レポート  ・映画・北辰斜めにさすところ   
− 映画・北辰斜めにさすところ −
『北辰斜に』の歌声が聞こえる。舞台は鹿児島。
旧制第七高等学校「造士館」(現在の鹿児島大学)校庭のファイアストーム。
青春を謳歌した寮生活、五高(現在の熊本大学)との年に一度の野球対抗戦・・・
そして、あの戦争。 “激動の昭和時代”を生きた男達が、
いま映画づくりに立ち上がりました。
日本文化や精神性、学校教育の衰退が叫ばれています。
もう一度、家族や国のあるべき姿を考えたい。
〜 映画『北辰斜にさすところ』製作委員会公式サイトより転載
  
名作「ハチ公物語」のほか「遠き落日」「ひめゆりの塔」などを手がけた神山征二郎 監督による、三國連太郎、緒形直人、林隆三ほか出演の映画『北辰斜にさすところ』 の九州ロケが、今年4月から11月にかけて熊本県や鹿児島県を中心に行なわれました。
  
北辰とは北極星の別名で、”北辰斜めにさすところ”とは、北極星を斜めに見上げる 南国の地という意味で、七高寮歌(第十四回記念祭歌)の冒頭に出てくる歌詞でその 寮歌の名前にもなっています。
 
七高寮歌(第十四回記念祭歌)の歌詞と演奏
 
映画は、七高創立百周年(2001年)を機に、戦前の七高と五高の野球部対抗戦の再現 試合実現に向け奔走するOBらを軸に、七高生の青春群像と戦争に翻弄されたその後 の人生を描いたものです。 11月4、5日の両日、クライマックスとなる七高と五高の野球部対抗戦再現試合の撮 影が、熊本県人吉市にある川上哲治記念球場で行なわれ、観客役として人吉球磨地方 や鹿児島県から公募された市民エキストラ約 700人が参加し、熱烈な応援合戦が繰り 広げられたそうです。
  
この映画は、映画『北辰斜にさすところ』製作委員会が製作するもので、広く一般か ら、出資金・協賛金を募っています。映画製作完了(2007年3月)後に、作品は全国 公開され、出資金については、全国一斉公開以降、順次、事業収入に応じて、応分の 「配当」がなされるそうです。公開が楽しみです。
 
・製作委員会公式サイト   
 → http://www.hokushin-naname.jp/
 
【補遺】
開聞花瀬望比公園(鹿児島県指宿市)でロケが・・・。
 
映画『北辰斜めにさすところ』(監督:神山征二郎、出演:三國連太郎 、緒形直人 、林隆三 、佐々木愛ほか、2007年10月公開 )のロケが、花瀬望比公園でも行なわれました。
 
戦後60年、戦前の七高(現鹿児島大学)と五高(現熊本大学)の野球部対抗戦の再現試合実現に向け奔走するOBたち。しかし、かつて七高の野球部エースピッチャーとして鳴らした上田勝弥(三国連太郎)は、仲間たちの再三の要請にもかかわらず、頑なに参加を固辞し口を閉ざし続けます。軍医として従軍した南方戦場での悔恨と慚愧(ざんき)という深く重い理由があったのでした。そんな折、かつて勝弥の女房役のキャッチャーだった西崎(織本順吉)の訃報が届きます。勝弥は、記念試合出席を楽しみにしていた西崎の意を汲んで、やっと参加を決意します。
 
鹿児島に来た勝弥は、志望校を慶応大学から変えて鹿児島大学に入学した孫の勝男をともなって、花瀬望比公園を訪ねます。七高時代に最も尊敬し慕った同郷(熊本県人吉)の先輩・草野正吾(緒形直人)を、なす術なく重傷者のまま戦場に遺(のこ)し去ってきたという辛い過去が思い出されてきます。『この海の向こうで戦争があったんだね。50万人近くの人が死んだままになっているなんて信じられない』とつぶやく勝男。『南方の島々にも、こん先の海の中にも、帰ってこれん者がいっぱいいるとよ』という勝弥。 
 
〔参考〕
旅行記 ・花瀬望比公園 − 鹿児島県指宿市
エッセイ ・花瀬望比公園
 

2006.11.15