの世(浄土)からこの世(地上)に戻ってきて、ひと時を過ごす期間とされます。
  
地域や宗派によっては、茄子(なす)や胡瓜(きゅうり)あるいは瓜(うり)に割りばしを刺して馬や牛の飾りものをつくり、お盆の期間中、仏壇のまわりや魂棚(たまだな)などに飾る風習があります。
  
精霊馬(しょうりょううま)、精霊牛(しょうりょううし)といわれ、ご先祖様や故人の霊魂があの世とこの世を行き来するための乗り物とされます。馬は歩くのが速いです。したがって、精霊馬は、ご先祖様や故人ができるだけ速くあの世からこの世へ来てもらうための乗り物とされます。
  
一方、牛は歩くのが遅いので、精霊牛は、少しでもこの世に長くとどまってもらうため、あの世に戻るときの乗り物とされます。俳句では、『茄子の牛』は秋(初秋)の季語で、子季語に、瓜の馬、瓜の牛、茄子の馬、迎馬、送馬などがあります。
  
   さつきから転んでばかり茄子の馬  越野蒼穹
   乗ればさぞ愉しかろうぞ茄子の牛  林昌華
   夜遊びに出てゐるらしき瓜の馬   小泉八重子
   忘れものとりに千里を茄子の馬   木村虹雨
   母が乗るならば横乗り瓜の馬    東山晃
   父ははを連れて兄来る茄子の牛   安住敦
  
胡瓜で精霊馬(きゅうりの馬)を、茄子で精霊牛(なすの牛)をつくってみました。
  
   背の丈も父母の按配なすの馬    ワシモ 
  

精霊馬(きゅうりの馬)と精霊牛(なすの牛)

2019.08.07
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