エッセイ | ・俳句の風景 〜 秋 |
− 俳句の風景 〜 秋 −
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今年(2012年)は台風の当たり年ということになるでしょう。先週(10月14日の週)日本列島の東海上を通過していった台風で21個目でした。去る9月30日の中秋の名月の日に接近した台風17号も九州では東海上に逸れてくれ、薩摩地方は夕方から晴れてきました。 秋の七草のいくつかを揃え、おはぎを買いに行き、里芋をふかして、お供えの準備をしていたので、わが家でもささやかな月見をしました。それぞれの家庭には決してひとくくりにできない、それぞれの家族模様、人間模様がありますが、満月の光は月下の街をひとくくりにして照らしています。 名月や月下の街をひとくくり JR肥薩線の大隅横川駅や嘉例川駅(いずれも鹿児島県霧島市)は、筑後 109年の木造駅舎が現役で使われている駅です。ノスタルジックでどこかに温かみを残す駅舎は、人々の静かな人気を集め、シーズンの休日には観光列車特急『はやとの風』などが観光客で賑わいますが、鈍行列車の利用客はまばら。鉄道経営の観点からは厳しい現実があります。 単線の一人降ろして天の川 一方、東シナ海の美しい海岸線に沿って、鹿児島県薩摩川内(せんだい)市と熊本県八代市の間約 117キロを28の駅で結ぶ『肥薩おれんじ鉄道』は、九州新幹線の開業にともない鹿児島・熊本両県と沿線市町などが出資・運営する第3セクター方式によって引き継がれた鉄道です。 鉄道の名前は、沿線が温州みかん、デコポン、甘夏、晩白柚(ばんぺいゆ)など柑橘類の産地であることにちなんで命名されました。のどかな景色の中を一両編成の気動車が各駅停車でゆったり走るのが魅力。それぞれの駅には、それぞれの秋の風景があります。 ローカルの駅ごとにゐる赤とんぼ 『吾亦紅』(われもこう)をご存知でしょうか。草地に生える多年生草本で、秋になると茎を伸ばして、その先に楕円形で穂状の可憐な花をつけ、暗紅色に色づきます。2007年に発売されたすぎもとまさとさんの同名の歌で、その名が知られるようになりました。 3年前の7月、年に一度のカラオケ教室の発表会に『吾亦紅』を歌いました。その歌を歌い始めた秋、吾亦紅探しを兼ねて、妻と九重、阿蘇に行ってみましたが、見つかったのはほんの2〜3株でした。仕方なく、花屋で買い求めて納得した思い出があります。 鉄瓶に活くるとすれば吾亦紅 三重県にお住まいのメル友の方から、『立山縦走してきました。下山し室堂平に着いたら、赤吾亦紅がいっぱい咲いてました。この日、室堂平は、10℃を下回る気温で寒かったです。』というお便りとともに、吾亦紅の群生する貴重な写真を寄せてもらいました。 → http://washimo-web.jp/Information/waremokou.jpg 政治・経済・社会が停滞気味という状況の中で、季節は確実な秋の深まりをみせています。 |
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2012.10.24 | ||||
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