コラム  ・思いも寄らないこと 〜 車の管理責任   
− 思いも寄らないこと 〜 車の管理責任 −
昨年(2007年)の年末、著者の知り合いに起きた出来事です。見舞いに行こうと大型のセダンで病院に向かった知り合いは、病院の駐車場に到着したちょうどそのとき、携帯電話で仕事の電話を受けます。
 
知り合いは、車のエンジンを切り、キーをつけたまま車を離れ、あれこれと電話で仕事の段取りの指示をします。数分して用が済み、車に戻ろうとした知り合いは、唖然とします。自分が今乗ってきた車が見当たらないのです。狐(きつね)に抓(つま)まれた感じですが、確かに車がありません。
 
おろおろするばかりの知り合いが、取り合えず 110番通報すると、間もなく3台のパトカーがサイレンを鳴らしながらやってきて、あれこれと事情聴取が始まりました。一方、その頃、病院から数km離れた国道沿いのガソリンスタンドに一人の老人が大型のセダンを乗り入れ、『今から空港に行くのでガソリンを3リッター入れてくれ』と頼みます。
 
老人の服装がどこか普通ではありませんが、日ごろ、数リッター給油する人が全く無いわけではないので、店員が言われた通り給油しようとすると、老人は今度は『代金はうちの若いもんが後から持ってくる』といいます。いよいよおかしいと思った店員がよくみると、老人は手首に氏名と病院名の書かれたバンドをはめています。
 
バンドに書かれた病院名と氏名を手がかりに、ガソリンスタンドの人たちがあちこち電話してみると、この老人が入院中であり、病院の駐車場にキーをつけたまま止めた車に乗って病院を抜け出してきたことがわかりました。かくして、知り合いの車は知り合いのもとに無事戻って一件落着したのですが、話しの本題はこれからです。
 
もしこの老人が途中で交通事故を起こしていたらどうなったでしょうか? 老人に交通事故の賠償金を支払う能力がなかった場合、知り合いに請求されることになります。
 
また、任意保険が適用され、保険会社から事故の被害者に保険金が支払われた場合、保険会社は車の管理責任者である知り合いに損害賠償を請求することになります。車の管理責任者がその責任を怠っていなかったらそもそも事故が起こることがなかったというわけです。
 
自宅の庭や敷地内、自宅の駐車場にキーをつけたまま置いていた車を乗り逃げされた場合には、家宅侵入罪が優先されて適用され、車の管理責任が問われることはありません(車は管理されていた状態にあったとみなされる)。
 
しかし、自宅の前の道路や空き地、スーパーやコンビ二、病院等の自宅以外の駐車場など、家宅侵入罪が適用されない場所にキーをつけたまま車を放置して離れることは慎まなければなりません。
 

2008.02.20
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