コラム  ・磯野波平さんは何歳?   
− 磯野波平さんは何歳? −
福祉関係の研修会で、長年福祉の仕事に携わってこられた方の講話を聴きました。その講師の先生が、私は現在52歳ですが、歳よりも若く見られるのですよ、白髪が出てきて3ヵ月に1回染めてはいるものの、髪がふさふさしていますし、とおっしゃる。
 
なるほど、スラッとしていて、ダークスーツをきちんと着こなしていらっしゃる。その講師の先生が、あのサザエさんのお父さんの磯野波平さんは何歳かみなさん知っていますか?と質問された。
 
下表はわが国の平均寿命の推移を示します。表のように平均寿命がのびてきたことから、現役で働く人の年齢ものびてきています。上述の講師の先生が、介護の仕事に現役で携わっている方で私の知っている最高齢は89歳の女性です、とおっしゃる。
 
表 わが国の平均寿命の推移
 西暦(和暦) 平均寿命(歳)
 男性  女性
1950年(昭和25年) 59.6 63.0
1960年(昭和35年) 65.3 70.2
1970年(昭和45年) 69.3 74.7
1980年(昭和55年) 73.4 78.8
1990年(平成02年) 75.9 81.9
2000年(平成12年) 77.7 84.6
2010年(平成22年) 79.6 86.3
2020年(令和02年) 81.6 87.7
 
この89歳の女性は非常勤で働いていて制服を着ていないので、働いている人なのか、利用者さんなのか、一見区別がつきませんとおっしゃる。なるほと、著者の知っている人にも、73歳、78歳で介護の仕事に従事している女性がいます。
 
このように、医療や福祉などの分野に限らず、現役で働く人の年齢がのびてきています。現在わが国の標準的な定年は60歳です。60歳で正規職員を終り、希望により61歳から65歳までが常勤嘱託、66歳以降が非常勤というのが一般的だと思います。
 
これが、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)の改正により、2025年4月から『65歳までの雇用確保』が義務づけられます。すなわち、65歳まで正規職員で、希望により66歳から70歳までが常勤嘱託、71歳以降が非常勤という流れになるものと思われます。
 
新聞連載の4コマ漫画のサザエさんが始まったのは1946年(昭和21年)4月だそうです。磯野家の大黒柱で、3姉弟(サザエ、カツオ、ワカメ)の父である磯野波平さんの歳は54歳という設定になっています。
 
サザエさんは23歳、カツオくんはサザエさんと一回り年の差がある11歳で小学校5年生。ワカメちゃんは小学1年生の7歳。サザエさんとマスオさんの長男のタラオちゃんは3歳ですから、サザエさんは20歳までには結婚していたことになります。
 
さて、波平さんの年齢がなぜ54歳の設定かというと、漫画サザエさんの新聞連載が始まった当時の定年が55歳だったからです。波平さんはまだ現役の会社員ですから、定年1年前のぎりぎりの年齢に設定されているわけです。
 
54歳といえば、上述の講師の先生と2歳しか違わないのに、波平さんは、ハゲ頭に一本の毛が特徴的で、明らかに老けています。逆ないい方をすれば、見た目よりも年齢は若いということになります。
 
これは時代によります。すなわち、漫画サザエさんの新聞連載が始まった当時の男性の平均年齢は60歳弱でした。当時、敬老の日の敬老の対象にされたのは55歳以上の人だったそうです。当時は歳の割に老けていたということです。
 
現在、わが町の各自治会では9月の敬老の日に敬老祝賀会を開催したり、記念品を贈呈したりしていますが、その対象者は75歳以上のいわゆる後期高齢者ですから、当時の対象年齢と比べると実に20歳の開きがあります。
 
いつから定年が55歳から60歳に延長されたかを調べてみると、高年齢者雇用安定法の改正によって60歳未満の定年が禁止されたのは1998年(平成10年)ということです。そう昔のことではなかったことが意外でした。以上のような背景があって、最近磯野波平さんの年齢が話題になっているそうです。

2023.03.01
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