コラム  ・フォークでライスの食べ方   
− フォークでライスの食べ方 −
たとえば、ハンバーグ定食なので、ライスが平皿に盛って出されたときのライスの食べ方には、左手に持ったフォークの背にのせて食べる、左手に持ったフォークの腹にのせて食べる、フォークを右手に持ちかえてフォークの腹にのせて食べる、あるいは、箸(はし)をもらって箸で食べるなどの方法が考えられますが、あなたはどの方法で食べていますか?
 
鹿児島市内の桜ヶ丘という高台に住む高校時代の級友から『桜ヶ丘通信』と称して定期的に便りが届きます。先日届いた便りに、『昔は洋食を食べるときには、テーブルマナーとして、今考えればサーカスのようにわざわざフォークの背にご飯を乗せて食べていた。私はこの動作が苦手でいつも反対向きにして食べていた。今でもそうしています。誰が考えたのか、エチケットなのか不思議だ』とあります。
 
実は、著者は未だに左手に持ったフォークの背にのせて食べているので、最近の動向をネットで調べてみました。すると、どうでしょう。『いるいる、ライスをフォークの背にのせて食べている人。年配の人に多いようだ。以前まで定着していたマナーが身についている世代なんだろう。』というニュアンスの記事が圧倒的に多い。
 
これは『勘違いマナー』として何十年も前に日本で定着していたもので、第一非常に食べにくい、それに、せっかくふわふわしたご飯を押しつぶして食べることになる、などとあります。つまり、ライスをフォークの背にのせて食べるマナーはガラパゴス化しているようなのです。では、この『勘違いマナー』だといわれるマナーは、どういう経緯(いきさつ)で生まれたのでしょうか。
 
始まりは明治時代の日本海軍にあるようです。明治時代、日本は海軍の整備をイギリスを手本に進めました。その際、テーブルマナーもイギリスを手本にしたために、ライスをフォークの背にのせて食べるのがマナーとして定着したようです。
 
イギリスのテーブルマナーでは、フォークは左手で、フォークの先が下側に曲がっている状態で持ち、裏表向きをかえて持ち直すことやフォークを右手に持ち替えることはマナー違反とされているそうです。
 
したがって、イギリスのテーブルマナーでは、つけ合わせの野菜などでフォークで刺して食べるには小さすぎるもの、たとえば豆とかは、フォークの背に乗せて食べるわけです。つまり、ライスを、フォークで刺して食べるには小さする豆などと同類とみなし、背に乗せて食べるようになりました。
 
そもそも、ファミレス(ファミリーレストラン)ならともかく、マナーが重要視されるような高級な洋風レストランではライスなんて出てこないでし、欧米では米は主食ではないから、ライスの食べ方に決まったルールなど元々ないというのが本当のところのようです。
 
ライスの食べ方には、どれが正しい食べ方だというルールはない、エレガントに美味しく食べるのが、料理を作ってくださった方への最高のマナーである、もちろんフォークの背にライスをのせる方法が楽な人は、別にマナー違反ではないので、そのままでも結構である、などとありますが、さてこれからどうやって食べましょうか。
 
食べやすい方法で食べれば良いわけですが、『ガラパゴス人間』と思われるのも癪(しゃく)ではあります。
 
【ことば】
ガラパゴス化=大陸から隔絶された環境下で、生物が独自の進化を遂げたガラパゴス諸島(エクアドル)の生態系になぞらえて、技術やサービスなどが日本市場で独自の進化をとげて、世界標準からかけ離れてしまうという現象をいいます。スマートフォンに対して、日本の従来型の携帯電話を『ガラケー』(ガラパゴス携帯)と称するのは有名です。
 

2015.02.25
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