レポート  ・わが国の菜の花畑への期待   
− わが国の菜の花畑への期待 −

『フランス、ドイツの菜の花畑』と題するレポートで、ヨーロッパでは今、ガソリンエンジンからディーゼルエンジンへの切り替えが進んでいて、菜種油を直接精製して作ったディーゼル用燃料(バイオディーゼル)が急激に普及していることについて報告しました。


そして、日本国内でも、いくつかの地方自治体で「菜の花資源循環システム」などの事業や研究が行われているものの、国民的な話題までにはなっていないようであり、ヨーロッパ諸国が日本と違うのは、そのようなことが国策として行われることだと述べました。


・レポート『フランス、ドイツの菜の花畑』を読む
           → http://washimo-web.jp/Report/Mag-Nanohana.htm


その後、わが国の菜の花畑の現状について調べているなかで、滋賀県安土町に本部がある『菜の花プロジェクトネットワーク』が菜の花を中心とした資源循環型社会の具体的な地域モデルづくりを推進していることを知りました。


経緯と現状


1986年(昭和61年)に、琵琶湖で廃食油に起因する赤潮が発生し、深刻な問題となったとき、廃食油を回収して石けんをつくる「廃油リサイクル」運動が滋賀県で始まりました。


当時、ドイツでは化石代替エネルギーとして、菜種油の燃料化計画が進められていて、菜種の作付け面積が100万ヘクタールにも及んでいました。滋賀県の「廃油リサイクル」運動は、そのようなドイツの取り組みに触発され「菜の花プロジェクト」へと発展していきました。


2001年(平成13年)4月に、滋賀県旭町で第1回「菜の花サミット」が開催されました。全国27の府県から「菜の花プロジェクト」を実践している人々や関心のある人たちなど、500人を超す人々が参加したそうです。2002年(平成14年)には第2回目が佐賀県伊万里市で、2003年(平成15年)には第3回目が広島県大朝町で開かれました。滋賀県から始まった「菜の花プロジェクト」の試みは今、全国29道府県50数の団体に広がっています。


・『菜の花プロジェクトネットワーク』の公式サイトを見る 
  → http://www.nanohana.gr.jp/index.htm
・『菜の花プロジェクト活動情報』を見る
  → http://www.nanohana.gr.jp/file/info/index.html
・『菜の花プロジェクトマップ2003』を見る
  → http://www.nanohana.gr.jp/file/map2003.html


菜の花プロジェクトのしくみ


(1)転作田に菜の花を植えます。(2)菜種を収穫し、菜種油を搾油(さくゆ)します。(3)搾油した菜種油は、家庭や学校給食で使います。一方、搾油時に出た油かすは、肥料や飼料として使います。(4)家庭や学校から出た廃食油は回収し、石けんを作ったり、軽油の代替燃料(バイオディーゼル)としてリサイクルします。(5)燃料が燃焼することによって発生し、大気中に排出された二酸化炭素は、菜の花によって吸収させます。


つまり、資源やエネルギーを地域の中で循環させるしくみです。


・『菜の花プロジェクトのしくみ』を見る
 → http://www.nanohana.gr.jp/intro/nyumon2.html


これからの展望


菜の花プロジェクトネットワークは、現状を「資源循環型社会」「地域自立のエネルギー」のモデルの基礎ができたとし、これからは、いよいよ、菜種の作付けを転作田全体へ展開するために、国を含めての政策検討に取りかからねばならないと展望しています。そして、化石代替エネルギーとしての菜種油の利用をも見据えています。


国の政策として取り上げられ、環境保護の観点に加えて、エネルギー安全保障や農業政策の観点からも菜種の生産振興が図られるよう、菜の花プロジェクトネットワークの活動に期待したいと思います。


・『菜の花サミットで採択された国への要望書』を読む
→ http://www.nanohana.gr.jp/file/info/backno/20020326_yobo.html


【備考】
このレポートは、上記の『菜の花プロジェクトネットワーク』の公式サイトを参考にして書きました。

2004.07.07  
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