コラム  ・ウグイスのホトトギスとのやっかいな関係   
− ウグイスのホトトギスとのやっかいな関係 −
その激情的ともいえる独特の鳴き声によるのでしょうか、ホトトギスほど古来から様々な文書に登場し、杜鵑、時鳥、子規、不如帰、杜宇、蜀魂、田鵑など、漢字表記や異名が多い鳥もめずらしいです。古今、ホトトギスの和歌が数多く詠まれ、万葉集では 153例、古今和歌集では42例、新古今和歌集では46例が詠まれているそうです。
 
また、夜に鳴く鳥としても珍重され、その年に初めて聞くホトトギスの鳴き声を忍音(しのびね)といい、枕草子ではホトトギスの初音を人より早く聞こうと夜を徹して待つ様が描かれています。
 
ホトトギスに関する伝説・迷信も多く存在し、それらの多くが漢文の古典に由来するそうです。ホトトギスの異称のうち『杜宇』『蜀魂』『不如帰』は、古代中国の古蜀国の帝王だった杜宇がある事情で故郷を離れ、さまよううちにその魂が変化してホトトギスになったという伝説にもとづくそうです。そのため、ホトトギスは今も『不如帰(帰るにしかず)』と鳴いている、といいます。
 
江戸時代から日本各地に伝わる『厠(かわや)の中にいるときにホトトギスの声を聞くと不吉である』という迷信も、『酉陽雑俎』(唐の時代の書)および『太平広記』(北宋時代に成立した類書)に由来し、夏目漱石は西園寺公望に、『時鳥(ほととぎす)厠(かわや)半(なか)ばに出かねたり』という俳句をおくっているそうです。(以上、ホトトギス − ウィキペディアより)
 
さて、鹿児島県薩摩地方の農村部に住む著者の家では、6月のこの時季、ホトトギスとウグイスのさえずりの競演を聴くことが出来ます(BGMをお聴き下さい)。
 
ホトトギスは自分では子育てをしないで、拓卵(たくらん)する鳥であることをご存じでしょうか? ウグイスの巣にウグイスの卵そっくりの卵を産みつけ、ウグイスに我が子を育てさせます。この習性を拓卵といいます。
 
そして、早くかえったホトトギスの子どもはウグイスの卵を巣から外に放り出すのだそうです。何も知らないウグイスは、巣立ちまでホトトギスを育てます。
 
ホトトギスは、インドや中国南部付近で越冬し、5月頃に日本などにやってくる渡り鳥ですが、他の渡り鳥よりも渡来時期が遅いのは、一つに、托卵のための対象とする鳥の繁殖が始まるのにあわせるためだそうです。
 
※ BGMの『ホトトギスとウグイスのさえずりの競演』は、鹿児島県さつま町の自宅で録音しました(録音年月日時刻2013.06.19 AM5:30/録音時間3分06秒)
 

2013.07.03 
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