コラム  ・俳句鑑賞『日傘』   
俳句鑑賞『日傘』
日傘(子季語:絵日傘、白日傘、ひからかさ、パラソル)は夏の季語。外出時のUV(紫外線)対策に欠かせないのが、強い日差しを避けるために用いる日傘。最近は、男性でも日傘をさす人が増えてきましたが江戸時代には普通のことだったようです。

江戸時代の日傘は、竹の骨に紙を張っただけのもので、雨用とは違い、油や渋は塗りませんでした。日傘と書いて『ひからかさ』と読みました。俳句では、いまでもそう読ませて好んで使われています。

絵日傘は白日傘に対して、絵や模様のある日傘。パラソル(英語:parasol )は、西洋風の日傘のことで、明治以降に普及しました。parasolは、イタリア語で『守る』という意味の『parare』と太陽を意味する『sole 』が結びついたのが語源。『日よけ』という意味です。海辺で用いるビーチパラソルは、砂日傘といいます。

  しやうもない男についてゆく日傘 市堀玉宗
  古日傘われからひとを捨てしかな 稲垣きくの
  あてやかに日傘をたゝむ墓のまへ 林原耒井
  この町に生くべく日傘購ひにけり 西村和子
  みごもりて日傘に浮力あるごとし 辻美奈子

  密會の忘れ日傘に頭文字   筑紫磐井
  旅日傘多忙は家に置いて来し 嶋田摩耶子
  寺町を日傘のほかは通らざる 日美清史
  祈りとは白き日傘たたむこと 渡辺誠一郎
  砂丘ゆくパラソルの色海の色 藤ア久を
 

2022.07.09
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