レポート  ・フランダースの犬と二つの祭壇画   
− フランダースの犬と二つの祭壇画 −
大塚製薬グループが創業75周年事業として1998年(平成10年)に開館した大塚国際美術館(徳島県鳴門市)は、西洋名画等をオリジナルと同じ大きさに複製し展示する陶板名画美術館として知られています。
 
その大塚国際美術館を訪ねたのは今年(2019年)の5月でした。たくさん見た名画の陶板画の中の一つに、ベルギーの画家ルーベンスが描いた『キリスト昇架』がありました。19世紀にイギリスの作家ウィーダが書いた児童文学『フランダースの犬』の作中に登場する絵画です。
 
− フランダースの犬(あらすじ)−
 
19世紀のベルギー北部のフランダース地方の都市アントワープ郊外の小さな農村の、さらに外れに住む15歳の少年ネロは、正直な寝たきりの祖父イェーハン・ダース老人と二人暮し。
 
二人とともに暮らす忠実な老犬パトラッシュは、黄色の毛並みの、立ち耳の大型犬。金物屋にこき使われたあげく捨てられていたところを、イェーハンと幼少のネロに保護され、以来ともに暮らしています。
 
ネロは貧しいミルク運搬業で糊口をしのぎながら、いつか画家になることを夢見ていて、アントワープの聖母大聖堂に飾られている二つの祭壇画を見たいと心に望んでいました。
 
それはアントワープはもとよりベルギーが世界に誇る17世紀の画家ルーベンスの筆によるもので、見るためには高価な観覧料を必要としていて、貧しいネロには見ることが叶わぬものでした。
 
ネロの唯一の親友は、風車小屋の一人娘の少女アロア、12歳でしたが、アロアの父のバース・コゼツは家柄の低いネロのことを快く思わず、二人を遠ざけようとします。さらにネロは風車小屋の外縁部と穀物倉庫を全焼する火事の放火犯の濡れ衣を着せられます。
 
その上、新しく街から通い始めたミルク買い取り業者に仕事を奪われます。そして、クリスマスを数日後に控えた日に優しかった祖父を亡くし、楽しいはずのクリスマスの前日、家賃を滞納していた小屋からも追い出されることになってしまいました。
 
クリスマス前日は、街で開かれている絵画コンクールの結果発表日でもありました。倒木に腰掛ける木こりのミシェル老人を白墨で描いた渾身の力作で応募していたネロは、優勝すればきっと皆に認めてもらえるようになるとコンクールに全ての望みを賭けていたものの、結果は落選でした。
 
傷心のネロは厳しい吹雪の中、村へ向かう道でパトラッシュが見つけた財布を持ち主の風車小屋に届けます。それは風車小屋一家の全財産でした。ネロはパトラッシュを一家に託すと再び雪夜の闇の中に飛び出して行ってしまいます。
 
財布が見つからずに絶望して帰宅したバースは、今までネロに対して行ってきた数々のひどい仕打ちを悔やみ、翌日ネロの身元を引き受けに行くと決心します。さらに翌日には、コンクールでネロの才能を認めた著名な画家が彼を引き取って養育しようとやって来ました。しかし、何もかもが既に手遅れでした。
 
大事な未来を無くしたことで自分の生にも絶望したネロは極寒の吹雪によってその命を奪われ続ける中、最期の力を振り絞って大聖堂へ向かい、パトラッシュもネロを追って風車小屋から大聖堂へ駆けつけました。
 
するとこの時、雲間から射した一筋の月光が祭壇画を照らし出し、ネロは念願だった2つの祭壇画をついに目にします。『見た、ああ僕はとうとう見た』とネルロは叫びました。『ああ神さま、もうこの上はなんにもいりません』とネロは神に感謝の祈りを捧げました。
 
かくてクリスマスを迎えた翌朝、大聖堂に飾られた憧れのルーベンスの絵の前で、愛犬を固く抱きしめたままともに冷たくなっている少年が発見されます。村人たちは悔いつつも、教会の特別な計らいの下に犬とともに少年を祖父の墓に葬ったのだったのでした。
         (以上、フランダースの犬 - Wikipedia より) 
 
 
【備考】 
『フランダースの犬』は青空文庫で読むことができます。

  → https://www.aozora.gr.jp/cards/001044/files/4880_13769.html
 
『フランダースの犬』の舞台になったアントワープの聖母大聖堂。
(出典:フランダースの犬 - Wikipedia)
作中に登場するルーベンスの絵画『キリストの昇架
(大塚国際美術館)
作中に登場するルーベンスの絵画『キリストの降架』
(出典:フランダースの犬 - Wikipedia)

2019.10.16
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