コラム  ・立冬(りっとう)   
− 立冬(りっとう) −

1年を春・夏・秋・冬の4つの季節に分け、それぞれの季節をさらに6つに分けたものを二十四節気(にじゅうしせっき)といいます。つまり、1年を24に分けるのでそういいます。

二十四節気の始まり、つまり一年の初めの二十四節気は『立春』で、現在の暦では2月3日〜4日頃です。それから数えて7番目が『立夏』、13番目が『立秋』、そして立春から数えて19番目の二十四節気が『立冬』です。

きょう(2023年11月8日)は、その立冬です。各二十四節気をそれぞれ3つに分けたのを七十二候(しちじゅうにこう)といいます。1年を72に分けることになるのでそういいます。二十四節気を3つに分けた第1番目を初候、2番目を次候、3番目を末候といいます。

2023年は、11月8日〜11月21日の14日間が立冬で、11月8日から暦の上では冬に入るわけです。立冬の初候、次候、末候は次の通り。

 初候 11月08日〜11月12日 山茶始開(つばきはじめてひらく)
 次候 11月13日〜11月17日 地始凍(ちはじめてこおる)
 末候 11月18日〜11月21日 金盞香(きんせんかさく)

初候は「つばきが咲き始める」頃ということですが、「つばき」と読みますが、ここで『山茶』は文字通り、山茶花(さざんか)のことです。山茶花も椿(ツバキ)も同じツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹。

よく似ていますが、山茶花は11〜2月頃に咲き、椿は1〜4月頃に咲きます。椿の花びらが、固くて厚く、ハリがありしっかりしているのに対して、山茶花の花びらは、薄くてヒラヒラしていて椿よりふんわり感があって優しい印象があります。

中候は、霜が降りたり、霜柱が立ったり、水たまりに氷が張ったりし始める頃という意味で、夜間の冷え込みも厳しくなり、冬になったことがはっきりと肌で感じられる時節になります。

末候は、金盞香が咲く頃という意味ですが、ここでいう金盞香は今でいうキンセンのことではなく水仙(スイセン)のことです。ですから、『立冬』は、山茶花が咲き始め、霜が降りたり氷が張ったりし始め、水仙が咲き始める頃ということになります。

薩摩地方のきょうは最高気温が23〜24℃の、やはり温暖化の気候だなと感じられた晴れ日和でしたが、いずれにしても冬が来ることに違いはありません。二十四節気の立冬は冬が来る心づもりをしなさいという先人たちの教えです。

俳句では当然冬の季語で、子季語に、冬立つ、冬に入る、冬来たる、冬来(ふゆく)、今朝(けさ)の冬があります。

  立冬や軒を寄せ合ふ羽島崎  渡
  膝痛の癒えは半ばに冬来たる
  茶柱の嬉しき朝や冬に入る


2023.11.08
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