コラム | ・柿の葉寿司 |
− 柿の葉寿司 −
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奈良から好物の柿の葉寿司の贈り物が届いた。中谷本舗さんの柿の葉寿司で、定番の「さば」、「さけ」に、「あじ」、「たい」、「えび」を加えた5種の寿司の詰め合わせである。 前日、宅配業者さんから明日の14時から16時の間にお届けに上がりますがご在宅でしょうかという旨の電話があった。届いた宅配の箱に配達業者様へとあって、指定当日に配達できない場合は当日中に速やかに発店までご連絡下さいとある。配達の管理が徹底しているということである。 柿の葉寿司は結構焼酎と合う。届いた日に早速晩酌をしながら美味しく頂いた。 憧れていた阿修羅像を初めて目にしたのは、2009年の5月、上野の国立博物館で開催させていた興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」においてであった。長時間並ばないとならないというので夕方6時に入館することにした。 30分の待ち時間で入館できたが、それでも会場へ入ると阿修羅像の周りは、押すな押すなの混みようだった。それから5年後の2014年6月大阪に行った際に阿修羅像に今度はじっくりと再会したいと思い、興福寺まで足をのばした。その時、近鉄奈良駅前のアーケード街のお店で「柿の葉寿司定食」を頂いた。そんなことを思い出した。 その昔、熊野と吉野をつなぐ街道は「さば街道」と呼ばれ、熊野灘で水揚げされ浜塩を施された鯖が背負い籠で運ばれた道だった。高い峰を越え、谷川の難所をわたって運ばれてきた鯖を村の人々は、薄く切ってご飯の上に乗せ、手近に豊富にあった山柿の葉に包んで重石をかけて寿司に成熟させ、例祭の日のご馳走にしたという。 中谷本舗さんは、百年以上の歴史を持つ、奥吉野に本店を置く老舗だそうだ。本店のある吉野郡上北山村をネット検索してみると、山地と山脈に挟まれた山峡に集落が点在する田舎で、柿の葉寿司の由来を彷彿とさせる。 吉野といえば、長島の黒之瀬戸を見下ろす公園に大伴旅人の歌碑が建てられていて、万葉集の歌の南限とされている。養老4年(720年)征隼人持節大将軍に任命され、反乱鎮圧のために薩摩に赴いた大伴旅人は、「隼人の瀬戸の巌も鮎走る吉野の滝になほしかずけり」と詠んで吉野を偲んだと言われる。 吉野は桜のほかに修験道、寺社仏閣などの歴史と文化、文学の地である。ぜひ訪ねたいと思いながらいまだ果たせずにいる。いつか実現させたい。 |
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2023.02.22 | ||||
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